盲導犬の疑問


盲導犬の疑問

LIVING-WITH-DOGSメーリングリストでの意見交換の中で、”ワーキング・ドッグ”の中でも最も頭数の多い盲導犬についての素朴な疑問点が湧き上がってきました。
(注) LIVING-WITH-DOGSメーリングリスト: 1997年8月から1999年9月まで 続いたメーリングリスト。(現在は開催されていません。)メーリングリストでのディスカッション (1997年8月)

(F.Sさん) 私は、「盲導犬クラブ」という会報誌を日本盲導犬協会から定期的にいただいています。
そこで、質問があるのですが、どなたか教えて頂けたらうれしいのですが。

  1. 日本アイメイト協会と日本盲導犬協会という二つの組織は、全く関係のない組織 なのでしょうか?
    知り合いから「盲を導く犬 = 盲導犬」という呼称で意見が分裂しているという話も 聞かされましたが、もしそうならば何故、別行動なのかも分かりません。

  2. 盲導犬のアフターフォローの項目で
    死亡犬3頭、リタイヤ犬6頭、リジェクト犬3頭 とありますが、リジェクト犬とは何ですか?

  3. 平成9年度の事業計画によれば
    候補犬の訓練新規42頭(繰越候補犬20頭を除く)、パピーウオーキング40頭 (協会繁殖30頭*購入10頭)で、実質合計82頭です。
    一方、昨年度の収入は、9億3035万790円、支出は、9億704万606円です。
    そして、PR 誌「盲導犬ガイド」は70万部作成する予定だそうです。
    盲導犬を1頭育てるのが、いかに大変かを分かってもらえる人ばかりではないと思うのですが、 30年も協会の方々が頑張ってこられたことと照らし合わせて考えますと、 もっと有効な募金の活用方法を広く募ってもいいのでは? という疑問があります。

(M.Uさん) 日本という土壌では、本当に盲導犬は不足しているのか? という疑問もあります。
なぜならば、調べれば調べるほど「ほんとに盲導犬を待っている人はリピーター であり全国の視覚障害者の全てが、また家族が犬を好きではないと言うことから、家の中で 閉じこもっている」ということがわかります。
この事実は、周りの人たちの理解が不足しているという状況が浮き彫りになっていると思います。

(F.Sさん) 私は盲導犬育成の現場の人間ではありませんが、個人的意見を言わせていただきます。

  1. 現在、日本には全盲者が約12万人います(法定盲人は34万人)。 実際の盲導犬利用者は、0.13%という報告があります。盲導犬希望者は1〜2%なので希望者の90% が不足している計算になります。
    ただし、これは、あくまでも協会の報告です。

  2. 供給についてですが、例えば平成8年度の日本盲導犬協会の報告では、訓練終了犬は28頭。 この内、不合格犬になったのは19頭もいます。
    厳しい審査基準があり簡単に合格できないのは当然でしょう。しかし、9億円以上も集めて合格犬9頭 というのは1匹あたり1億円以上の開発費ということです。
    この判断は、どんな関係者の反論があろうと一般企業なら会社の開発費の有効活用を見直しにはいり ます。
    たとえば、PR誌の注文は年間70万部です。公開入札にしたり、印刷代金に対して社会還元を理解して くれる印刷会社を大きく募るはずです。

  3. 「盲導犬くらぶ」という会報誌が年4回発行されていますが、この印刷代や通信費、制作費に、 ものすごい予算が使われています。
    第15号を例にあげると全12ページのうち、賛助会員と寄付者の紹介だけのために何と3ページ半、 紙面の1/4以上が、名前の羅列です。会報誌に自分の名前が載ることを期待して寄付するものでしょうか?
    仮に、そんな不純な動機の人がいるとしても、そのような方の為に会報誌の予算の1/4も使うほど、 予算が余っているのでしょうか?
    これが、私が予算の有効活用を訴える一つの根拠です。

  4. 例えばアイメイト協会では盲導犬希望者に厳しい歩行指導などを義務づけています。
    最低4週間の協会内宿泊施設内での合宿。これは、私も絶対に甘くして欲しくありません。大賛成です。
    しかし、一方で脱落者も多くいます。うまくいかない時に指導者の責任にする人も脱落対象です。 協会ではきちんと説明もしており、これは立派だと思います。

  5. 視覚障害者対象の盲導犬との共存生活の講習会や普及啓蒙活動が不足しています。 盲導犬の理解のキャンペーンなどの対象はいつも健常者主体の傾向にあります。まずは、 視覚障害者の意識と理解(盲導犬がいるとこんなにいいよ等の説明会)が、盲導犬を求める当事者の 声の高まりとして大切なのではないでしょうか?

