ドイツでも紹介された福島のラッキーな犬たち

ドイツでも紹介された福島のラッキーな犬たち

3月11日の大地震と津波の後、ドイツの雑誌や新聞で紹介されて人々の涙を誘った写真があった。がれきの山に囲まれて、一人泣いている若い女性の写真だ。(この写真は世界中で発表されたということだ)。

この女性は何を失ったのだろう、と私はその写真を食い入るように見たのを覚えている。家族? 家? それともその両方?

AP通信のカメラマンは、この女性があまりにも悲しげだったので話しかけそびれたらしい。その後、女性は伊藤あかねさんという方で、実は飼っていた犬を探しに来ていたということがわかった。

ドイツで最もポピュラーな犬雑誌「パートナー・フント」は、カラーの一頁全部を使って、伊藤さんがついに探し出した愛犬を抱きしめる写真を紹介している。

海で漂流していた犬の「ばん」を自衛隊のヘリコプターが救出する模様もまずインターネットで話題になり、ドイツの同雑誌でも説明入りで詳しく紹介された。私は一頭の犬の命を救うためにがんばってくれた自衛隊の方々に心から感謝している。それに、動物保護意識に関する日本の「評判株」が少し上がったということにも嬉しかった。

その後、たまたま見かけた日本のインターネットの書き込みに、「犬を、ヘリコプターを使ってまで救うということに、違和感を持ったのは私だけだろうか?」と書いた人がいた。私はちょうどそのとき日本にいて、テレビニュースの犬救出の模様を見ながら、「きっと異議を唱える人が1人や2人、出てくるだろう」と思っていた。

目の前に救える命があるのに救わないというような、日本がそのような国であってほしくない。
もちろん、私たち(犬を救いたいと思っている私たち、という意味だが)は、福島の危険区域にまだ残されたままの犬のことも知っている。野犬化しているので捕獲もままならぬ状態だというニュースを昨日読んだばかりだ。家に置き去りにされた犬たちは首輪が抜けるほどやせ細った状態だという。そのうち役所が毒殺するのではないかと危惧する友人もいる。(ドイツで地滑りの災害が起きたとき、パニックで逃げた犬は罠で捕まえた)。


マイクロチップスが災害時に役に立つ

ドイツの自然災害と言えば洪水である。日本の地震や津波といった、予測不可能な災害ではないので、避難する時間も普通十分にあるのが不幸中の幸いだ。  救命ボートに犬を連れて避難するのは言うまでもない。ペットを置き去りにすることは始めから視野にない。避難する場所に犬を連れて行くことが不可能である場合は動物ホームが預かるか、もしくは消防署が手配する動物用の檻に入れることになっているそうだ。

以下はドイツの、災害時の心得。

避難するときは、犬の予防接種証明書や、餌、水、スナック、お気に入りのおもちゃなどを持っていこう。
犬を車に入れたり、家のどこかにつないだりするのは危険。命に関わる。
移動中はリードにつないで、口輪をはめること。(パニック状態の犬が救助しようとする人に噛みつくかもしれないので)。
マイクロチップスの番号を控えておくこと。
マイクロチップスはドイツでは義務である。マイクロチップスを埋め込んでおけば、見失っても速やかに発見することができるのだ。(2011/9/19)(ドイツ、小野千穂さん)

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