ある老犬との暮らし [9]ついに立ち上がれず

[9] ついに立ち上がれず (1999年7月)

皆さんお久し振りです。老犬の皆さんお元気ですか。タロは2週間前から、体のバランスがとれず歩く事はもちろん立っていることが出来なくなりました。獣医さんによれば、「突発性前庭症候群」だとのことです。食欲もさっぱりですが、隔日に1.5リットルづつの点滴をして生きています。

こう書きますと、タロはさぞ死んだみたいな状態だと思われるでしょうが、どっこいなかなかはっきりしています。思えば、去年の夏もこれと同じ症状だったことに気が付きました。ただ去年は数回の点滴で回復したのに、今回は既に7回、それでも快復の気配がないことが気になります。

エアコンの入った部屋で、パッチワークをする家内を薄目で確認してはうとうとと過ごしています。よく元気そうに首を上げるのですが、この病気の特徴で、少し傾いたままです。トイレをしたくなると懸命に立とうとするのですが体全体が左に傾いて行ってついには倒れてしまいます。だからその時には、庭まで運んで、下からお腹を支えてやっています。
ただ悲しいことに私が現われると緊張します。それは、嫌いな病院へ連れて行かれるからのようです。以前から病院では大変大人しく、「お前もあの女医さん好きだろ」などと目で分かり合っていたつもりなのに、昨日とその前の通院の時、待合室でタロが涙を流しました。それは、私どもには「もういいよ」と言っているように思えて…。
でも、獣医さんと相談しながら、出来るだけの手当てをしてやろうと思います。去年のように、もう一度散歩をせがんでくれるようになるまで。

 

(愛知県・Iさん Ext_linkTaro’s Home Page )

 

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