  6. たとえば、9月29日に盲人ゴルフ大会が開かれます。プロゴルファーも参加する200名規模の大きな チャリティーイベントです。サブでは、視覚障害者も晴眼者も一緒にプレーを楽しめるゴルフ大会! 大変すばらしい! 参加費も全額寄付されます。
  7. 盲導犬を受けた後の餌代、予防注射代 、狂犬病、フィラリア薬代などの費用負担はどうなるので しょう?
    障害者の大半は経済的弱者です。
    以上の私の発言は、文句ではなく苦言を呈しただけですので協会への悪意は全くありません。 現場の人がものすごい苦労されていることも理解できます。また、よりベストを目指す上での問題提起 でもあります。
    特に3番目の疑問は福祉の現場の昔からの声ですが、全く聞きいれてもらえないので半分あきらめたと いう人がいます。(但し、新聞社に対してのものですが…)

(M.Uさん)
リジェクト犬は、すでに盲導犬としての訓練はしているし、おそらく訓練所で どなたかに売っているんですよね?
以前、どこかの協会で、寄付金が個人使用されていたという報道があったと思います。 どうも福祉という名目での不正があるのでしょうか?
近頃は、レストランや、コンビニなどで募金箱がよくおいてあります。おつりなどが募金になって いるんでしょうが、ちゃんと使ってもらいたいですよね?

(Y.Yさん) 我が家も犬の名前で日本盲導犬協会の賛助会員ですので「盲導犬クラブ」という会報誌が 届いてます。
「盲導犬クラブ」には、類似した名のつく「福祉便乗商法」が多いので注意するように いつも書かれてあります。賛助会員になりたての頃、目が不自由なかたの介助犬に関わる団体は 日本盲導犬協会のみであると思っていました。

(M.Oさん) 私の偏見かも知れませんが聞いてください。盲導犬に限らずこれからは聴導犬、介護犬いろいろ 出てくると思います。
管理の面で疑問があります。5年ほど前にバンクーバーで障害者の国際会議がありました。 私は車椅子の議員さんの介護で同伴させて頂いたのですが、会場の中には沢山の介護犬がいました。 ドーベルマン、シエパード、ラブラドール、シエルテーなど…
ところが犬の匂いが全然感じられないのです。お互いの犬同士がすれ違っても、身体をふれても全く 関係ないといった感じでした。 訓練のたまものなのか、飼い主さんのしつけなのか…。
すごく感動してきました。ところが日本の場合は違うような気がします。

(M.Uさん) 私の友人で、まだ日本にアニマルセラピーなんて言葉が無かった頃から、苦労して、老人ホームや 障害者の病院に犬ずれで訪問をしていた人がおります。
彼女は、訪問の前日は、愛犬は徹底的にシャンプーをし、爪をきり、ブラシをかけて連れていった そうです。
そして時間をかけ、寂しそうなお年寄りとのコミュニケーションを犬を媒介にして行なっていた と話していました。そして彼女と愛犬がやっとホームに感謝され、それまで否定的だった病院側と ホーム側が、現在のように動物を受け入れるようになったようです。
彼女は、愛犬の毛が病院に出来るだけ残らないよう努力したと言ってました。ワーキングドッグの ケアは彼女がいっていたように常に手入れがされているものだと思っていました。

(Y.Yさん) 餌代はユーザーの負担だと聞いています。注射代等は知りません。
それで、ユーザーの方は仰るとおり経済的に余裕があるわけではないので、どうしても安価な餌を 与えることになってしまいます。そして、リタイアした頃には毛づやのないボロボロ状態の犬も いると伝聞ですが耳にしています。

(M.Uさん) 人の為に頑張っている盲導犬なのに、あまりにもつらいですね! 盲導犬の過酷な労働は致し方ない とは思いますが、せめて、餌代や予防注射代の一部がユーザーの負担ではなく国で補助するくらい の福祉を考えてもらいたいですね。また、リタイヤ犬の余生を見守るボランティアの輪が広がって 欲しいですね。
結局、ユーザーに渡したから、全てユーザーの責任となっているのでしょうか?
目が悪いから、身体が不自由だから、介護されているわけですよね?
自分を助けてくれる犬だから不自由な身体でも犬の面倒を見るのは当たり前と言うことなのですか? 犬達は、一生懸命働き、そして通常の犬より短い生涯です。
ワーキング・ドッグはあまりにも切ないですね! 

