遺伝性疾患を考える


遺伝性疾患を考える

我が家の犬、ゴールデン・レトリーバー、トレーシー11才は、48日でブリーダーさんから我が家の家族となりました。

5ヶ月の時、この子の片目に異常があることを夫婦で知りました。しかし、もうすでにこの子は私達夫婦にとっては最愛のパートナーとなってしまっていることをチャラにすることは出来ませんでした何軒もの獣医師に診断をお願いし、結果、先天的な障害であることが決定づけられました。もちろん、愛犬に避妊手術を施したことは言うまでもありません。しかし、この子をブリーディングしたブリーダーさんには何も言えなかったのです。もしも言ったらこの子を取られてしまうのではと言う不安の方が勝っていたのです。
何故? こんな愛おしい子にこんな障害があるのか? 私達夫婦はたくさんの疑問が湧き出てきました。この障害を乗り越えなければならないと思うことと、このような繁殖が行われていることの真理を知りたいと思いました。

ある時、遺伝性疾患としか思えない、飼い主さんからお便りがありました。ブリーダー個人の営利での繁殖を強いられ、生まれた犬は白雪という名のオウシーでした。
白雪の飼い主さんは、なんで白雪のような子が産まれるのかを考え、こんな繁殖のあり方はおかしいと思い、そしてもしも遺伝的な障害を持って生まれた犬も命を全うできるような飼い主さんを応援するサイトが必要とつくりました。

このような遺伝的な障害をもつ犬、その因子を持つ犬での繁殖は絶対に行ってはならないのです。
では、一度腕の中で抱かれ、愛おしく思った犬を飼い主さんは決して見殺しには出来ません。我が家のようにブリーダーに何も言えず、この子の失明を少しでも後に送らせることを願うしか当面出来ないというのが実状でしょう。
このようなことが、おそらくたくさんの飼い主さんが思っていた何故?だったと思います。何故とは思いながらも、ココまで遺伝性疾患を野放しに近い状態で、何も考えずに繁殖し続けたブリーダーを、誰からも苦情がないので間接的に保護されてきた結果と思えてしまうのです。もう、この日本でそんな悠長なことを言ってはいられないでしょう。
飼い主さんにとって、遺伝性疾患を持った犬との出会いは、犬と暮らす楽しさの4倍以上もの苦しみがあるからです。愛おしい、だけど生活と障害犬のケアを両立することの難しさに直面します。このような苦しみを少しでもなくさなければ、日本全国で遺伝性疾患の犬ばかりになってしまうことは目に見えています。

遺伝性疾患を持たない健康な犬での繁殖を薦めて行かなければ、この日本で生まれる犬の大部分が障害を持った犬となってしまう危機を知って欲しいと思います。そのためには、JKCが改訂しようとする繁殖犬のDNA検査と血統書への記載は一歩どころか100歩も前に行けるように思えるのです。
また、麻布獣医大の陰山先生が立ち上げたJAHDの役割は、今後の大きな進歩となるものと期待しています。
日本の犬達は、遺伝的な障害犬ばかりと言われる前に、しっかりと繁殖について考えて行く必要があるでしょう。

特におねがいです。愛犬の子供を見てみたいというような方には、繁殖をする怖さを知らずに繁殖に手を出すことの無謀を知って欲しいのです。
犬の命は人が握っています。良くも悪くも、人に握られているのです。そのためにも人は犬という種を考えなければならないのです。この日本で、遺伝的な障害で苦しむ犬達が少しでも減っていくことを切に祈ります。

(2003/08/30)(LIVING WITH DOGS)

関連サイト

Ext_link日本動物遺伝病ネットワーク

Ext_linkぷうにいわんわん




サブコンテンツ

カテゴリー

このページの先頭へ