リズがくれた生きる力


リズがくれた生きる力

愛犬と出会ったことで人は生きる望みを抱き、命の大切さを噛みしめることもあります。ご主人の優しい愛情のもと、ある女性が愛犬と共に暮らすことで難病に立ち向かっています。
そんなご自身の体験をLIVING-WITH-DOGSに語って下さいました。
このご寄稿をお読みになった方で、健康に自信がないことを理由に犬との暮らしをあきらめていた方への勇気の一歩となればと思います。(LIVING WITH DOGS)


12歳のリズと10歳のタバサ、2匹のゴールデンと人間2名で、暮らしています。私の事を少し、お話してもよいですか?

13年前に結婚をし、甘い新婚生活を送っている半年後の3月3日、私の大好きなひな祭りの日、私の人生が変わりました。全身性エリテマトーデス、というエリマキトカゲみたいな名前の病気になってしまったのです。高熱、体の痛み、強い薬の投与、など思い出しても、つらい日々で、病気が落ち着いてからも、精神的に回復するまでには、時間がかかりました。

1年近くが過ぎ、あまり、外に出られなくなった私に、主人が犬を飼おうといってくれたのです。この身体で?と迷いましたが、元来の動物好き、深く考えない性格で、現在のリズと出会ったのです。
当時、ゴールデンが少なく、随分探して、やっと見つけました。
それからの私の生活は一変しました。

この子のために、元気でいなくちゃ! 入院したら、だれが、この子の世話をするの?
大好きだったダイビングができなくなった海をみることもいやだったのですが、リズを連れ浜辺を歩いて、「こんな楽しみもあったんだ!」と気づきました。色々な、「違う楽しい生き方もあったんだ!」と。

あれから、12年。今では、すっかり元気な私です。知らない方は、2頭の大型犬を連れた元気なおばさんと見ているはずです。そして、今、私を支えてくれていたリズがすっかり年をとってしまいました。

昨年の秋から、足が弱り、歯茎にも、腫瘍ができ、目も白内症がでてきました。
食欲は、2頭いるせいか落ちることはないのですが、静かに、でも確実に、止められない老化が始まっています。
プロポリス、アリナミンEX、フレックスパワーなどのサプリメントを与え、少しでも長く元気にと、思っているのですが、ゴールデンの12歳は、やはり高齢になるようですね。

今度は、私がこの子を支えていかなくちゃ。と思いつつ、なにもできずなにをすればこの子の望むことかわからず、戸惑いながらも、自分で自分に問いかけながら、毎日が過ぎてしまいます。

犬や動物が人間に与えてくれる素晴らしい気持ちは、現代医学でも治せない事を、可能までとはいえなくても、それに近い物として治癒力、免疫力を高めるんだろうなと感じています。(何しろ、私の場合、奇跡に近い!と言われましたので)

『そういう気持ち、伝えれば、誰かの励みになるよ』と、主人は言いましたが、なかなか勇気が出ませんでした。

リズは、年末あまり足の調子がよくなく、いよいよ寝たきり生活かなと覚悟を決めて、お正月に大好きな八ヶ岳の山小屋で思いっきり遊ばせようと出かけて来ました。

ところが、この寒いのにすっかり元気になってしまって・・・?
足が、崩れることもなく歩いているんですね。もちろん、若いG.R.のように飛んだり跳ねたりではないのですが、前足も後ろ足も、からまる事なくグニャと崩れずにお散歩もできるし、お部屋の中も歩いているのです。ビックリ!

10日間ほど滞在したのですが、心配することはなくむしろ元気になって、目もランランと輝きを取り戻して帰ってきました。獣医さんいわく、自然の中で普段使われていない本能が働いて生命力が沸いてくるんだよと、おっしゃっていましたが本当に驚きです。

私も、元気の空気をいっぱい吸って、今年も、きっとマイペースだろうけど、みんなの後ろをてくてくと歩いていこうと思っています。

なぁんとなく、13歳を目指すぞと企んだりして・・・。
少し、気持ちが落ち着いた新年でした。

老犬との生活は、あまり変化がなく、穏やかな大きな川の流れのようです。(現実は、オネショや、足の補助、マッサージ、若い頃より手はかかりますが)

今年は、私の生活もこの流れのままに流されてみようと思っています。学びたい事、やりたい事たくさんありますが、それはもう少し先にして、今はリズと向きあって過ごす毎日が、私にとっては大切な事と思えます。

リズにとって残り少ないだろう毎日は、私に、老犬との生活以上に、愛おしさや、暖かさや、尊さなどたくさんの大切な事を教えてくれています。(2001/02/01)(東京都、Sさん)

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