NFLマイケルヴィックの闘犬達
NFLマイケルヴィックの闘犬達
マイケルヴィックは、NFLに復帰するにあたり、「今後、全米動物愛護協会が展開している闘犬撲滅運動に尽力する」ことを約束している。
アメリカの良いところって、悪を改め善を尽くす人には寛大である?ってことなんですね。
闘犬達のその後
アメリカでは押しも押されぬNFLのスーパスターだったマイケルヴィックは、2007年4月自宅の裏庭でドッグファイトを開催し賭博を行っていたことが判明し、更に、闘犬に使用するピットブルの調達やトレーニングを行い、闘犬イベントを運営する違法企業の経営にかかわったほか、闘いに敗れた犬を銃、首吊り、電気ショックなどで処刑する残虐行為を行っていたことも明らかになり、連邦大陪審から起訴された。このとき押収された51匹はその後どうなったのだろうか。
闘犬に使われた犬やその目的で飼育されていた犬は、通常殺処分されてきたが、今回はユタ州のBest Friends Animal SocietyとサンフランシスコのBAD RAP(Bay Area Doglovers Responsible About Pit Bulls) をはじめとするレスキューグループや各地のSPCAの協力のもと、それらの犬達は命を繋ぐことができたのだ。
もちろん世論および被告人が莫大な資産をもっていたことも手伝って、アメリカ地方裁判所の裁判官は前代未聞の100万ドルという大金を51匹のうちできるだけ多くの犬にリハビリを受けさせるための預託金を命じたのだった。
ASPCAのDr. Zawistowski 率いる犬達の気質評価チームによりテストされた51匹は、それぞれ違った性格を持ち、様々な問題を抱えていた。まずそのなかの10匹ほどは鍛えられた闘犬そのものだった。そのうち凶暴すぎた一匹と、治療不可能な傷を負っていた一匹は安楽死させられた。
つぎのグループはその特徴から“パンケーキドッグ”と呼ばれた。ひどいトラウマをもっており、人間が近づくとまるでパンケーキのように地面に伏して震えてしまうタイプ。
そして最後のグループはそこそこフレンドリーで通常の気質をもっていながらも社会化の機会が全くなかったというタイプ。
これらの犬達は裁判が完了するまで数ヶ月間各地のシェルターでリハビリや社会化の訓練を受け、特に第三のタイプの犬達は、それぞれ別のフォスターファミリーで暮らすうちに、18匹に新しいホームを見つけることができた。
更にそのうちの数匹はCGC (Canine Good Citizen)テストにも受かり、なんと2匹はセラピードッグとして病人やお年寄り、また子供達の読書のアシスタントとして活躍していると言う。とは言うもののここまでくるのは並大抵のことではなかったし、パンケーキドッグの中でもいまだに恐怖心をぬぐいきれない犬や、よくなったと思ってもまた逆戻りというケースも多々ある。今だにBest Friends Animal Societyで暮している犬達も10匹近くいる。
今回のレスキューやリハビリで学んだことをBest Friends Animal SocietyのDr. McMillanはこう語る。「闘犬として使われたピットブルに関し、いままで我々がいかに知識を持っていなかったかに気づかされた。なぜならいままでそれらの犬はほとんど処分されてきたからだ。今回の経験を通し多くのことを学んだが、まだ確固としたものではなくこの分野での研究の始まりである。しかし今では、非合法な闘犬現場からの犬達を殺処分することのほうが早いし簡単であることに違いないが、それが唯一の選択ではないということに我々は気づいたのだと言える。」
18匹の写真とその後の経緯については下記のウェブサイトのStart the slideshowのリンクをクリックすれば見られます。
http://www.parade.com/news/2010/08/15-vicks-dogs.html
(2010/8/16)(アメリカ Y.Mさん)