ペット防災講演「災害時の動物救護について、3.11東日本大震災を経験して」

ペット防災講演「災害時の動物救護について、3.11東日本大震災を経験して」

まず、あの日から今日まで、動物救護のために奔走されている福島県保健福祉部食品衛生課の獣医師、平野井浩先生および職員の皆さんに敬意を表する。

東京都はペット同行避難を推奨しており、新宿区ではすべての一時避難所(学校)に避難者がペット同伴で来ることを前提として、ペット防災のマニュアルを作っている。

「いざという時に災害からペットを守るために」                                       


「新宿区学校避難所動物救護マニュアル」

平成15年には新宿区獣医師会と協定を結び、各学校には動物救護に必要なものが配備済みとなっている。もちろん実際に災害が起こった場合、現場で何がおこるか、何ができるか、わからないことも多いだろう。それでも予備知識があるかないか、備品の準備ができているかいないかで明暗は大きく分かれると思う。

講演してくださった平野井先生の話は現場で死に物狂いで活動してきた人だけが語ることのできる真実に満ちいた。H19年に作成された災害時におけるペット救護のマニュアルは、地震と原発事故のダブル災害のために絵に描いたもちになってしまったという。

着の身着のままで避難した飼い主からの保護依頼を受けて、防護服をまとい現地に入る。しかし国の方針で30キロ圏内への立ち入りが禁止される。
なぜか非難、誹謗中傷は飲まず食わずでがんばってきた現場の職員に向けられ、電話回線がパンクしたのだそうだ。朝から晩まで苦情の怒号に対応しなければならず、夜10時にようやく出来る範囲の動物救護に向かい始発で家にもどるという時間が続いたそうだ。
ネットのうわさ、現地にきたこともない人たちの非難の声に苦しみながらの保護の毎日は想像を絶する。

避難所ではペットをつれて避難してきた人たちが罪悪感をもっていて、隠れるようにひっそりとNPOなどの支援の餌で食いつないでいたという。避難所での課題の一つだろう。
保護した動物で飼い主のみつからないものについては譲渡活動も行っているが「汚染された動物を他にばらまくな」などという心折れる批判も受けたそうだ。(保護動物はすべてスクリーニング済み)

やがて他府県からの職員の協力、東京都や環境庁との協力を得、一時帰宅が許されるようになると、そのチャンスを生かしてさらに動物たちの保護をしていった。もちろん途中からNPOの協力も得た。
そしてたくさんの動物たちが苦心の末の保護施設にいれられると次にその施設に対する「虐待だ」との誹謗中傷が続いたそうだ。
先生は誹謗中傷を受けた、と話しに来られたのではなかったが、私の中に大きな鉛の塊のように、こういう悲しい実態があらわになって沈んでいった。

現在さらに場所を移動した動物たちの環境は格段に良くなり、猫にはフリースペースもできた。
犬のためにももちろんQOL(生活の質)をあげるための工夫ができるようになった。
猫の場合すでに第2世代第3世代まで子孫がふえており、犬の数はほとんど確認できないほどにまで減っているそうだ。

最近になってようやく理解が得られるようになり動物愛護のための予算も計上されるようになってきたのだそうだ。しかし保護動物の数は多く、引き続き皆様のご支援を必要としている。
義援金もボランティアも必要である。原発事故のため、ボランティアの数は神戸のときと比べ物にならないほど少ない。
預けられている犬たちは、飼い主さんが面会に来た翌日は血便になる子が多く、犬たちの心も傷ついている。

飼い主にできること。
地震や災害でわかったこと。

・猫は室内飼いをする。
・迷子札をつける。
・と飼い主の信頼関係をしっかりと結ぶ。
・畜犬登録をし、犬の住民票である鑑札と注射済み票を身につけさせておく。
・マイクロチップも有効。
・携帯の中ではなく、紙に焼いた犬や猫の写真数枚を用意しておくこと。
・避妊去勢をしておくこと。

現在の福島ではこの災害で得た教訓と対策をパンフレットにして配布しており、ペット同行避難を推奨している。(2012/10/31)(東京都 T.Mさん)「犬と猫の日々New

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