(T.Mさん) みなさんの盲導犬についていろいろな”?”を読ませていただきました。わたしはできれば、 皆さんが盲導犬について”?”と感じたことを直接盲導犬協会に聞いてみてはいかがかと思いました。
疑問に思ったことに対して盲導犬協会はこう答えたが、わたしはこう思う、みなさんは?…
こうすることによって、議論が一方的にならず、より深い盲導犬に対する理解が深まるような気が しています。
MLのテーマにある作業犬について憶測を交えるよりは、実際にどうであるか知った上で議論を交わす、 そんな風になればよいのではないか?と思いました。
そして、実際に各団体がどのように答えたか? お教え頂ければ幸いに思います。
「日本という土壌では、本当に盲導犬は不足しているのか?」不足しているといわれていますが、 実際はどうなのでしょう?わたしにも解りません。
ですが、日本人の犬に対する考え方が、まず、大きな障害のように思います。
視覚障害者が盲導犬がいれば世界が広がる…と思っても「犬って、庭先、玄関先につないで飼う物」、 「犬は衛生上好ましくない」、「盲導犬は特別な犬」、「室内犬とそうでない犬」など、 一般のこのような犬に対する考え方が、盲導犬の普及の妨げになっているように思います。
日本の国民性が盲導犬を受け入れ難くしているのかもしれません。
盲導犬協会はこのような大きな障害を越えるため現在、家庭犬の躾に力を入れています。
つまり、一般の飼い主さん、家庭犬が今以上に犬を知り躾の必要性を感じれば、必然的に犬を社会 に受け入れる土壌が出来てくるのでは?と考えているのだと思います。
そのために各地域で家庭犬躾教室を行ったり、会報誌を出したり実演に行ったり…
それらは、全て盲導犬が社会に受け入れられるための活動です。
そういった意味でF.Sさんのおっしゃっておられた1頭1億円、は当てはまらないように思います。
この一年で育成された盲導犬の為だけに予算が使われているのではないと思います。
今後も含めてより広く犬が社会にとけ込み、盲導犬など作業犬が普及するために予算が使われている のだとわたしは解釈しています。
もちろん、誰もが納得するお金の使い方は難しいと思いますので「どうなっているの?」という意見も とても大切だと思います。

(M.Oさん) 盲導犬についてですが、とても不思議に思えることばかりです。まず、金銭的なものですが私の思 い違いかもしれませんが、繁殖ボランテアをしている人の話ではすべて本人負担とか。 子どもが生まれて引き取る時にドッグフードを少し頂く程度とか。その小犬はどうするのか? 売るのですよね…。

(S.Fさん) 訓練に失格した犬は協会で責任をもってボランティアの家に引き取ってもらっているという返事 をもらった事があるので多分売っていないのでは? よく、わかりません。

(M.Oさん) 売れば当然収入になるのではないでしょうか? 盲導犬は本人は無料でも市なり県が買っているとか? なぜ盲導犬として使える子が少ないのか?
盲導犬を本当に必要としている人が何人いるのか? 疑問だらけです。
盲導犬を持っている人の中には外で番犬代わりにおいている人がいます。フードも安いものを与え、 汚くして…。本当に必要としている人が持つべきだと思いませんか?

(S.Fさん) そこまでの実態は知りませんでした。全く悲しいことです。

(M.Oさん) 別の人はきちんと家の中に入れて飼っています。吠えるのが難点とか…。注射、薬などは市に請求 するようです。フードは盲導犬協会から送られたものを使っていましたが値段は結構高いと思いました。 物は特別のものではありません。色々買わされるみたいです。
障害者の人たちの中にはギリギリの生活の人もいると思いますが、裕福な人も多いです。 盲導犬を持ったとしても全員に優遇することはないのではないでしょうか? その人にあった補助をして ほしいと思います。
盲導犬協会とアイメイト協会は別のものと聞きました。個人的にはアイメイト協会のきちんとした 訓練方法に賛成です。よく募金箱をみますが、何に使われるのか解らないので見るだけです。

(S.Fさん) 「なぜ盲導犬として使える子が少ないのか?」
アイメイト協会の話しでは「利口な不服従」という訓練に受からない犬が多いそうです。 たとえば主人に「GO」と命令されても危険と判断した時は安全を確認するまで命令に従わないと いう訓練です。確かに視覚障害者が主人なのですから大変重要ですよね。
また、犬が主人の背の高さも考えて屋外での障害物を避けて歩く空間認識の訓練も難しいそうです。
1番の問題は裕福でない視覚障害者ほど、回りにケアしてくれる人も少ない傾向がありますし、 同居家族がいたり車所有の送迎してくれる身内がいないような人ほど、盲導犬が有効なのですが 裕福でない人が犬が飼える家に住んでいる人は少なく、おっしゃるような補助が望まれます。

このようなディスカッションを経て、「日本盲導犬協会」、「アイメイト協会」
双方にこの疑問点を投げかけてみました。双方から届いたメールの全文
を掲載することはできませんが、LIVING WITH DOGSにアクセス下さった方々
に盲導犬についてより深い理解を持っていただくために両協会の了解の
もとに掲載させていただきます。

(財)関西盲導犬協会

(Q1)問題行動の予防で去勢手術が必要という話を聞いた事があります。しかし、貴協会の講習会では 問題行動の対処として去勢手段はありませんでしたが、どちらが正しいのでしょうか?

