【犬と暮らす家(13)】設計から儀式へ〜基礎工事

【犬と暮らす家(13)】設計から儀式へ〜基礎工事

一般的には着工と言われるフェーズに入り、一つの山は越えた訳ですが、私にはまずやる事がありました。2度目の銀行への融資手続です。

先日締結した工務店との建築請負契約。支払いは建築費用を3度に分割させてもらいました。1回目は契約時で今回にあたります。2回目は上棟時。ただ実際は契約時と上棟時の期間が短いため、屋根がかかった頃に2回目の支払いをする事になりました。そして最後の3回目は引き渡し時である竣工時です。

また土地の決裁時に行った都市銀行のローンセンターにアポイントを取り、契約をしました。もう手順は慣れてており、予定がいっぱいの土曜でしたが始業前に予定を入れてもらい、さっさと30分ほどで手続終了。分割融資2回目のローンを契約しました。これで数百万の借金をする訳ですが怖い事とも言えます。Z

それとあわせて建築家の米村さんへの2回目の設計監理料の支払いも行います。これは自己資金から別途支払いました。こちらも最初の契約時と着工時、そして竣工時の3回に分割させていただききました。これでローン以外にもいろいろかかる諸費用も含め、およそ総額の半分は支払った事になります。

さて基礎工事が始まりました。家の基礎はとても重要です。今はほとんどがベタ基礎と言われるコンクリートで家の形の土台をつくります。我が家の場合は地盤もそこそこしっかりしており、既設の擁壁の強度も出ている事から、あまり土をいじらずに工事を行う方向でした。

基礎コンクリートでは配筋がどのぐらいの密度で、かぶりといわれる鉄筋を包むコンクリートの厚みが規定値以上あり、水っぽくない最適な粘度のコンクリートが流し込まれるか、基礎コンクリートと土台となる根太をつなぐアンカーボルトがちゃんと配筋に固定されしっかりしているかなど、できあがってしまった家ではわからない部分が気になります。

しかしこれまで3ヶ所の現場を見させて頂いた和光建設の施工は安心できるものでした。心配性な私はこれから何十年もお金を払い続けるものに対して、自分の目で確認しつつ出来上がっていくというプロセスに、大きな意味を感じていました。

今回は工事に入る前に、既設のプレキャストコンクリートのガレージ部分の防水工事と、接道部分から土地までの高低差をつなぐ階段の作り直しをする事になりました。既設の外階段はとても急なだけでなく、既にガタガタで危険でもあったからです。この家のテーマでもある、「くーと暮らす家」という事からも、ウェルッシュ・コーギー・ペンブロークの短足体型にやさしい家づくりは最重要テーマです。

現実には階段なんかない平屋の方がいいに決まっています。しかし都心近くで暮らすという事は、なかなか広い平坦な土地というのは手がでないのが現実です。あとはいかに工夫をしつつ、高低差をカバーするか。これは短足犬くーにやさしいというだけでなく、飼い主の老後も見越しての共通テーマにもなります。

また既存の擁壁の強度についても事前に調査を行ないました。スウェーデインサウンディング式の地盤調査の結果にあわせ、家の躯体が既設のプレキャストコンクリートガレージにかからないよう、建築家の米村さんがうまくデザインしてくれています。それだけでなく、採光や空間の活用など素人では無理と言い切ってもいい工夫が惜しみなく盛り込まれています。

基礎のフェイズに入ると同時に、上棟式用の木材がプレカット工場へ発注がされました。設計図から材料の長さやほぞの加工など、複雑な組み部分も事前に工場でカットされ、上棟時に組み上げ易いようにグループ分けされて納品されます。この精度は設計時の図面や発注時の資料にかかっていますが、正直数字のミスなどがないものなのだろうかと心配になります。加工された材が上棟日に一気に搬入されるという事になります。

工事の開始にあたり、工務店の現場監督で責任者の栗原さんには、いわゆる向こう三軒両隣に加えて周辺に挨拶をしに行ってもらい、いよいよ工事開始です。最初にどうやって入れたのか謎な大きめのユンボが敷地に入り、階段とガレージの掘り起こしが行なわれました。土木担当チームが今は主役となります。

まず外階段の施工です。擁壁の間に木枠と配筋を組み、コンクリートを流し混みます。勾配は既設ガレージの端にかけてぎりぎりのクリアランスで可能な限りゆるやかに作られます。この階段が先に整備される事で、今後施工にかかわる多くの職人さんが楽になるはずです。

また並行して既設ガレージであるプレキャストコンクリートの上には、改質アスファルトシートでトーチ工法防水が施されます。もともと輪切り状態のユニットを4つ並べて作られている横穴型のシンプルなガレージは、そのつなぎ目から雨水が漏れていました。車が汚れるというのもあり、それを防ごうというものです。

次に遣り方といわれる家を建てる位置のひとまわり外側に木の柵がたてられます。その内側に基礎を作る位置に沿ってユンボで土が掘られ、砕石地業が行なわれました。砕石は良質のコンクリートとしてリサイクル利用されるガラが使われたとの事です。

この時電気工事の配管が基礎の下や駐車場へ延ばされました。普通は家の壁の内側に通されるものなのですが、我が家は構造上内側を一部しか隠さず、構造体をむき出しにするため、配線用の配管を基礎工事前や平行して施工する必要があったからです。着工後すぐに電気屋さんが現場に入っているという事が普通だと思っていた私たちですが、普通はもっと後の工程にならないとやってこないとの事でした。

