ファーム・サンクチュアリ(福島の動物2)
ファーム・サンクチュアリ
今回は取り残されている家畜にも目を向けてみたい。
生き延びて来た家畜たちに突然「安楽死指示」を出すような政府だから、警戒区域に取り残されたペットたちにも、未だ緊急処置がなされないのだと思う。
正直、今の政府の中枢にいる人たちは、動物の権利や動物愛護の精神が欠損しているのでないかと疑いたくなって来る。
今ここで肉食文化を議論すると収集が付かなくなるので、その問題はちょっと脇に置き、今まさに置き去りにされている家畜問題について今回は触れたいと思う。
今回の福島原発の警戒区域に残された動物のことで、「(ファーム)サンクチュアリ」という言葉をはじめて耳にした人もいるだろう。
海外などでは悲惨な扱いを受けた家畜保護し、終世愛情飼育する牧場として存在する。
もっとも有名なファーム・サンクチュアリの一つがアメリカのバウアー夫妻がたち上げたもの。
バウアー夫妻は1986年夏に家畜置き場に視察に行った。裏手に山積みされる牛・ブタ・羊など腐敗した屍骸の中に動くものを見つけた。それは子羊だった。彼らはその子羊を獣医の元に運んだ。6ヶ月くらいの子羊はまもなく立ち上がり一命を取り留め元気になった。この子羊は女の子でビルダと名付けられた。
バウアー夫妻がビルダを含め同じような境遇の家畜を庭で世話しているうちに、バウアー夫妻の元にはどんどんサポートが増えいった。そして今では北アメリカで最大のファーム・サンクチュアリになった。ここに居る家畜たちはみなとても人なつっこく、サンクチュアリを尋ねる人たちと友だちであり、夢と平和を与えている。
☆取り残された福島の家畜たちも
さて、日本に話を戻そう。今一部の議員(民衆党の高村議員・玉木議員・城島議員など)や獣医師たち(今本先生や夏堀先生・地元渡辺先生など)、さらに多くの愛護団体や動物愛護家人たちが切に望んでいることは、警戒区域の家畜たちを安楽死(実際は殺処分)にするのではなく、サンクチュアリに移動させることである。
場所においては色々な意見があるが、私個人としては警戒区域の外に作ってもらいたい。なぜなら、警戒区域には入る事が著しく規制されているからだ。
前回も触れたが、ペットや家畜は人とともに生きる動物であり無人の所に置くのがそもそもおかしい。
記事を読んでいて、当事者の畜産農家の人はサンクチュアリへの移動を望んでいないのかなぁ?と思われた人も居るかも知れない。
☆ネットの世界では当たり前の事が現地では
動物に関心の高い人たちのツィツターやプログなどでは、少し前から「警戒区域の家畜たちをサンクチュアリに」と何度もリツィートされたりしているが、信じられない事に灯台元暗しで、現地にはなかなかこの情報が繋がっていない。4〜5日前に福島原発8キロで開業していた獣医師(大動物と小動物を診療)が見つかり電話で話した。
その先生は今も現地近くで犬や猫の治療に当たっている。驚く事に、警戒区域でサンクチュアリ構想が出ていることも、議員たちがそのことで積極的に動いていることも知らなかった。
さらに安楽死に同意しなくてもきちんと補償されることの情報が入っていなかった。
そこで概ねの流れを説明したところ「20キロ圏内の畜産農家の人たちは傷心し切っていて、補償もさることながら意欲をなくしている、僕としてはこれでは将来的にも復興はありえない。こちら(地元)だけでは、どうすることも出来ないので力を貸して欲しい」と。
その旨を議員の先生に伝え、議員の先生と地元獣医師とで直接話をしてもらう事にした。
その後、高村議員からお電話を頂き「地元の獣医師と色々情報交換をした。このような情報がとてもありがたい。近く現地でも会う事に」と。
サンクチュアリを作る場所の候補などを地元の獣医師から聞き、具体的な模索が始まっている。
動きが鈍いのは、飼い主から依頼があった警戒区域の犬や猫の救助、並び放浪している犬や猫の捕獲保護。こちらは信じられないほど成果が出ていない。あまりにも救助される犬や猫が少なすぎる。
すでに震災から2ヶ月半が経過している、残された動物たちの体力も限界に近いと思われる。
保護団体の多くは、20キロ圏内に直接入り保護することを望んでいるのだから、政府も認可制で良いのから民間の保護団体を一日も早く入れるべきと思うのは私だけだろうか。
(2011/5/28))(友納由美、riesha Twitter Name)