BS1英国アニマルポリスを見て
2002年6月8日 [ドッグレスキュー・レビュー]
BS1ウイークエンドスペシャル
「密着! 英国アニマルポリス – ペットと暮らす社会の責任」を見て
BS1 ウイークエンドスペシャルで「密着! 英国アニマルポリス – ペットと暮らす社会の責任」という英国の動物福祉の最先端の報道番組が放送されました。ペットの問題行動カウンセラーの菊地さんが取材協力した番組です。番組の内容及び、感想を交えて見れなかった方にご紹介いたします。
RSPCAは、180年前、ある個人が動物虐待について問題意識を持ったことに発しました。1822年、動物虐待禁止法が制定されました。出来ても取り締まるところがないとして、1824年、動物虐待防止協会が個人の寄付で出来ました。これがSPCA(動物虐待防止協会)です。1840年、王立の称号、ロイヤルを授かり、現在のRSPCA(王立動物虐待防止協会)となりました。すべて個人の寄付でまかなわれているそうです |
アニマルポリス(全英で328名)という人達の具体的な活動、そして付属の動物病院、保護センターが紹介されました。
1. ベッキーさんというアニマルポリスが出動したハムスターの飼い主の例 (感想) これは日本にも猫をたくさん飼ってしまって増えてどうしようもなくなった飼い主が結構います。そんな飼い主にもう飼ってはならないという命令を下せない状況です。英国は法的に命令を下せるのは羨ましい状況だと思いました。
| 2. 鉄道事故で怪我をした老犬の保護、英国でも、老犬になって世話が出来ないからと捨てる飼い主もいる (感想) 日本では良く聞く話ですが、まさか英国ではそんなことはないと思っていましたのでびっくりしました。日本の数に比べたらもちろん少ないでしょう。 | 3. 以前、アニマルポリスが介入し、二度と動物を飼ってはいけないと法律上、言い渡された農家の馬の救出。 (感想) この農家のおじさん、ぜんぜん悪びれていない。そんなに厳しい判決だとは受け止めていなかったと感じられました。 | 4. 太りすぎの飼い犬を近所の人が通報 (感想) 近所の人が通報する。一般の人が動物を意識して見ているんだと、国民全体の意識の高さ、RCPCAがこれまで普及を進め、動物愛護の精神が一般的になった成果でしょう。 | 5. 幼稚園で保護された野鳥、子供達にベッキーさんが、動物も痛みがある、動物をいじめることはお友達をいじめるのと同じこと、だからいたわりましょう (感想) 日本はこのような幼児期からの動物愛護の教えをしていません。凶悪犯罪を犯す若者は、幼いときに動物虐待の体験があるとデータがあるそうです。 | 6. RSPCAの4つの病院、飼い主の所得に応じた5段階の料金体系 (感想) 保護された動物がこのような病院で治療が受けられるのは素晴らしいですね。所得の低い飼い主でも安心してペットの治療を行えるのはほんとに羨ましい話です。 | 7. 保護センターは全国で11ヶ所、英国では犬と出会う飼い主さんは不幸な犬のリホーミングで里親となるケースが多い。犬の相性テストを行った上で、里親候補の家の大きさ、家族数ペットと過ごせる時間、を調査して80%のペットが6ヶ月以内にリホーミングされる。 (感想) 日本では、ペットショップで購入するのが一番多いのが現状です。シェルターでペットを探すことが常識のようになっていけば、毎日管理事務所で命を失っていくペット達は減って行くでしょう。 | 興味深かったのは、馬や牛までも虐待の対象であり、馬専門の保護センターがあると言うことです。シドニーのSPCAにも同じ敷地内に馬や山羊が保護されていました。英国もオーストラリアも馬や山羊は、ペットとして飼われていた動物だそうです。
今の日本と照らし合わせて見ても日本は英国に比べて100年遅れていると感じました。やっと動物愛護法が出来ても、まだ取り締まるところがない。保健所は、虐待する飼い主を取り締まれないのが現状です。昔の、動物管理法が出来た経緯はエリザベス女王が来日するに当たって急遽作られたとマルコさんの東方犬聞録にありました。
最も驚異とすることは狂犬病予防法によるものでした。だから野良犬は捕まえて殺す。これが日本の動物管理法だったのです。 日本にもアニマルポリスが是非欲しいですね。現在、狭い場所で繋がれたままの犬を見て、虐待されていますと訴える場所がありません。
LIVING-WITH-DOGSにもたまにこんな虐待がありますといメールがゲストブックに入ります。どこに相談したら良いか? という問い合わせです。残念ながら、食事が与えられているということで、飼い主は自分の飼い方を虐待とは思っていず、犬はこうして飼うものと思いこんでいるのです。そして保健所に訴えても手の施しようがないのが現状なのです。
備考 : 日本でこれまでに行政から初の改善命令が出された例として、山梨の犬捨て山があります。 [番外]
英国の動物との関係は、ブルドッグを象徴する、闘犬の歴史があります。英国から始まった残酷な見せ物は13世紀から17世紀までヨーロッパで続いていました。戦いに有利なように改良を重ね気の荒い犬達を作った歴史があったのです。そしてスポーツハンティングも、英国は盛んです。
ある読者からの投稿ですが、
昔イギリスのスポーツハンティングの映画で狐狩を見たことがあります。一匹の狐を大勢のハンターと犬が追いかける、狐が巧みに犬の追跡をくらます術を紹介しています。 最後に捕まった狐は、私は逃がすのだと思いましたが、ところが無数にいる猟犬の中に投げ入れるのです。
| このような、動物の虐待を行っていた英国が、一番に動物愛護を考える国となっていることの驚異もあわせて興味深く感じました。それから考えると歴史的に日本は、犬にそのような扱いはしていなかったけど、現在の日本は簡単に保護と言う名のもとで殺しています。
視聴者にとって、この番組はどう見れたか? 確かに英国の動物保護の考え方はさすが、と思うだろうとは感じますが、では日本の場合どうしたらいいの? という疑問は換えって増すように思われます。今の日本のペット事情に照らして、出来るところからやって行かなきゃと心ある方々は考えていることでしょう。
「ペットと暮らす社会の責任」という副題を置いてますが、徐々にではありますが、日本にも育ってきていると感じています。真の愛犬家が着実に増えてきているからです。
いつか、日本にアニマルポリスのような監視機関が出来ますことを祈らずにはいられません。
(LIVING WITH DOGS)(2002/06/08) | |