その後基礎配筋を行なう為にベースとなる捨てコンが打たれ、墨出しがされた上で配筋の場所が決めら、基礎の型枠が組まれました。この日季節的には梅雨のはしりだったので少し雨が降りましたが、捨てコン施工時としては影響のないレベルでした。逆にこれから行われるベースコンクリートと呼ばれる基礎耐圧盤打設中は、雨が降っている時にできない事から、タイミングが重要になります。

細かく配筋が張られたあと、コンクリートを打つ前に配筋検査と同時にこの瑕疵保険の検査員が配筋検査が行われました。主な検査項目にはこのような項目がありました。

・鉄筋のサイズ、本数、ピッチ(間隔)
・鉄筋相互の空き(過密すぎるとコンクリートが回らない為)
・かぶり厚(型枠のせき板と鉄筋の間隔)
・鉄筋の定着寸法(コンクリートへ余分に埋め込む鉄筋の長さ)
・鉄筋の重ね継ぎ手の寸法
・スペーサー、バーサポートの数量、配置状況
・結束線(針金)による鉄筋の拘束状況

これらは一発合格でした。この瑕疵保険は某ハウスメーカーが起こした事件をきっかけに、住宅瑕疵担保履行法が2009年10月に施行され加入が義務化されたそうです。私のように単独で中小の工務店と契約する際、施行業者に万が一の事があった場合保証してくれるという重要な保険です。ただ保険代は施主である私が払わなければなりません。

気温が段々とあがってくると同時に、梅雨が本格的になってきました。その分基礎工事中である私は気が気ではありません。毎日の工事進行状況が現場から米村さん経由で写真が送られてくるのを楽しみにしつつ、ベースコンクリートの打設タイミングが気になっていました。

生コンを流している最中は絶対にだめですが、打設後まだ完全に凝固していない状況で雨が降る事はよい事だそうです。私は仕事中に逐一状況を確認していましたが、いよいよ打設されるという情報を受けたあと天候を心配していた所、9時すぎにはほぼ完了との報告を貰いました。立ち会えなかったのは残念ですが、写真が送られてきて状況を確認する事ができました。

打設後3時間以上経過してから雨が降り始め、夕方からは本降りになり、ぎりぎりセーフという感じです。しっかりとした基礎ができる事を期待しました。

ベースコンクリートが固まったあと、今度は2度目として立ち上がり部分のコンクリートを打ちます。この間しっかりと乾かさないとならないのでおよそ1週間はそのままとなり、くーのアジリティ競技への参加の週末も日が暮れた現場に立ち寄り、ライトで照らしつつ基礎打設の状況を確認したりしました。

コンクリートはあまり寒すぎても暑すぎても凝固にはよくない結果が出そうで、暑くなるとは言ってもこの季節ではせいぜい30度です。暑いと凝固は早まるそうなので、いわゆるジャンガというムラや隙間ができたりしてしまいます。予定していた日に朝から雨が降って延期になったりしましたが、無事しっかりとした基礎ができあがりました。

あらためて基礎が打たれた上に立ってみると、間取りが分かって面白いものでした。しかし全体を眺めてみると、何だか妙に狭い家に思えてなりませんでした。本当にこんな狭い家で大丈夫なのだろうかと不安になったほどでした。

またすぐに迫った上棟式の準備にも入りました。何とか6月中に実施したかったので、雨天時の事や基礎工事の進行が気にしつつ、準備すべきものを洗い出しました。儀式用は地鎮祭と同様で、海のもの、山のもの、畑のもの、お酒、米、塩を用意します。しかしその後の宴会用がよくわかりません。今回上棟式に参加予定の人数を聞くと、およそ30人以上との事でした。

昨今、上棟式をする現場は減っていると聞きますが、和光建設のチームは毎回盛大にされるそうです。その為に照明も設置するという力の入れようで、この場は施工にかかわってくださる職人さんを施主がもてなすという立場になります。

近くのスーパーでオードブルを予約し、当日の直前に取りに行くようにしました。またネットスーパーで冷えたビールや焼酎、ソフトドリンクが当日開始直前に届くように手配。100円均一のショップに行き、紙皿やコップや箸、調味料なども用意しました。また心を込めたものとして何か手作りも出そうと思い、自分でも1品用意するつもりです。

但し、上棟式は当日大雨だと中止となってしまいます。注文しても特に生ものは延期の場合はキャンセルになり、費用が無駄になってしまうのです。この梅雨時にリスクが高いのですが、あとは念じるだけです。もともと私たちは天候には恵まれる事がこれまで多かったので、何とかなるだろうかと期待を込めて、あまり深く考えないようにしました。

他にも御祝儀を全員分に用意します。土木の江南さん、棟梁の木梨さん、工務店の栗原さん、そして建築家の米村さんへは少し多めに包みます。そして引き出物を腐らないものとして、小さいですが日本酒と、縁起ものとして鯛の形に圧縮されたタオル、巾着に入ったこんぺいとうを準備し、最後にオリジナルの「祝上棟式」と書かれたカードを作成しました。

さていよいよ棟上げ。1日で一気に家の形に柱が組上がる日が目の前です。

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