置き去り犬のタロとジロと原発の動物たち
置き去り犬のタロとジロと原発の動物たち
南極に置き去りになってしまった15頭の樺太犬たち、隊員達はタロとジロが生きているとは想像もしていなかった。
第二次越冬隊がどうにか数日中に基地に戻れるということで、鎖につないだままだった。
いかんせん、氷に閉ざされた海を砕氷しての航海、基地にたどり着けず、やむにやまれず、置き去りとなった。日本に帰国した隊長は、15頭の犬達について、悔やまれる言葉を残した。
どうにか、タロとジロは、鎖をかみ切り、フリーになって命をつないだ、全頭が鎖につながれていなかったら、おそらく生存率はもっと高かっただろう。
そんなことを思うと、原発20キロ圏内の動物のことを思う。放たれた牛は元気に草をはむ。つながれたまま牛舎で餓死している牛たち、放たれて子供産んでいた母豚と子豚たち。ほほえましい光景だったが、この豚たちは殺処分された。
家族といわれて久しい犬や猫も置き去り、最初の原発爆発直後の緊急避難では致し方無かったかもしれないが、その後、何度も連れ出せたであろう、なぜ家族の犬や猫を置き去りにしたのだろう。
この有様は、50年前のタロとジロの時代よりもひどすぎる。日本は動物愛護先進国を目指していたはずである。
一気に50年以上の前の日本に戻ってしまった。巨大地震とその後の津波、いくら想定外の自然災害といっても、その後の始末があまりにも遅すぎる。人の命が最優先なのは当然のことだが。
今回の災害が一段落して、普通の暮らしができるようになったとき、様々なことが明るみにされるのであろう。たくさんの人たちが我慢に我慢を重ねていることはあきらかだから。
(2011/7/1)(LIVING WITH DOGS)