JRDN救助犬キャンプ(富士・朝霧高原)

JRDN救助犬キャンプ(富士・朝霧高原)

阪神・淡路大震災の時、正式な外交ルートを経てスイスやフランスから来た 災害救助犬は、各メディアで報道されました。 しかし、その一方で、アメリカからの救助犬は、民間ボランティア団体からの出動の 申し出があったにも関わらず、検疫その他の諸問題がクリアできずに残念ながら入国が 実現しませんでした。
そして、今や、災害救助犬の必要性は日本国内でも認知されつつあり、各団体が国内各団体が 救助犬作出のため努力しています。 この「災害救助犬を育てるネットワーク」(Japan Rescue Dog Network、以降JRDN と略します。)は民間のボランティア活動での救助犬作出をめざしています。
当ページの
救助犬協会(富山)訪問記でもご説明しましたが、 各地域ごとに3頭1チームの救助犬ユニットを作るのが基本です。 いざという時、その地域のボランティア・チームでの迅速な救助活動を 可能とするために、飼い主と愛犬(ハンドラー1人、救助犬1頭)のペアを作っていくこと を目的としています。

プロの訓練士が訓練を入れるのではなく、飼い主が自分の愛犬と一緒になって パートナーを救助犬に仕立てていくのです。 プロの訓練士が一人で何頭も救助犬を作れても、ハンドラーの数が犬と 同じ数だけ必要だからなのです。
広域災害の場合では、短時間で多くの場所を捜索する必要があり、また 1カ所ごとの捜索においても、倒壊建築物の崩落等、危険性が増してい ないかどうかをハンドラーが判断することなので、犬の行動範囲の周囲を ハンドラーが絶えず注視する必要があります。救助犬の捜索活動におい ては「犬ぞり」のようないわゆる「多頭引き」は不可能なのです。
ですからオーナーハンドラーであることは、大変意味があるのです。 そしていざ災害の時、自らがボランティアとして参加して隣人を助ける ことが出来るかも知れないのです。


救助犬キャンプ訪問記

1997年9月27日、富士山麓の朝霧高原でキャンプ中のJRDNを表敬訪問してきました。 まずまずのお天気でしたがやはり山、ちょっと寒かったです。
また秋の行楽シーズンか、とにかく交通渋滞がひどかったです。 朝はのんびり出て、お昼頃の到着を目指しましたが、着いたのは 13:00。ちょうど、お昼の休憩に間に合わせてと思いましたがぎりぎりでした。 着いてすぐ午後のカリキュラムが始まりました。

  • 隠れている人の捜索です。インストラクターのマーシャ&アンディ 先生が、各ハンドラーに一人一人、個別に細かいアドバイスをその時々に、 はさみながら、楽しそうに犬たちが捜索していました。 フラットが3頭もいましたよ。そしてMIXの賢そうな目をした犬もいました。
    犬が吠えて、ハンドラーに遭難者の所在を知らせるバークアラート(bark alert)を 強化するようなトレーニングがされていました。 犬の大好きなおもちゃを見せながら、「かくれんぼ」をして、発見時に おもちゃでじらして興奮させ、30秒程度吠えてからご褒美として おもちゃをあげて一緒に遊ぶというものです。 そして出来たら最大の良く出来たのほめ! 体中で表現して「良くできた」 をしてあげていました。
  • 次に、屋根付きの大きな部屋に行き、遠隔操作の訓練。 ハンドラーの正面に、数メートルの距離をあけて2つテーブルを置きます。 手前側のテーブルに犬をまず送り出し、その上に登らせた後、ハンドラーに アイコンタクトを取らせるよう向き直らせて、お座りおよび伏せをさせます。 その後「バック」というコマンドで、奥の方のテーブルにまた送り出し同様の ことを行います。
    これは、競技会の訓練でやる「前へ」と同じかなと思いました。 おそらく、はじめて勉強した犬もいたのでしょうが、何度かやってるうちに出来ました。 マーシャさんの奥のテーブル側からの来いと、大好きなおもちゃがあることがその気にさせるんですね。ハンドラーから遠ざける命令はとても難しいです。

参加者の方達は、遠方からの方が多かったのですが、中に福岡から の方がいらっしゃいました。 少女誘拐殺人遺体遺棄現場のお近くにお住まいとのこと、愛犬が どうもアラートしたらしいのですが、行ってはいけない場所と教え ていたため、第一発見者ではなかったそうです。愛犬がいつもと違 った行動をとるときは、「何かがある」と思えを教訓にしたい。と おっしゃってました。でも第一発見者にはなりたくないとも言ってましたが…。

救助犬キャンプを見学して

家庭犬のしつけでは、出来るだけ吠えさせないようにすることが大事ですが、 救助犬は吠えて知らせます。しかし、それ以外は、家庭犬そのままです。 普段は飼い主と愛犬という生活です。盲導犬のように緊張の時間がずーっと
と言うことではありません。 しかし、いざという時に社会の為に働くことが出来る。救助犬はまさしく家庭犬の究極 だと思いました。 災害時には民間のボランティア活動がどれだけ必要であるかは先の阪神大震災で 実感しましたが、日本人にとってボランティアという意識はまだまだ未熟です。
このキャンプでは、犬は車の中のクレートで寝るか、または、ハンドラー(飼い主)が 犬と共に車の中で添い寝しているそうです。 実際の災害現場ではもちろんベッドは用意されてるはずもありません。また食料も自分たちで確保しなければいけません。
 (97/10/02) (LIVING WITH DOGS)

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