動物孤児院 (8)華やかな舞台の裏側で起きていること?

(8) 華やかな舞台の裏側で起きていること?

東京に住む友人の娘さんはファッションモデルなのですが、「こっそりマンションで犬を飼始めたのよ」と言っていました。テレビのコマーシャルに使われた犬は多くが(もちろん、血統書付きの高価な犬ではなく、この場合はふつう雑種なのですが)「終わりました、さよなら」なのだそうです。誰も責任をとらない。つまり、使い捨て。

その娘さんはその犬を見捨てることができず、連れ帰ったのでした。
こんなことは日常茶飯事だそうで、以来、テレビのコマーシャルやポスター、雑誌などの犬を見るたびに、「この犬はその後、どうなったのだろう」と心配でたまらなくなりました。

先日テレビで北欧のドッグスレイ(犬ぞり)冒険旅行ドキュメンタリーを観ていました。北欧のある国のプリンスがチームのメンバーでした。グリーンランドの氷原をハスキー犬たちが走って行きます。一歩間違えば死、という過酷な条件のもとで、プリンスの一行はステーションから次のステーションへと旅を続けるのです。そこまではよかったのですが…。

その中の、真っ白いハスキーが足の裏にケガをしました。だんだん速度が遅くなります。薬を塗っても、腫れはひきません。私は嫌な予感がしてきました。そして、それは当たったのです。チームの1人が銃を取り出したと思うと、氷原に銃声がこだまして…。簡単なものです。走れない犬は足手まといなのでした。そりに乗せて運ぶこともできたのに。

冒険旅行の最終地点では、氷上飛行機で飛んできた王族の一行がプリンスを迎えて無事を喜んで、終わったのでした。

(2003/03/07) 

(小野千穂)

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