動物孤児院 (77)犬を愛する「セレブ」のポジティブ・パワー

犬を愛する「セレブ」のポジティブ・パワー

<セレブDJの愛犬がオンエアー中にお産>

ドイツの若者にポピュラーなあるDJは、ハンガリーからドイツに連れて来られた大型犬を引き取った。ハンガリーでは檻で飼われていた犬だったので問題ゼロの犬ではなかったが、彼と彼のガールフレンドが愛情込めて世話してようやく犬の信頼を勝ち取ったようだ。ジャーマン・シェパードの精悍な顔で全体がクリーム色。ハンガリーの牧羊犬の血を引いているのだろう。

そのDJがハンガリーのあるグループから犬を引き取ったとき、その犬はお腹が大きかったが、想像妊娠だと言われてそう信じていたらしい。もちろん、仕事場にも同伴。ところが、スタジオでオンエアーの最中に、後ろで「キュウ…」という鳴き声を聞き、振り向いたら何と第一子が誕生したところだったのだ。しかも次々と10匹も! スタッフの人たちもこれには驚いたに違いない。
それにしてもニワカ助産夫氏がラジオのスタジオでどんなふうにそのままDJを続けたのか、想像するだけで可笑しい。車を運転中に聴いている人たちもさぞびっくりしたことだろう。スタジオで愛犬のお産の実況中継など滅多にあるものではないだろうから。

ところで、その犬は子犬を産んだ後、育児放棄してしまった。しかし、ある保護団体が至れり尽くせりの世話をしてくれたおかげで、10匹の子犬たちはみな無事に育ち、新しいファミリーのもとに引き取られたそうだ。

「殺処分」という方向に向うことが絶対にありえない国ドイツ。他国が見放した犬までも救う。本当に羨ましい。救う人が捨てる人よりも多い文明国ではこれが自然に到達する結末なのだろうけど。


<セレブの影響力は大きい>

ドイツの数多い動物ホームの中にはスター的な「有名人」が関わっているところもある。やはりそういう「有名人」が関わっていればメディアで紹介されるチャンスも多い。

ゾーニャ・ツィートロウという女性もその1人で、ドイツの超人気アナウンサーだ。彼女はパイロットとしてドイツ航空で働いていたこともある人で、おまけに美貌まで備わっている。そんな人が「犬を救おう!」と立ち上がれば、たちまち反響を呼ぶのは目に見えている。犬を愛してやまない彼女はついに去年の3月に保護団体を結成した。協力者たちの中にも名の知れた人たちが何人もいるが、名前を貸しているだけというのではなく、実際に現場で犬たちの世話をしているのだ。

彼女の団体は、心身障害を持つ子供たちに犬と接触させる。えさ代が出せなくなった、飼えなくなったという飼い主をサポートする。犬を保護して新しい飼い主を探す……。「困っていたら私たちに連絡して!」と、どんな問題にだって立ち向かっていこうではないかという姿勢を崩さない。
運営資金は、ドイツの99%の動物ホームがそうであるように、すべて寄付である。有名人だと寄付集めもスムーズにいくだろう。

実は、始めに述べたDJ氏の10匹の子犬を「至れり尽くせりで世話してくれた」人たちはこの保護団体の人たちだった。

犬が好き、経済的にも問題ない、というだけでは動物ホームは運営できない。彼女はその点もよく理解している。東欧や南欧で、つながれていた犬や、檻で飼われていた犬や、虐待を受けていた犬は問題犬であるケースが多いのでその点をまずリハビリである程度解決したうえで引き取り手を募集する。そして、問題があるということを理解できる人たちに引き取ってもらわなければならないのだ。

サブコンテンツ

カテゴリー

このページの先頭へ