犬の本能について考える

犬の本能について考える

犬の本能について考える(1)

丸さん: 「犬の本能について」を興味深く読ましていただきました。プロVS西鶴さんの会話の内容は、我が家の花子と照らし合わせて、まったくそのとうりであり、納得出来ます。
でも少し気になる点もあるのです。私はLIVING-WITH-DOGSさんの様にベテランではありませんし、犬の研究などしたこともありません。今回GRの花子が始めてのパートナーですから、こちらのホームページで教えてもらうことばかりです。

推察するにLIVING-WITH-DOGSさんは犬全体の幸せを願っている様に思われます。ですからあえて素人から気になった点を書かせてもらいます。記載された原稿は、プロと多分そうでない人を対比させ、プロは圧倒的に弱い立場となっています。何故でしょう?
ベテランと自称する訓練者なら判るのですが、もし犬全体の幸せを考えるなら、プロ、その行為によってお金を稼ぐという人は絶対に必要ではないのでしょうか。
プロと称される人々、それ全体を悪人にしているのではないかと思えます。
もちろんプロであっても、金が儲かれば良いだけでは、いけないと思います、そのような方に本当に犬のしつけで困っている方が相談したら? それは不幸な結果になるでしょう。
LIVING-WITH-DOGSさんは決してプロを批判するつもりでこのような文を載せたのではないと思います。
でも、例えば犬の訓練のプロになりたい。なぜなら犬が好きだから。その道で一生働きたいと願って仕事をしている方を失望させるのではないでしょうか。

LIVING-WITH-DOGS: ここで言われる所のプロについて少しご説明が必要ですね。このプロというのは西鶴さんの仮想の相手の訓練士さんです。誰を指しているのでもないのです。
しかし、今の日本の訓練士さんに方法論を考えて欲しいとも思っているのでしょう。なので私は敢えて、この原稿を掲載しました。こんな風に思っている人もいると言うことでです。
例えば日本のついこの間までの訓練方式を強制訓練、新しいモチベーションを利用する方式を誘発訓練といたしましょう。この西鶴さんは、双方の訓練士さんの利用している、チョークチェーン、ジェントルリーダーを共に否定されています。

そんなものを使わなくても、犬とたくさんの時を過ごせば、また魅力ある飼い主であれば、飼い主を認めあなたをリーダーとしてあつかいましょうと言うことを伝えたいのでしょう。

ここで掲載文と相反した事を言ってると思われるかも知れませんが、現在は多くの訓練士さんが、たくさんの悩める飼い主さんのお力になり尊敬できる訓練士さんが増えてきました。嬉しいことです。犬のやる気を引き出すような方法は? 虐待とならない方法は? 何がこの犬に向いているか? を考える訓練士さんが増えてきたことなのです。

ここでもう一度、何故「犬の本能について」という原稿をあげたか。再度皆さんに考えていただければ幸いです。素晴らしい訓練士さんがたくさん出てきたけれどなのです。もっともっと犬をみましょう。まずは道具に頼らずになのです。テクニックとして強制も誘発ももちろん訓練方法としてあります。
しかし、確かに訓練士さんに忠実な犬達は増えました。その反面犬が自主的に物を考える事が出来なくなっているのでは? 自分の判断で行動することが出来ないのでは? と言うことが私個人の中で疑問に感じておりました。訓練の善し悪しではないのです。プロならば、犬が自分の判断で行動できる状況をとらえられるような訓練を、もう一歩考えて欲しいと思うのです。

例えばです。災害救助犬は、リードを放し、前へ進ませます。崩れた瓦礫の合間をすり抜けて犠牲者の捜索をします。これ以上進んだら、再度崩れるかも知れない。そこを本能を保ちながら訓練された犬は立ち止まり考え自分で判断し前に進むか戻るかを決めるのです。犬は自分で判断できる動物なのです。
しかし、今の訓練方式では服従に重きを置きます。もちろん必要な事ですが。危険でも飼い主の命令には従い、命を落とすこともあるのです。訓練士に忠実な犬ほど、実災害では危険な場合もあるのです。

ここ数年、犬との生活を夢見て訓練士さんになりたいと言う方が増えています。ほんとの犬の幸せのために勉強して欲しいと思います。

誇りを持って訓練士として情熱を傾けている訓練士さんを私は何人も知っています。お一人の訓練士さんは、ご自身の技術を最高と自信を持っているように見受けられました。しかしこっちの方がもっといいかも? という線を越えられない古い方でもありました。しかし時代が変えてくれました。色々な情報を取り入れざるを得なくなったのです。昔からの訓練士さんも随分変わろうとしています。

