【犬と暮らす家(15)】現在建築中〜屋根と断熱材の施工

【犬と暮らす家(15)】現在建築中〜屋根と断熱材の施工

上棟式が終り、現場が動き出しました。私たちは職人さんの10時のお茶の時間にあわせ、平日は行けないので、できるだけ土曜に現場に行くようにしました。

いつものパターンとして、現場に行く前に建築家の米村さんの事務所に立ち寄り、一緒に向かいました。毎回助手席では米村さんにくーが大歓迎の熱いキッスの応酬です。途中のスーパーで飲み物やお菓子などを買うのを忘れず、朝から頑張ってくださっている職人さんに冷たい飲み物を出すよう心がけました。

毎週土曜の午前中には、私たちや米村さん、現場監督でもある工務店の栗原さん、そして職人さんなどあわせて10人弱が集まり、10時から13時頃までみんなで色々な雑談をしました。せっかく建てて頂くわけですから、それならば現場は楽しんで貰いたい。そう思って頂けるなら、施主としてはこれ以上嬉しい事はありません。

我が家の現場は、目の前が6m道路です。これまでみさせて頂いた現場は細い4m道路がほとんどで、工事車両を停めるだけでも大変だったようです。特に都内だといろいろ近所で些細な紛争も起こりがちで、その対応は大変なのが想像できました。今回の我が家の現場は随分恵まれているようです。確かに職人さんはそれぞれ車で来られるわけで、この現場は車を横付けできる上、近所に一時的に停められる場所も多いのがストレスを軽くしてくれたようです。場合によっては施工期間に月極駐車場を借りなければならない現場もあるぐらいですから、建築中の現場環境の維持というものの大変さを初めて知りました。

また土地柄、人がおおらかでよい雰囲気だった事もあります。当然そんな中でも配慮しなければよい関係は保てません。このあたりは工務店の栗原さんの挨拶や心遣いにかかっています。私たちとしても、これから住む者としてはできるだけ平穏に工事は行ってほしいわけで、ましてや紛争など起きたら、と正直心配は少なくありませんでした。

今回全面道路の広さに加え、ビルトインガレージもある事で、資材置場としてや、ステーションワゴンクラスであれば内部に停められる事もあり、条件はよかったのではと思います。

上棟式のあとに行く現場は、穏やかな空気が流れていました。施主も職人さんも顔を知る事ができて、挨拶ひとつ取っても笑顔が自然と浮かびます。

上棟式後の数日、ゲリラ豪雨の心配はありましたが、運よく現場が雨ざらしになるような事は回避されていました。垂木の上には上棟翌日には合板や断熱材が入れられ、透湿防水シートが張られ、通気胴縁が施工されてと、どんどんと形になっていきます。同時にまだ外壁ができていない外周においても、一時的に防水シートが張られ、内部や建材が濡れないようにしてくれています。

前後して現場の足場を囲むように、工務店の名前の入った目隠し兼防護ネットが張られました。これでしばらく現場は外から見えなくなります。しかし季節柄これからどんどん暑くなっていきます。おまけに梅雨時ですから蒸し暑さも相当なものです。通気性が落ちたハードな現場で、日々2〜4人の大工さんに加え、電気の安藤さんが入って工事が進んでいきました。

我が家の屋根に使う断熱材は、外壁用と同じく高性能ですがコストが張る「ネオマフォーム」が使われます。ネオマフォームは製品名で、材料はフェノール樹脂をベースに発泡硬化させて生成されたフェノールフォームが使われている断熱材です。

フェノールフォームはフェノール樹脂に種々の変性を行い発泡硬化させるものだそうで、発泡プラスチック系の断熱材の中では最も優秀な部類に属する性能を持っているようです。難燃性、耐熱性、断熱性、極低温特性、耐薬品性などに優れ、外張り断熱材としては薄くて高性能で高価な製品のようでした。

