動物孤児院 (9)日本は野蛮国?!

(9) 日本は野蛮国?!

私が高校生の頃だったと思う(つまり、ウン10年昔だ)。イギリスの大衆誌に、日本人は犬を虐待している、という写真入りの大見出しで載ったことがある。浴衣を来た男が、白い犬に棍棒を振り下ろす寸前で、犬は目を閉じていた。その写真は、日本でも「イギリスでこんなふうに報道された」ということで、かなり話題になったから、もしかしたら覚えている人がいるかもしれない。「日本に犬を輸出するな」の声があがり、ロンドンの日本大使館に抗議の電話や手紙がきたと記憶している。

「イギリス人の反日感情をあおるための、偽造だ」「日本人はそんなことしない」という声が日本国内であがった。しかし、管理センターという「人間の勝手でいらなくなったペットを殺す機関」に、飼い主自身が連れてきて、「処分をお願いします」という現在、「私たち日本人は動物を虐待していません」「日本人はそんな国民ではありません」と、言えるだろうか?

私が住むドイツでも、犬の流行はある。ハスキーのブームの後は、ラブラドルレトリバーだ。その部分は日本もドイツも同じだ。しかし、ドイツでは日本のように、ペット店やブリーダーが何の制限も秩序もモラルもなく増やして金儲けに専念する風潮はほとんどない、のだ!

店頭で犬を販売しない。高価な犬を買う人が少ない。ドイツでは犬で金儲けが難しい。犬を飼うには、市町村に犬税を支払わなければならない。これが結構高い。(町によって額が異なる。毎月800円から2000円ぐらい。闘犬種は約10倍) だから、よほどの経済的、時間的、心理的余裕がないと、複数を飼うのはたやすくない。

そして、近所の人の目が光っている! 「ほったらかしにしていないか」「虐待していないか」「犬が汚れていないか」「散歩に行っているか」…

昼間働いて8時間家にいない人は犬を飼うべきでない、と多くの人は思っている。そういう人は、犬を職場に連れて行くべきである、と。職場に連れて行けないのなら、「飼うな」ということだ。

「あの家の人は、犬を昼間、3時間以上も家に閉じ込めているわよ」と、周囲のおばあさんたちが噂しはじめたら、警察とか、保護団体にだれかが報告するのは時間の問題だ。

こんなドイツ人たちが、日本のペット現状を知ったら、どんなことになるだろう…?



(2003/04/03) 

(小野千穂)

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