デトロイトの犬たち

デトロイトの犬たち

私は、毎年、年の行事として1週間ほどアメリカの地に出向いてます。その地は大都市ではなく、アメリカの趨勢を垣間見ることの出来るような小さな都市です。
2011年、オハイオ州のトレドという町に行きました。トレドのホテルはそれなりにちゃんとしていましたが、窓の外の景色は、窓に打ち付けられた板のビル群でした。この町はビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)の反映したデトロイトの近郊でした。トレドの産業はというと、車の窓ガラスの生産を担っていた工業地帯でした。残念ながら車産業の衰退で見る影も無く、人通りの少ない町でした。買い物をしたくてもタクシーで30分ほど行かなければならないような町でした。しかし、この土地で見た犬たちは、お散歩するシェパード、ボール遊びをする犬と平和な様相がまだ見られたのでで、安心していました。

2012年は、西海岸に近いリノと言う町でした。この町は、カジノもあり、大きな繁栄は無いにしても、そこそこの売上げはありそうと思われました。週末の旅行者の中には犬連れで宿泊する姿も見られました。

2013年、シカゴ近郊の町、フォートウェイン(インディアナ州)に訪問しました。フォートウェインのホテルの近隣はでは、犬と一緒に散歩する人はまったくと言って良いほど見かけませんでした。

あのビッグスリーの本拠地として栄えたデトロイトは、悲しいかな悲惨な状況になっています。金銭的に犬を飼い続けられなくなった飼い主に捨てられた犬たち、正しい飼い方を理解していないため放浪している犬たち。他のペットを殺したり、郵便配達員にかみつく野良犬も増えている様な状況です。
このような野良犬であふれている動物保護シェルターでは、70%以上が安楽死させられている状況だそうです。

市動物管理局責任者のハリー・ウォード氏は「これほどまでに広範囲にわたって空き家があれば、犬の問題が発生するのは当たり前の状況だ」と述べています。

「野良犬の数は住民の安全を犯すような危機を示している」と話しているのは、米動物愛護協会HSUSのアマンダ・アリントン氏です。

同氏は昨年10月にデトロイトを訪問したときを振り返り、「まったく活気が感じられない、終末後の世界のようだった。屋内にいる住民と路上を走り回る犬以外、何もなかった」と語りました。    

アリントン氏によると、住民は近所の人が世話をしてくれると期待して、ペットを置き去りにすると指摘。こうして飼い主を失った犬が路上をうろつき、繁殖するという。

管理局員はたった4人です。
7月18日に破産法9条の適用を申請したデトロイトは180億ドルを超える長期負債を抱えました。歳入の落ち込みは警察や消防などの縮小につながり、動物管理局も例外ではありません。

動物管理局の予算は年間160万ドル。ワード氏の下で4人の局員が360キロ平方メートルのデトロイトを担当する。同氏が責任者となった2008年以降、局員数は11人減少した。

ワード氏は「われわれは極度の疲労と人手不足に心底苦しんでいる」と語った。

このような状況下で、デトロイトは犬天国となることは当然ですが、犬の食料も無いような、悲惨な野良犬天国となり果てたようです。
(2013/10/4)(LIVING WITH DOGS)

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