猟犬を考える(2)

猟犬を考える(2)

犬の起源は、狼ともディンゴともいわれています。
現在の犬の大きさは、チワワのような超小型犬から子牛ほどもあるグレートデンまで様々です。しかし骨格は犬も狼・ディンゴもまったく同じです。狼・ディンゴのような原種を起源として、人がその用途に向けて改良していった結果、現在の犬種があるのです。

今泉忠明先生の「イヌの力」では、冒頭の「イヌが分けた人類の明暗」で、ヨーロッパ、2万9千年前のネアンデルタール人は命がけの狩りを行っており、ネアンデルタール人の消滅の原因の一つとしてイヌを友としていないことをあげています。クロマニヨン人は犬を友とし、狩りの効率もあがり生き延びることが可能になったと、クロマニヨン人は現在のヒトへと進化しているのです。当時の犬は、クロマニヨン人と一緒に狩りをすることから共存共栄の状況でした。

この日本では、縄文時代の犬達は大切に埋葬されたと考えられる出土例があります。縄文犬は、埴輪や土製の犬、銅鐸から犬達の働く姿が想像出来ます。栃木県藤岡遺跡出土3千年から2千5百年前の地層からの土製の犬は、耳や尾が立ち、猪に向かって大きく口を開けて、構えて吠える様子が型どられています。日本は犬を猟の友として共存した歴史を持つのです。(参考文献 : 日本の犬・歴史散歩)

猟犬、それは、本来の犬の狩猟本能を最大限に生かすものです。
私達ヒトは肉食獣である犬と、何万年ものあいだ狩猟を命をかけて行い。野生の動物を狩ることによってヒトと犬は命をつないできました。

現在は、一部の地域の人を除き、普段、私達が狩猟で食料を得るようなことはありません。狩猟で食料を得ている人は地域的な文化を守る僅かな人達だけでしょう。

ワーキングドッグとしての狩猟は、今やこの日本では、一部のハンターを除いてスポーツハンティング、レジャーハンティングとして継続しているのが現状なのです。日本での犬を使用しての狩猟はルールや規制の中で、スポーツハンティングは行われるべきでしょう。
犬を愛する人として、古代の猟犬に感謝の思いも込め、犬の狩猟能力を絶やすことはしたくありません。狩猟本能を受け継いだ犬達は、その狩猟本能を家庭犬として暮らしながら活かすことを目指していただきたいと願っています。

(2002/06/17)(LIVING WITH DOGS)

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