猟犬を考える(5)


猟犬を考える(5)

イノシシ猟について、日本では古代から犬を使って猟を行っていました。これは、鷹を利用した猟と同じで、伝統とも言える技の領域になると思います。
農業従事者にとって、イノシシが大切に育てた農作物を一晩で食い荒らすような被害は日本のあちこちで未だに起きています。イノシシを害獣とするのか。保護動物とするのか。共存共栄を考えるには適度な繁殖、間引きが必要でしょう。
環境省の「犬にかみつかせる方法でのイノシシやシカの乱獲が目立つため、環境省は今秋の猟期から、犬を使った狩りを禁止する方針を決めた」の真意はどうも不適格なハンターを閉め出すためのものではないでしょうか?そうであるならば、猟犬をしっかり管理できないハンターを対象とした規制とするべきであり、犬を使った狩猟方法自体を禁止することは伝統を絶やすこととなるのではと思われ残念でならないのです。
安全性をより確保するための禁猟区の拡張、猟犬飼養者の適正基準、猟犬の許認可制度、飼養環境の基準などを設け、また猟犬放棄を防ぐマイクロチップの導入を行い、不適格なハンターには猟犬を使えないようにする規制をいち早く設けることで、狩猟者による乱獲という状況はなくなるものと考えられるのですが、是非ご考察いただきたいものです。(LIVING WITH DOGS)
イノシシについてインターネットで調べてみました。

[とちぎ鳥獣戯画]イノシシ 人との戦い、昔から延々 /栃木

イノシシは雑食性であり、草の根やタケノコ、ミミズ、カエルなど、いろいろなものを食べる。農家が作る稲や野菜なども、格好の餌になる。このため、イノシシが生息している地域では必ずと言っていいほど、農業被害が問題となっている。人間とイノシシとの戦いは、はるか昔から延々と続いてきた。人々が自給自足に近い形で暮らし、農作物の出来不出来が生活に直接結びついていた時代、天候とともに獣害は、人々を大いに悩ませていた。畑に小屋をかけて寝ずの番をしたという古文書も残っている。
やがて農民たちは、イノシシ対策協議会(というのがあったかどうかは知らないが)を設立し、協力して農地を守ろうと考えた。そこで作られたのが「シシ垣」(イノシシ除けに土や石で作った垣根)である。農地とイノシシ生息地を分離してしまおう、という画期的な被害対策だった。
また、シシ垣沿いに落とし穴を作り、効率的な捕獲も行われていたようである。シシ垣の遺構は現在でも数多く残っており、先人たちの苦労がしのばれる。そして現在、シシ垣は網柵(さく)や電気柵に、落とし穴はくくり罠(わな)や箱罠に変わり、鉄砲も発明されたが、被害は相変わらず続いている。なぜだろうか。その原因は、第2次産業や第3次産業の発達による産業構造の変化、それに伴う農村の高齢化と過疎化が、被害対策を効果的にするうえで妨げになっているからだ。
最も被害の出やすい中山間地域では離農者が増加しており、共同で柵を作るにも担い手が少なく、守るべき農地もあちこちに点在しているためやりにくくなっている。そのうえ耕作されなくなって荒れ放題の農地はイノシシの格好の餌場となり、逆に彼らを引きつけてしまうという、皮肉な結果につながっている。イノシシの問題は農家だけの問題ではなく、社会全体の課題としてとらえる必要がある。(毎日新聞)

[島根県畜試がイノシシ新防護さくの設置研修会]

島根県立畜産試験場はこのほど、イノシシの習性を利用した防護柵(さく)の設置研修会を益田市種村町の試験ほ場で開いた。
設置が容易でコストも安く、撃退効果が高い点から、同試験場は県内六カ所に試験ほ場を設け、広く普及に努める。県内中山間地では近年、イノシシによる農作物被害が増加している。これまでトタンや電気牧柵などが設置されているが防止効果が低かったり、設置にコストや労力が掛かり過ぎるなどの欠点があった。同畜産試験場が開発した防護柵は、イノシシを飼育して生態や習性を研究して考案。
イノシシは前方に視界を遮る障害物があった場合、障害物の向こう側をのぞいて安全確認をする習性があり、防護柵はイノシシの利口さを逆手に取った。防護柵はトタン製の波板(高さ三十センチ)と二本の電線で構成。電線は高さ二十センチと四十五センチに張り巡らし、電流を約二秒間隔で切って漏電防止の工夫もした。イノシシがトタン板の向こうを見ようとすれば鼻先に電線が触れて前方を確認できず、飛び越えるのをあきらめることが実験では確認された。同試験場は昨年、特にイノシシ被害の大きい横田町など雲南地方の三カ所に設置して高い効果を挙げた。本年度は県内全域に試験ほ場を広げ、石見部では益田市で初めて設置研修会を開催し、同試験場の吉岡孝主任研究員が新開発の防護柵の特徴を説明した。
新防護柵は、設置費用が一メートル当たり約百五十円で、従来のトタン(三百二十円)、金網フェンス(二千五百円)に比べて格安。吉岡主任研究員は「簡単だが画期的な防護柵であり、定着を目指したい」と話している。(山陰中央新報 6/9)

(2002/06/19)

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