【犬と暮らす家(7)】土地探し〜発見! 土地を購入

【犬と暮らす家(7)】土地探し〜発見! 土地を購入

土地探しをして1ヶ月経ち、その間に現在市場に出回っている絞っているエリアの物件は、全てチェックし終えたという状況になりました。

その間に新しく登録された情報は極めて少なく、掲載されている物件はずっと売出中のままの物件がほとんどだというのがわかってきました。しかしそんな物件でも、私たちがみたら気になる土地かもしれない、という期待を持ってまめに探していこうと思っていました。

また例年5月から秋ごろにかけては、時期的に物件があらたに出にくい時期である事も聞いていました。流通する物件が多くなる時期は決まっており、大抵が年末から4月上旬までだそうです。新生活をはじめる時期だという事では、判りやすいシーズンとも思えました。

メールや実際に物件の見学でお会いし、一番迅速でかつ誠実と感じた不動産屋のKさんから、焦らずに探せば必ず気に入った土地が出てきますから、という言葉に支えられつつ、それでもただKさんからの情報を待つだけでなく自分からも貪欲に情報を漁る日々でした。

ある土地は、角地でA市のZ公園から800mほどの立地で、データ的にはよかったのですが予算を500万ほどオーバーしていました。実際に現地に見にいくと、目の前になぜか場違いな軽油スタンドのようなものがあり、大型トレーラーが出入りする事が判明したり、土地の隣が土木業者の資材置き場だという事がわかりました。また目の前の交差点も抜け道らしく、通り抜ける車が一時停止する時の制動と加速の騒音が気になりました。

ある土地はZ公園から1.4kmの角地。すぐ近くに排水路のような三面張りの川が流れており、裏にはちょっとした散歩に使えそうな緑地がありました。ここも予算オーバーの上、公園まで妻の足では20分ほどかかる事、かつ近くに異様に動物嫌いの人なのか犬猫に対する敵意の張り紙が張られた家があり、期待していた緑地はじめじめして夏には蚊が沸きそうな不衛生さだったりという感じで却下となりました。

ある土地は隣のB市でしたが、ちょっと森がある公園の裏手にあり散歩にはよさそうでした。会社を早退して見に行ったのですが、実際には家の周辺の道が狭い上に抜け道になっている感じで、トラックが結構な勢いで走り抜ける事がわかりました。これでは安心して散歩もできないという事で、価格的にもぎりぎりで悪くなったのですが却下となりました。

他にも大幅に修復しないとだめな擁壁のある物件や、駐車スペースが取れないほど狭い2m間口の物件、あきらかに予算オーバーな物件などが私たちの前を数多く通り過ぎていきました。これが多いのか少ないのかわかりませんが、データでのチェック対象となったのが1ヶ月半で100件近く、現地に行ってみたのは30件を越えていました。

その中で、当初決めた土地へかける予算が少しづつあがっていったり、対象エリアが広がっていったり、微妙に自分たちの中でも変化がありました。現実に直面してはじめて、なかなか当初の予定では現実をわかっておらず、気に入った土地はないというのが判ったからです。またある程度直感的にいろいろと条件をつけて探しはじめたあと、現実的に許容範囲を広げていかなければ、よい条件の土地を見逃してしまう可能性もあると悟ったからです。

少しでも気に入った土地は、公園の駐車場に車を停め、くーを連れて現地までの距離をハンディGPSで測りつつ、時間や雰囲気を調べたりしました。求めていたZ公園以外にも好きな公園があるので、当然そちらへの距離や道路状況を実際に歩いて確かめたりしました。

また土地として流通していないものもチェックしました。いわゆる中古住宅です。当時理想的と思っていたZ公園まで徒歩5分以内のエリアに出てくる土地があれば、データが悪くてもまずは見に行って確認します。大抵が何かがマイナス要因としてひっかかりました。時には環境、時には距離、また時には金額と一筋縄でいくものではなかったのですが、じっとしていられなかったのです。

まだ探し始めて1ヶ月ちょっと。そうそう簡単に見つかるはずもないと思ってはいましたが、今後は新たに出てくる土地だけを調べるだけという段階になると、モチベーションもなかなかあげにくい雰囲気になってしまっていました。

家を建てようと思ってからおよそ2ヶ月弱のある日、Kさんから連絡が入りました。そしてその連絡の半日後、これまでまったく連絡がなかった別の不動産流通業者からも同じ物件情報が入りました。どうも後者は物件の隣の建売住宅を取引をした事があるそうで、周辺環境などの情報を伝えてくれました。とりあえず周辺環境について質問メールを投げておきました。

この時点で送られてきたのがREINSという不動産取引情報提供システムの情報が1枚だけで、そこから得られるデータだけでは最初全然興味が沸かなかったのです。先日チェックした川沿いの物件からもほど近く、また希望するZ公園までの距離は近くなるのですが、周辺の暗いイメージが頭に浮かんで気乗りしなかったのです。

その情報を放置してまる1日。ひょんな事からもう一度その情報を見直してみると、なぜか今度は気になってきたのです。家族会議をして現地を見たいと思ったのは火曜の夜。残念ながら不動産屋は翌水曜が休みです。それでも一度気になるとじっとしていられず、とりあえずKさんには現地を見に行くというメールだけして、早速見にいく事にしました。