(A1)盲導犬に去勢あるいは避妊手術を行うことは、最近では常識ですが、初期においては必ずしも施術 されてはいませんでした。しかし、生殖能力をそのままにしておくことが盲導犬としての作業に支障 があることが明らかになり、去勢、あるいは避妊手術が施されるようになったと理解しています。 従って、いわゆる「問題行動」の予防という観点でこれらの手術がなされるのではないと言えます。 一般的に、避妊・去勢手術は、ペットを適正に飼育するうえで必要なことであり、「問題行動」を予防 することもあるかも知れません。

(Q2)雄、雌どちらが、盲導犬に適していますか?

(A2)関西盲導犬協会では、雄も雌も盲導犬として訓練しています。数から言えば、雌が4分の3、 雄は4分の1という割合ですが、その成功(盲導犬になる)率には有意の差はないということになって います。
成功率に差がないのに、プログラムに入れる割合に差があるのは、体格の問題、すなわち 日本人の体格には雌の体格がちょうど良いということ。そして、雄は訓練するのが難し いということがあるように思います。全国に8つある盲導犬訓練施設の中には、雌しか訓練 プログラムに入れないというところもあると聞きます。

(Q3)全国の盲導犬協会は8団体ありますが、全て、日本盲導犬協会の支部ですか? 実際はどうなのでしょうか? 実際、日本盲導犬協会に寄付しても関西盲導犬協会に寄付しても 同じ金庫に入りますか?

(A3)盲導犬を訓練するためには、二つの条件をクリアしなければなりません。

    1)道路交通法に基づいて、国家公安委員会の許可を得ること
    2)民法または社会福祉事業法に基づく法人であること

現在、この二つの条件を満たしているのは、北海道盲導犬協会、栃木盲導犬センター、 日本盲導犬協会、アイメイト協会、中部盲導犬協会、関西盲導犬協会、日本ライトハウス、 福岡盲導犬協会の8法人です。
これらは、すべて独立した法人格をもち、本部、支部の関係にはありません。 従って、法人運営はまったく別々に行われておりますので金庫も別です。 例のようなことはありません。
ただ、一昨年から、これら8つの法人のうち、アイメイト協会を除く7法人が全国盲導犬施設連合会 という組織を作り、募金や啓発活動、職員研修や繁殖において、共同して活動を始めています。
このことは、個々の活動の枠を越えて、新しい枠組みを探ろうという画期的な試みです。

(Q4)亀岡の見学会への犬同伴の可否や見学内容など(雨天時の開催など)の詳細を教えてください。

(A4)見学会は毎月第2土曜日、1時15分から3時まで行われております。犬の同伴は認めておりません。 内容は概ね次のとおりです。


1)

ビデオ上映

15分

2)

指導員の説明

30分

3)

犬舎の見学

10分

4)

訓練の実演

15分

5)

質疑応答

15分

見学会は天候に関係なく開かれますが、雨天の場合、訓練実演が屋内になります。見学会は50人の 予約制で、ただ今は9月分を受け付けています。もし、団体やグループで見学したいという場合は、 この定例の見学会とは別に受け付けてもいますので、お問い合わせください。

見学の申し込み、お問い合わせは、訓練センタ−
Tel: 0771-24-0323、Fax: 0771-25-1054までお願いいたします。

(Q5)募金方法や賛助会員などの問い合わせ先や紹介。

(A5)協会の募金箱(オレンジ色のアクリル樹脂製/幅15cm×奥行き10cm×高さ15cm)を設置して いただける場合、賛助会員などに入会していただける場合、あるいは寄付の場合などのお問い合わせ は、協会事務局Tel: 075-881-4618、Fax: 075-881-1224 までお願いいたします。

(回答はMLで公開してよろしいですか?)
   はい、結構です。

(財)アイメイト協会

手短にご質問にご返答させていただきますが、詳細には真実をご理解いただくにはE-mailでは 無理がありますので、ご住所を教えていただければ資料をご送付させていただきます。

