日本で狂犬病発症の危険性は
日本で狂犬病発症の危険性は
動物検疫制度が2004年11月6日、改定されましたが、改定の背景をもう一度見直してみましょう。日本では、1950年に狂犬病予防法が制定され、犬の登録・予防注射が義務づけられ、1957年以降、国内での発症はなくなりました。半世紀近くこの日本では発症していませんが、しかし世界的にみたら過去の伝染病ではなく、現在も多くの国で発症が見られ、2004年9月にはフランスで発症、世界では毎年4万〜7万人が死亡していると推測されています(WHO)。
また、ペットブームから狂犬病発症地域である東南アジアからの子犬の輸入が急増し、狂犬病侵入リスクが高まっていました。現在は、この検疫制度の強化で子犬は最低でも生後10ヶ月でなければ輸入が出来なくなっています。
発症していない地域は世界でたったの13地域しかありません。狂犬病発症国からの輸入規制がされることは大いに前進だと思います。
●輸入到着40日前の輸入の届け出
●マイクロチップ(ISO規格)による個体識別
●狂犬病不活化ワクチンの2回以上の接種
●血液検査(抗体価の確認)
●抗体確認後の輸出国での180日の待機
現在の日本での狂犬病予防接種率の低下に警鐘を鳴らして下さった方がいらっしゃいます。
皆さん、どうか日本で狂犬病が再発しないよう、愛犬の狂犬病予防ワクチンの接種を実施しましょう。
(LIVING WITH DOGS)
昨年から今年にかけて動物検疫、特に狂犬病予防がらみの検疫制度が改正されたことが話題になった。
特に国外から犬を輸入している業者は、かなり問題にしていたようだ。ここまでは、法的に守られるようになったと思うのだが、最近気がついたのは「犬の繁殖業者(ブリーダー)は所有してる犬の飼い犬登録&狂犬病予防注射をどうしてるのか?」である。
まさか、と思ったのだが、どうも「そんなものは日本では発生してないからやってない」業者が多いらしい。
驚くことに「狂犬病やジステンパー、フィラリアなどの伝染病は○○で防げる。だからあえてワクチンは打たない」と主張するサイトまである。
以前、公務員だった知人が話していたが「これだけ日本の周辺諸国で狂犬病が流行してるのに、日本で発生しないのは奇跡に近い。」のだとか。
「でも、国内の危機意識は相変わらず低いから、予防注射の接種率は下がる一方だし。」と嘆き、「いっそのこと一度くらい発生して、痛い目を見ないと日本人はわからないんだよ・・・」としみじみ述べていたのが印象的だった。
そして、「こんな状態では、検疫制度の改正だけでは甘い。狂犬病予防法の改正(強化)をしないとダメかも。違反者への罰則や違反者に対する告発義務も必要。」というのが、我々の一致した意見になってしまった。犬飼いには厳しい意見であろうか?ワクチン接種は怖いのか?でもあの病気が日本に再上陸してしまったら、どうなるのか?
狂犬病は感染すると、通常の潜伏期間は30日前後と言われるが、咬まれた部位や状況により潜伏期間が長くなり1年から2年後に発症することもある。これまでの2週間の検疫期間でも当然であるが潜伏期間を満たしていない。
発症の初期は風邪に似た症状、急性期には錯乱、麻痺の他特徴的な恐水症状などを現す。発症して数日以内に100%死に至る病気であり、発症後の治療法はない。
「日本は良いですね。狂犬病の心配が無いから、安心して捨て犬を保護できる」と言ったドイツ人。
獣医師がアメリカの大学に留学したおりの話であるが、「狂犬病感染の危険があるから、予防接種を受けなさい。いや、今まで何故受けてないのか?」と教官から言われ「日本にはその病気は無いからです」と言ったところ、信じてもらえなかったそうだ。アメリカでは狂犬病発症国であるが、獣医師は狂犬病予防接種を受けている人が多いと聞いている。
この獣医師、予防接種前に抗体価を測ることになった。やはり結果は「陰性(今まで、狂犬病ウィルスの汚染とは関わりが無い)」そこで初めて「お前の言ったことは本当なのか!?」と信じてもらえたらしい。
日本は数少ない清浄国であることは確かだが、それは奇跡に近いのである。
いつぞや某東南アジアの国で「ボランティアで野犬の避妊手術」を放送していた。それを見た私&知人の感想は「狂犬病感染の危険は考えてないのだろうか!?何だか怖い光景だ。(この国も常在発生国)」。
ここで問題にしたのは、すでに「感染してるけど症状が出てない犬から手術をするスタッフへ感染しないのか?」と言う点。しつっこいようだが、この病気は人間を含めた殆どの哺乳類同士で感染が成立する。おまけに潜伏期間が最長で2年と長いから感染経路が不明にもなりかねない。だから、発生すれば大変なことになる。
事実、昨年はフランスで発生したときは、軍による道路封鎖までしたらしい。
なお、大手犬種登録団体のJKCでは「ショーに出すときには予防注射の証明書が必要」となってるけど、実際には「一度もチェックされたことはない」そうな。
蛇足ですが、私も知人も犬の飼育者の一人。
知人は「もしも、狂犬病が再上陸なんて事態になったら、我が家はチビ公(犬の名:飼養放棄されたのを引き取った)を家から一歩も出さない。沈静化するまで完全隔離して絶対に守る。」そうな・・・。
(2005/5/1)(東京都 S.Sさん)