現地を見ながら、その土地の環境やパフォーマンスをいろいろと深く調べはじめました。

そこはZ公園から約1km。私の足で10分、妻が散歩するスピードで15分弱です。近くにスーパーはありますが、コンビニや郵便局はちょっと遠い所にあります。用途地域は一種低層となっており、接道はしているものの間口として取れない私道と、接道している側の区道に東西を挟まれていました。南北を隣接する家に挟まれています。

また地下を走る高速道路沿いから1本入った所なので、静かで比較的車でのアプローチも楽そうでした。その関係もあり、用途地域が一種低層と物件情報に書かれていたにもかかわらず、なぜか北側の家は新し目の3階建が建っており、西側の1本私道を隔てた外環沿いには、4階建てや5階建てが並んでいました。

この土地は敷地面積が29坪と少し小さめです。また建ぺい率が40%、容積率が150%となっており、家を建てるスペースは極めて小さいものになってしまう事がわかりました。ただ私たちは夫婦と犬が暮らす家を考えている分、大きな延床面積は希望していません。それならば少し遊ばせられる庭がほしいと思っているので、この条件はそれほど気になりませんでした。

現在もこの土地の売主は住んでいるようで、洗濯物が干してあるため、迷惑ならないように遠巻きに見学しました。この時点では深く考えていませんでしたが、目の前に見えている上物や大木は全て撤去しなければならず、処分費用はおよそ100万強という話でした。ただしその金額を含めても何とか手がでそうだった事で、気持ちは揺らいでいました。

周辺環境としては北側に隣接している3階建て+屋上がある建売や、高速道路側にある中古車屋が出しそうな騒音が気になりましたが、まずは好印象でした。

妻と話し合った結果、翌木曜にKさんに立ち会って頂き相談する事となりました。もしや土地が決まるかもしれないという雰囲気になり、一気にテンションが高まります。

しかし何よりもこの土地の最も気になる事は、小さく書かれている「任売物件」という文字でした。これがこの土地の価格が安い大きな理由です。私たちにとっても初めて聞く言葉だったので調べてみると、どうも売主が何らかの問題を抱えているという事がわかってきました。こういう物件を購入するリスクに私たちは無知すぎて不安を感じたため、頼りにしているアドバイザーの平山さんにも質問をしたり、明日Kさんにもいろいろと質問をしようとできる限りの知識をこの夜、詰め込もうと必死でした。

翌朝現地へ出向むと既にKさんが来ていました。前日の水曜は休みだったはずなのに、わざわざこの土地建物の登記簿も取ってきてくれてきており、その中の情報から任意売却となった理由がある程度見えてきました。Kさんはちゃんとした手続きを取れば損をする事はないという事をアドバイスしてくれましたが、不安な気持ちは消える訳ではありません。ただうっすらと私たちの気持ちは決まりかけていたのかもしれません。

北側の3階や1本道を隔てた西側の4階建てが存在している理由についても、Kさんが持ってきてくれた資料でその理由がわかりました。どうも土地の用途地域として一種住居地区の範囲が少し土地にかかっているためのようでした。純粋な一種低層な土地ではなく、南側の家もいずれ建て替えた時に、3階になる可能性があるという事です。それにもうひとつ大きな理由は、頓挫していますが大江戸線の延伸計画で駅がすぐ近くにできそうだという事。これでこの土地の資産価値は否が応にも上昇するという事がわかっていたのです。

ここだという土地と出会うと、ピンとくるとか、違う気持ちを感じると聞きます。妻にもこの土地をそう思うかと聞くと、少しそう思うと言いました。私も何だか気持ちが高揚しているのを感じていました。悩んだ挙げ句、Kさんが私たちが求める土地である可能性があるという事と、物件の内容から買いではないかと思うと言ってくれた事から、気持ちは決まっていきました。

最後のチェックポイントとして、建築家の米村さんに電話で相談をしました。するとこれから土地を見にきてくださるという事に。建築家の目からみて、この土地で何か気になる事はないかアドバイスを貰いたかったのです。

しばらく米村さんを待つ間、落ち着かない気分でした。不思議なもので、この土地を買おうと考えた途端、今度は先に手をつけられてしまわないか、今誰かが先に買付証明書を手にしてしまわないかという不安が沸いてきます。

米村さんを待つ間、不動産屋とおぼしき複数の人がひっきりなしに物件を見にきていました。やはりこの地域の相場からみると、明らかに価格が安いのです。その中には建売住宅メーカーも来ているようでした。問題のある土地を安く買い、上物をコストを抑えて建て、建売として売る業者の可能性が高そうでした。

そして自転車で米村さんが到着。土地を見て頂いたあと、特に問題はないというお墨付きを頂き、午後には手付けを入れる事になりました。Kさんは事務所の人と連絡をとり、さっそく買付証明1番手の手続きを取るために事務所に戻っていきました。

そう、とうとう、そして突然、私たちは土地を決めてしまったのです。家を建てようと考えてから、たった2ヶ月の事でした。

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