台湾中部地震被災地に出動して

 台湾中部地震被災地に出動して

1999年9月21日、台湾中心部の震源でマグニチュード7.6の大地震が発生しました。日本はいつもどこかで地震があるというような地震国ですが、お隣の台湾での地震には阪神大震災でお世話になった海外の国々に少しでもお役に立てればと日本からもたくさんの救援隊や物資がむけられたのでした。日本救助犬協会(NPO)からも3頭の犬が救援に向かいました。その1頭にフラットコーテッドリトリバーのチャナちゃんがいます。高崎さんご夫妻の愛犬です。奥様の美代子さんがハンドラー、ご主人の光太郎さんはサポートとして参加されました。
ご夫妻が、台湾での貴重なご体験をお話し下さいました。この体験談は、LIVING-WITH-DOGSからの質問形式とさせていただきます。快くお答えいただいことを、ご夫妻に感謝いたします。

□インタビュー

1. 愛犬を何故、災害救助犬にしようと考えられたのですか?

最初は救助犬にしようとは全然考えていませんでした。協会の訓練会やキャンプに参加し、救助犬の訓練をしているうちにチャナがとても楽しそうに作業をするのでひょっとしたら向いているのかも知れないと思いました。

2. 高崎さんの場合の救助犬の訓練方法はどのようにされましたか?
また、どう行うのがよりベターかも併せてお話しいただけますか?

協会の訓練会やキャンプで訓練法を習いました。訓練法ですが、すべてが陽性強化法というわけにはいかないでしょうが、犬が無理に作業をさせられているという感じではなく、自主的に楽しく作業ができるように、また、捜す対象が人間ですから、絶対に人間が恐いものと思わないように、人間が大好きになるように、訓練していった方がよいと思います。

3. いざ、出動と決まった時の心境はいかがでしたか?
不安はたくさんありましたが、以前石垣島に住んでいたこともあり、台湾はすぐ近くでしたので、とても他人事とは思えませんでした。なにができるかわかりませんができるだけのことはしたいと思いました。我が家の出動の条件としては正式な機関からの出動要請があること、現地の受け入れ体制がしっかりしていること、協会のバックアップがあること、この3つが揃っていたので、ある程度安心して行くことができました。これが1つでも欠けていたらおそらく出動しなかったでしょう。

4. 実際に台湾での愛犬の様子

初めての飛行機搭乗、夜クレートの中で寝れなかったり、たびたびの余震などでかなりのストレスがあったと思います。でもお留守番して置いていかれるよりは一緒にいつもいられたのでそれは嬉しかったかな?

5. 帰国しておそらくたくさん課題を発見したことと思います。出来れば課題を教えて下さい。

たくさんありましたが、犬よりもハンドラ-の方に課題があると感じました。犬が救助活動をするのではなくハンドラ-自身が救助活動に参加し、救助活動の1つの道具として犬を使うのです。救助犬は救助活動のほんの1部にすぎないことを認識しなくてはいけないでしょう。
そしてその道具である犬を有効に使うためにハンドラーが勉強しなければならないことがたくさんあると感じました。またある程度の災害の知識(人、犬のCPR、無線、重機、気象、サバイバルキャンプの経験等)も持っていなければいけないと思います。


6. 災害救助犬を育成するには、今何がこの日本で必要でしょうか?

目的はただ1つ人を助けることです。プロ、アマ、関係なく日本全国のネットワ-クができれば、もっと早く人を救うことができると思います。

最後に、一般の家庭犬のレベルが上がることが、救助犬だけでなくすべての作業犬の地位向上につながると思います。(日本救助犬協会・高崎ご夫妻 and チャナ)


ありがとうございました。高崎さんご夫妻と愛犬チャナちゃんに一日本人として「ご苦労様でした」と労わせていただきます。これからもきっと日本各地の災害に赴かれると思いますが、体力が何より 重要ではと思います。今後のご活躍を祈ると共に、ご家族のご健康をお祈りいたします。
高崎さんご夫妻は、日本救助犬協会の港訓練会のお世話役をされています。10頭ほどの少数での細かい行き届いた訓練です。まずは、家庭犬としてのオビディエンスを行いながら、サーチの訓練を遊びを取り入れながら、行っています。犬達の目は、楽しさで輝いていました。愛犬と何かを一緒にやりたいと思ってらっしゃる飼い主さん!!! そんな訓練会に愛犬と共に参加されてみませんか? (2000/04/15)(LIVING WITH DOGS)


連絡先 日本救助犬協会
東京都中野区5-67-6-701
Tel 03-3385-3451



(写真撮影: 若山 望)

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