丸さん: 花子は、リード不要、駅に私と一緒にかみさんを迎えにいくと、持ってる荷物をよこせ、持って行くからと大騒ぎです。訓練所に入れられたんですか? それとも訓練士さんですか? と山でよく言われます。山で人とすれ違うとき「後」と言う言葉で、後ろに回り他の登山者が行き過ぎるのを待ちます。この様な事は一回の登山で覚えた様な気がします。ワン子の記憶は結構すごいものがありますし、観察力もあります自分のパートナが嫌がることは鋭く察知してくれます。
そういう事柄が判っていたにしてもです。プロを否定するかの様な内容は賛同しかねます。反対と言っても良いでしょう。

もちろんチョークによる犬の訓練は大反対です、飼い主すなわちパートナーと言っても良いでしょう、その愛情を知らない状態でチョークによる肉体的苦痛、もしくは恐怖による強制的な服従がどの様な意味を持っているかはなんら経験のない私にでも、誰にでも判断出来ます。聞くまでもないことです。

花子は悪いことをすればたたきます。花子にとってたたかれる以上に辛いこと、それはパートナーが怒っている、その行為そのものです。我が家の親父殿が言います。「何でそこでわざわざ頭をつきだして、たたかれるんだ? 逃げりゃ良いのに」もちろん真剣に怒ればそこにはいません、ほとぼりがさめるまで別の場所に避難、しばらくしておそるおそる近ずいてきて、やっぱりたたかれる。最近はほとんどありません。

花子に対し愛情もなくただ殴るだけの人間ならいきなり私に噛み付くかも知れません、私が花子の立場ならそうします。ましてやむざむざたたかれに頭は突き出しません。

よけいなおせっかいかも知れません、それならここで述べているプロの訓練士さんとは、一言のべられてはいかがでしょうか、それならプロ全体を悪という印象の文面にはならないと思います。(石川県 Mさん)
Ext_link 愛犬と旅 「花子と珍道中記」

西鶴さん: 僕の知ってる訓練士は僕の犬みたらスーッと逃げる。否定されちゃうから困るんだよね。先生で無いと困るんだ。で、そんな方法論が必要ない犬、つまり24時間一緒にいられる環境にある犬までこの訓練士は取り込んでいってしまう。で、犬を潰しちゃう。僕はそれが腹立たしいのだ。

そこにあるのは「こうでなくちゃいけない」という詭弁だ。それはヒトの教育の歪をつくった構図をなぞってるようにしか見えない。

花子ちゃんが賢いと「訓練したの?」って聞かれる。アールもそうだ。僕のことを訓練士だと思ってるヒトもいるから。で、それが異常なことだと思う。それは業界が作り出した詭弁ではないかと。

Ext_link DOG FREAKS

LIVING-WITH-DOGS: 花子はしっかり自分で判断できる犬なんですね。飼い主さんに魅力があるからそのような判断できる犬に成長したのだと思います。

一見して西鶴さん、丸さんは全く訓練士さんに対しては相反する対局した立場をとられております。LIVING-WITH-DOGSとしては、アールも花子も、飼い主さんを信じ、向き合ったからこそ、「あなたをパートナーとして認めます」と信頼を寄せ、お二人とも犬から見て魅力ある飼い主さんであることを証明して下さいました。このような犬に育てたいものです。

ただの普通の悩める飼い主さんは、どうにか愛犬を良い子にしたい。引っ張られずにお散歩をしたい。ワンちゃん同士で仲良く挨拶の出来る犬にしたいと。藁にもすがる思いで訓練士さんに助けを求めます。そしてしつけ教室にも随分参加する方が増えてきました。一番肝心なこと、愛犬ともっと向き合うことをもう一度考えて欲しいと思うのです。犬の行動を、何故? と考えながら向き合って欲しいと思います。

ここ数年の飼い主さんの向上心は目を見張るものがあります。訓練士批判ではなく、尊敬できる訓練士さんの援助を受けながら、愛犬の行動を観察し、飼い主が自ら犬の本能を壊さない愛犬のしつけとは? を考えていただきたかったのです。愛犬にとって魅力ある飼い主になりましょう。

(2000/07/09)(LIVING WITH DOGS)

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