盲導犬に興味をお持ちの方は大変多く、よく問い合わせをいただきますが、基本的なことを誤解 されている場合が多いので 、本当の理解を進める上での前提となるポイントを初めに説明させて いただきます。

日本にはアイメイト協会を含めて「盲導犬事業を行っている」と謳っている所が8施設あります。 8カ所はそれぞれ独立した団体で、上部組織の類は存在しません。
一般に「その8カ所がどこも同じ目的で、同じ仕事をしている」と思われています。まず、 これが大きな誤解です。盲導犬の存在理由は「視覚障害者の眼の役割をする』ことです。 しかし実際には、

1)全盲(全く視力がない)の人には渡しませんという協会。 2)外出する時には犬がいても、原則として晴眼者が付かねばならないという協会。 3)犬と白杖を併用して歩く協会。等

上記三つの例は、どれも全盲者が単独歩行できるレベルにないからです。当会では盲導犬と言って、 前記のようなレベルのものと一緒にされることは、「きちんとしたものを、きちんと使っている 人々が困ることになる」ので、盲導犬とは言わず「アイメイト」と称しています。
複数の県庁所在地のバス、タクシーが「アイメイトは乗せるが、盲導犬は乗せない 」と言う ほど違いがあります。
また、「日本の盲導犬事情は欧米に比べて遅れている。その原因は協会が資金的に苦しいからです。」 と宣伝し、毎年数億円の寄付・金品を集めている協会もあります。
日本にある8カ所合計で、年間60名〜70名の新規卒業者がいますが、その半数はアイメイト協会から の卒業です。宣伝上手な施設と実績を上げている施設は全く別です。
当事業は犬の訓練が中心という誤解もよくあります。犬は訓練しても、人間からコントロールされる ことを覚えているだけで、受けた教育を活用して仕事をすることはありません。 あなたが今、急に失明されたとして、訓練の終わった犬だけを渡されて、どこでも自由に歩けると 思いますか。心配でしょうがないはずです。
当事業で一番重要なことは、犬の訓練が終わってから、今度はその犬を使った歩き方を希望 する視覚障害者に指導する(歩行指導)です。 よって訓練士とは言わず、「歩行指導員」と言います。

(Q1)全国の盲導犬協会は8団体ありますが、全て、日本盲導犬協会の支部ですか?
実際はどうなのでしょうか? 実際、日本盲導犬協会に寄付しても関西盲導犬協会に寄付しても 同じ金庫に入りますか?

(A1)

  1. アイメイト協会と日本協会は全く別の組織ですが、 1969年に日本盲導犬協会が厚生省から法人認可を受けた際には、1957年から当事業を行って いた現在のアイメイト協会(当時は日本盲導犬学校)が現場として存在していたから認可を受けられた のです。
    その後、事業を進める上でのポリシーの違い、学校時代から視覚障害者の歩行問題 解決のお手伝いをすると言うのがポリシーです。ポリシーを曲げて仕事はできないので、日本 盲導犬協会から決別し、改めて「財団法人東京盲導犬協会」として事業を続け、1989年にアイメイト 協会と改称しました。
  2. 全国盲導犬施設連合会の設立計画があった頃には当会にも参加が呼びかけられま した。当初の目的は8施設がバラバラで資金集めをしていると効率が悪いから、 まとまって集めて山分けをしようということでした。
    各8施設が訓練の方法も、視覚障害者への指導の方法も、真実の目的も違うことを表面に出さないで 「とにかく金集めをしよう」と言うことは不誠実と考えますので、アイメイト協会は施設連 合会には参加しておりません。
  3. 素質の良い両親を繁殖用に用意して計画繁殖をしておりますので、出産犬の75%はアイメイト となり活躍します。良いものは牡も使いますが、数としては牝の方 が多いです。去勢あるいは避妊手術はいたします。
    飼育奉仕者は申込み制となっております。他に犬がおらず、身近で飼い、可愛がって、 いろいろな所に連れ出して社会経験を積ませてくれる方にお願いしています。
  4. 初めのほうにも申し上げましたが、宣伝上手であることと、本来の事業をして実 績を上げていることとは別であることをご理解ください。
    一口に「盲導犬」と言って同じものと思われていますが、違いがあること社会の方 々に知っていただきたいのです。
    どこが良い、どこが悪いの次元ではなく、違いがあることを知っていただいた上で ご判断をいただきたいと考えています。


    その後の調査の結果、以下のことがわかった。(99/02/20)

    • 盲導犬の寿命は一般の家庭犬と変わらない。
    • 食餌は良質のものを与えられている。
    • 盲導犬の仕事はハーネス着用時であって普段は家庭犬と同じように楽しく生活している。

 

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