これまで床下や一部使われているのを目にした事はあっても、屋根材や外壁など広い範囲にネオマフォームが使われている現場は初めてでした。いわゆる外断熱です。といってもせいぜい見学させて頂いたのは建築家米村さんの現場4件程度で、施工時にその場を見る事ができるタイミングに限られます。壁の断熱方式については殆どが充填断熱と呼ばれる内壁側に断熱材を施工する方式で、主にモコフォームという発泡ウレタンによるものが多かったように思えます。

我が家は耐久性を軽量高性能に加え、意匠性や施主の希望から屋根の一部や外壁はガルバリウム鋼板を使う事になっており、その間をしっかりと断熱して貰う必要があります。屋根の部分では断熱材の上に透湿防水シートであるスーパーエアテックスという製品が張られました。いわゆるタイベックシート相当と呼ばれる製品で、空気は通して雨は通さないものです。よく衣類やテントで使われているゴアテックスやタイベックは、デュポン社の登録商標分高価であり、同等性能という事でよく使われる製品のようでした。

そして屋根のもう一部には、FRP防水よりも施工が周囲や工事現場に優しい、リボール・マイティ防水が採用されました。この防水方式は新幹線の屋根の上にも使われ、耐久性が高く有機溶剤を一切使用していない水性塗膜防水材との事でしたが、私まったく分からない世界でした。

屋根に合板が張られ、一時的に断熱材が張られる前に登らせて頂きました。するとこれまで見たことのなかった風景を見る事ができました。土地の形状は、我が家の南西方面の2軒隣からあたりから少しづつ下っています。そのまま北西側はそのまま急に落ち込み、その先は川に沿って低い土地が通っています。このゆるやかに下っている部分は武蔵野大地の段丘崖のようでした。この地形から、西側から北側にかけて、広く視野が気持ちよく広がっていました。

低い位置に流れている川は、後に荒川に流れ込みます。この川を挟んだ向こう側は、また段丘崖が立ち上がり、武蔵野台地の北側に続いているようでした。

またこの土地は上位段丘に位置し、昭和22年や38年頃の地図をみると、緑地公園の雑木林の一部だったようです。近くを通る幹線道路はこの間に作られたようで、その頃を想像しながら土地が造成された地形を分析すると、我が家の前の6m道路は斜面を削って作られたと想定する事ができます。そう、地盤調査の結果からも盛り土ではなく、接道部分が切り土だという事から安心できたのでした。

道を挟んで対面は低くなっている事から、屋根の上からは対面の家の屋根の上を見下ろす感じになります。ぐるっと360度屋根の上で見回してみると、東側と南側はほぼ同じグランドレベルで家が建っていて、その部分だけは見通す事はできませんが、およそ150度ほどは視野が開けているのが初めて体感できたのでした。

しかし南側は接近しており、今の建築基準からは北側斜線が微妙な屋根の高さでした。これは確認申請があったとしても完了検査が任意だった頃に建て替えたからでしょうか。ここ10年、20年で建築における検査項目は厳しくなったり余分な制度が増えており、少し前の家に建てられた家は現在の基準に沿っていない形状のものも少なくありません。現実には建ってしまってからはどうにもならないという感じです。

現在は家を建てる時に確認申請を役所もしくは正式に認定された民間の検査期間が検査の上通し、許可されて初めて工事がスタートします。竣工前にまた完了検査というものを受けるのですが、これが義務化されたのはそれほど古くないと聞きます。ましてや増築改築などでは尚更曖昧になっているようで、紛争が少なくないという話も聞きました。

我が家は米村さんが厳しく設計しています。この土地は方位の中心線がずれている事から、100%の東側ではなく、北北東にかかる屋根も日照を周囲に確保するため削られています。その分狭くなったり自由度もなくなるのですが、我が家としては特に異論はありません。実際北側の家の洗濯物には、屋根ができても日差しがさんさんとあたっていました。

東側はなぜか2m程度の空き地が隣の家との干渉地帯として存在しています。どうも少し北側のマンションの共有部分となっており、単なる行き止まりの草むらになっています。ここに建造物は建てられないのでラッキーでした。

