「井の中の蛙的犬の飼い方」について(1)

井の中の蛙的犬の飼い方」について(1)

私はかつてろくでなしのガキでした。やっとの思いで飼ってもらったはずの飼い犬の世話どころか散歩さえろくにせず、面倒になると庭に放すだけ。病気の予防もまともにしなかった為、当然のようにその犬は短命でした。思えば自業自得なのに犬を死なせた時の衝撃は大きく、今も後悔の念が残っています。
それから年月は流れ、因果な事に、あの頃の私と同じか、もっと馬鹿な飼い主達と付き合うはめになりました。親方なんとかで犬担当というわけです。
犬屋敷はまだ良い方、金がかかるのは嫌、面倒は嫌、と病気になったから、散歩する人間がいなくなったから、吼えて近所がうるさくいうから、暴れていうことをきかないから、引っ越すから、年寄りになって汚いから、新しい犬が来て邪魔だから、などなど。
病院へ行ったら、しつけし直したら、新しい飼主を探したら、などといくら言っても殆ど効果無し。
余談ですが、私はその部署へ着任初日からその手の飼主と揉め、「お前じゃ話にならん、上司を出せ」となりました。
その時の感想は、「田舎の人は心が温かいとか人情がある、と言うのは間違いだな」でした。
何故なら、この手の飼主は田舎のほうが圧倒的に多かったのでした。
その犬に何かあってもまた新しく飼えばいいや、と思っているのか。今までうちはこれでやって来たんだから別に支障は無い、と思っているのか。誤解の無いようにいっときますが、田舎でもまともな方はいました。ただ、「たかが犬じゃないか。そんな面倒な事をする必要がどこにある?」と言う考えの人が多かったのでした。
そして現在。今住んでいる地域ははっきり言えば都会です。で、ここはここでは反対の「困ったちゃん」が存在していたのでした。
田舎とは逆に「うちのこなんだから!」と犬には迷惑なぐらい過剰な愛護精神で人間と同一視。しかも、何故か「自分ちのコ」に対してのみ、が多い。
そんなに犬が可愛いとおっしゃるなら、愛護活動のお手伝いでもしていただけると助かるのですが。お忙しいならカンパでも構いませんが、と申し上げても反応の薄いこと薄いこと。
また「うちのこは大丈夫だから」と妙に自分の犬に寛大と言うか、他人の迷惑を一切無視で、しかも自信過剰な方々の何と多い事か…。「お友達」以外の他人様はどうも目に入らないようです。
さらに一番おかしいと思ったのは「雑種」を小馬鹿にすること。雑種のどこが悪い!? 幸か不幸か我が家の犬は、素人には少々難解な大型の純血種。無論、れっきとしたその犬種の標準に合致してますが、ご存知ない方が殆どなので非常に興味深い反応が経験できて参考になります。
純血種のわんちゃんを飼ってるのがよほどご自慢らしく、お値段まで聞かされたこともありましたっけ。ついでに「お宅のわんちゃん、おいくらでした?」と聞かれたので嘘八百の高額回答をしておきましたが。
ろくでなしの飼主だった私が言いたいのは、どんな犬をどう飼おうが結局は個人の自由です。
私などは「この犬は室内で飼う」と犬を世話してくれた訓練士に告げたら相当驚かれましたから。(注 : 確かに大型犬ではあるが、室内飼いもかなりいる)
ただし、「他人に迷惑がかかってる」「犬自身の心身に問題が起きている」「家族や家庭に問題が起きている」と言う状態あるいはその可能性がある、でなければのお話です。そこのところは誤解しないで欲しい。
ごくふつー、つまり一般常識のある飼主が私は好きなんですがね…。

(2004/02/18)(関東地方在住)

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