【犬と暮らす家(1)】住まいを考える〜マンションの犬暮らし

【犬と暮らす家(1)】住まいを考える〜マンションの犬暮らし

さんはどんな家で犬と暮らしていますか?
オートロックのRC(鉄筋コンクリート)造のマンションですか?
それとも広いお庭のある一戸建てですか?

最近は外飼いで一人寂しく庭で寝ている犬も、特に都市圏では殆どみかけなくなりました。犬と暮らす人は年々増えていて、その中でもマンションなどの集合住宅住まいの人は増えているのではないでしょうか?

この話はマンション暮らしの子供のいない夫婦が、犬を飼いはじめてからその生活が大きく変わってしまい、犬と暮らす為に、一戸建てを建ててしまい、引っ越すまでのお話です。

私はマンション暮らしを14年ほどしています。

犬を家族として迎える前、住まいの条件として挙げた事は、一般的に便利で騒音が少なく、利便性と夫婦2人で暮らすには充分の居住空間である事、そして当然ですが予算に納まる価格があげられました。そして、メゾネットといえば聞こえはいいですが、RC造の長屋みたいなマンションを選びました。

マンションは8世帯分が2棟並行に並び、間がパティオとして共有部分の屋外通路となっています。各戸へはそのパティオから独立した玄関扉が向き、戸建て感覚のデザイン住宅です。面白い構造で、地下1Fと地上1F、そして地上2Fと3Fでそれぞれの世帯があり、我が家はその上の2〜3階部分の世帯の角部屋です。そのため窓とベランダが多く、北西側ですが目の前に高い建物がない分、視界はひろびろとしています。

問題は色々ありますが、まず狭い事。他の世帯は55〜60平米なのですが、我が家の部分は49平米。おまけに上下階を繋ぐ階段がある分、間取りも狭苦しい感じが否めません。そして北向きで日差しがなかなかあたらない事。玄関前が少しの時間陽が当たります。また夏は西日が差し込み、冬寒く夏暑い部屋なので、冬場はホットカーペットが、夏場はエアコンが必須になっています。

そして我が家としては駐車場がない事も問題でした。駐車場を借りても遠かったり、汚かったり、色々口やかましかったりと、私の人生において重要な意味を持っているバイクの維持も思うようにはなりませんでした。今は徒歩1分の所に屋根付の駐車場を借りていますが、ランニングコストはやはり大きいものです。

環境としては近所には森のある大きな都立公園があります。住宅地で、かつ有名な女子高と女子大が隣接しているが故に、治安も比較的安全で住環境としてはなかなかよい所です。しかし都心故に公園にはホームレスも多く、ちょっと離れてはいますが生活圏の一部には外国人街があったりと、ここ10年で少しづつ変化していきました。

私自身が新宿生まれの新宿育ち。まだ子供の頃は土がむき出しになっている所もありましたが、今は全てがアスファルトやコンクリートにコーティングされています。足踏み車や補助輪付の自転車で走り回った時代は平和でしたが、今ではそんな事をする子供もみかけません。当時から同じ新宿でも、実家付近より今の我が家があるエリアは緑が多かったように思います。

妻は神戸生まれの神戸育ち。結婚して東京にやってきたのは13年前。若い頃からお互い旅好きだったおかげで、旅の友人が数人東京に住んでいる事から知り合いがまったくいないという訳でもなく、寂しさはそれほどなかったと言います。

生活が大きく変わったのは、7年半前にくーがやってきてからでした。それまでは私自身、犬を家族に迎えるなんてまったく思っていませんでした。

 くーがやってきてから、生活は一変しました。近所に顔見知りがたくさんでき、声をかけられない日がないぐらいにコミュニケーションネットワークが発達したのです。都会で隣に誰が住んでいるのかわからないこのご時世に、これは驚きでした。阪神大震災経験者の妻は、これなら災害時もご近所犬友ネットワークが強い味方になってくれると確信したそうです。

しかし短足犬のくーは、階段の多い我が家では少々不安がありました。その階段も都会のマンションです。階段スペースは極力抑える流れに従い、狭く高さのある急なものです。腰や関節に影響が出やすいと言われている犬種ですが、そこをくーはひょいひょいと昇り降りしていました。くーは運動が大好きで、1歳をすぎた頃からはディスクやアジリティの競技にも参加するようになり、小さめの体に筋肉は付いても脂肪は殆どつかないという体系だった事から、階段は彼女のトレーニング場のようなものでした。

価値としてもマンションは利便性が確保できれば、RC造ならそれなりに耐久性もあり、デザインがよかったり、便利設備がついていたりする事で、流通時の評価が大きく変わります。目安になる標準地価と言われるものは大抵低く設定されているようで、実際に取引される価格は大抵それを上回る事が多いようです。

我が家は竣工時、至近の駅まで3線が使えるとはいえ、どこの駅へも徒歩10〜13分はかかりました。とはいっても都心の一等地、山手線の内側です。歩こうと思えば新宿や池袋までも徒歩20〜30分程度で行けますし、バスも通っています。生活する上ではまったく不便さはありませんでした。

そして竣工の11年後に地下鉄が開業。マンションから徒歩4分の所に駅ができました。その影響を受け地価が上昇してくれたのは嬉しい要因です。

そんな我が家でしたが、都会のマンションで犬との生活をそれなりに楽しむ日々でした。この13年で、毎週のように車でドッグスポーツの練習や競技の遠征や、四国や奥東北、そして飛行機を使って北海道へ4度ほどでかけました。そういう意味では都会の生活を充分に楽しんでいたのかもしれません。

マンションの生活に何も疑問に思わず暮らしていたある日、ふと、このマンションにずっと住むべきなのだろうかと疑問が沸いてきました。45歳の春、老後までの時をどう暮らすかをあらためて考えはじめたのでした。


 

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