接道側は厳密に言うと西南西を向いています。こちらからは対面の家のむこう側に、もうひとつの緑地公園の雑木林が見えました。こちら側に富士山が見えるはずで、ロフトの位置に小さい換気用の滑り出し窓があって期待したのですが、残念ながら探してもみつかりません。武蔵野の風景として風物詩でもある、高圧電線の塔と電線が、その雑木林の向こう側に見え、見上げると何も遮るものがない広い空が広がっていました。

屋根の上で過ごしていると、妻がとても嬉しそうでした。坂の町、神戸出身の妻は、坂を見下ろす高台の家がとても落ち着くのだそうです。実家も今のマンションも視界を遮るものがない少し高い位置にあり、見晴らしはよい方でした。確かに周囲ぎっしりと囲まれていると、閉塞感が感じられます。この屋根の上から見る風景はとてもよいご褒美でした。更地の状態では気がつかなかったポイントです。

このあまりに気持ちのよい風景を見てしまい、妻が突然、屋根の上に出入りできる窓が欲しいと言い出しました。確かにメンテナンスという意味でも有効なものです。但しコスト上、手すりや柵などはありませんので、本当に緊急用としてしか使えません。でも採光も望め、すっかり窓がある方がよいという気持ちになってしまったのです。

米村さんと栗原さんに、あそこに窓を追加する事は可能か、またどの位のコストアップで実現できるかを聞くと、それほど高額にはならないという事と、実現できるかを検討してくださる事になりました。妻は大喜びです。

ロフトの床にも合板が張られました。多くの建売住宅が○LDKの○部分の数が多ければ多いほどよいと思われる間取りになっていますが、我が家はある意味巨大な1LDKです。主に過ごす約17畳のLDKと、通路際に作られる約5畳のワークスペースが繋がっているので、ほぼワンルーム。吹き抜けや階下に土間とパウダーと寝室がある間取りとしては前に住んでいたマンションよりもシンプルな構造です。ただ子供もおらず、夫婦と犬だけが暮らす家としては、必要充分な広さになる予定です。しかし来客時に寝る場所がないのも困ります。そのためロフトを予備スペースとして確保する事にしたのでした。

そこに脚立を使って登ってみると、何だかちょっと嬉しくなる空間でした。高さはロフトの基準をしっかり守っていて1400mm以下となっており、頭をかがめなければなりません。それがなぜかとても落ち着く気分でした。ロフトはコスト調整時に削除ができるかと指摘された部分ですが、私としてはなんとしても欲しかった空間でした。

実際ロフトがこういう形や大きさになるという事は、すべて米村さんにおまかせしていたので、図面ではわかっていてもこうして形になって初めてそれが理解できるという事が多いようです。ただ吹き抜けや高い天井ばかりではなく、メリハリのある空間というものがいかに物理的と視野的な違いに出るものだというのが実感できた気がしました。

またまだほとんど構造体の骨組みだけという状態の時に、構造計算をして頂いたクレモナ建築構造研究所の建築士の白須さんに現場に来て頂いた。和光建設さんの造りはいつも丁寧だという言葉を頂き、嬉しくなりました。今回我が家は中庭型で、ガレージが埋まっている部分には躯体の重量をかけないような複雑な形状をしています。これを木造で組む場合は、繊細な構造計算が必要となり、これまでの米村さんの作品でも白須さんは重要な役割を担っているのでした。

現場には釘やカッターの歯などいろいろと危険なものが落ちています。工事現場なのだから当然です。そんな所にくーを連れていくのは危険なのですが、毎週末家に留守番させておくのもかわいそうです。そして何よりこの家の施主でもあるわけですから、できる限りくーも現場へ連れていきました。

クレート待機の時間もありますが、安全が確認できる場所ではくーは喜んでうろうろ。休憩時間には職人さんに順番になでて貰ったりと、嬉しそうでした。ただ暑くなってきているので、水分をしっかり与え、車のエアコンを使って熱中症にならないよう、気を配るのは飼い主の役目です。

屋根も仕上がり、サッシや内部がこれから本格化していきます。

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