10ヶ月未満の子犬の輸入禁止

10ヶ月未満の子犬の輸入禁止

狂犬病は日本では半世紀以上発症していませんが、その危険性が現存していることは周知の事実です。例えば、輸入動物として一時多かったアライグマ等は狂犬病発症国から日本に入ってきていました。また、「ロシア船の犬が検疫を通らずに日本に入国しているかも?」という風評的な恐れもあります。

特に隣国である、中国で2001年に年間約850人だった死者が、2003年は1〜9月だけで約1300人に増えている、と言う事実は強化策をとらざるを得ないと思いますね。

農林水産省は、狂犬病の上陸リスクを回避するために10ヶ月未満の子犬の輸入規制を行います。

3月の発表時は「4ヶ月未満の子犬の輸入自粛」という内容から一気に進歩した規制を発表しました。

日本のペットブームの末の乱繁殖で、遺伝性疾患の犬たちが増えていますが、犬を求める飼い主さんの中で日本で生まれた純血種は信じられないと思ってのことでしょうか、子犬を直接海外から輸入する飼い主さんが増えてきました。海外で生まれた犬がすべて遺伝性疾患の因子をクリアしているわけではないんですけどね。

一方、日本に入国する際の検疫の期間は、2週間〜30日間、180日間でした。

輸出国が狂犬病発生国でなく、適正な時期に予防接種を行い、潜伏期間を半年おくことで、最短で生後10ヶ月でなければ輸入出来ないと言うのは良い決定でしょう。その間、子犬の成長期は親元で社会化を果たせます。

また、入国してからは、予防接種等の証明書の提示で、12時間くらいの係留と大幅な緩和となりました。輸入規制の強化と、それに付随した生体に優しい緩和ですね。喜ばしいことです。

輸入犬にマイクロチップの導入を義務づけることを決定したようです。検疫所だけに識別リーダーを用意するんでしょうかね。

ちょっと話は飛びますが、世界には様々なマイクロチップの様式がありますが、日本は、まだ普及率は低く、おまけに規格も統一していません。

望むべくことは、日本で、マイクロチップの規格を統一して、どこの保健所でも読みとれるようにして欲しいものです。そして日本に暮らす犬たち全頭がマイクロチップ装着を義務づけられることになれば様々な面で利点がありと思います。

(2004/7/21)(LIVING WITH DOGS)

[参考] マイクロチップによる個体識別の普及について 


狂犬病の上陸防げ!ブームで輸入急増…子犬の輸入禁止

中国などアジア各国で狂犬病が多発していることを受け、農水省は20日、専門家による検討会を開き、狂犬病発生国からの生後10か月未満の子犬の輸入を、早ければ来夏から禁止することを決めた。

狂犬病予防法の省令を改正して対応するが、それまでの間、同省は、発生国からの輸入自粛を業者などに求め、水際での「狂犬病の上陸阻止」に全力を注ぐ考えだ。

狂犬病は人を含めた全哺乳(ほにゅう)類に感染し、発病すると、死亡率はほぼ100%。国内では1957年以降、犬や人への感染は確認されていないが、世界では人への感染で毎年、約3万5000―5万人が死亡しているとされる。特に中国では、2001年に年間約850人だった死者が、2003年は1―9月だけで約1300人に増えた。

同省によると、現在、日本に犬を輸出している約90の国・地域のうち、未発生国はオーストラリアやスウェーデンなど13の国・地域。

岐阜大の源宣之教授(人獣共通感染症)は「世界の発生状況を考えると、いつ国内に病気が侵入してもおかしくない」と話す。

日本では、飼い犬への狂犬病の予防接種が義務付けられているが、厚生労働省研究班の調査では、犬への接種率は5割を下回っているとされる。源教授は「日本では長年発生がなく、過去の病気という意識が強い」と、危機意識の薄さを指摘する。

最近のペットブームで、犬の輸入は増加傾向にあり、2003年の輸入頭数は、前年比約4割増の約1万7000頭に上った。最大の輸入先の米国も発生国だ。予防接種をしても効果が薄いとされる生後4か月未満の子犬も約4600頭含まれており、このうち発生国から輸入された子犬は770頭いた。

こうした状況から、検討会ではまず、犬の輸入までの手続きを強化することにした。狂犬病発生国から子犬を輸入する場合、これまで1回だった予防接種を、生後3か月から1か月間隔で2回実施。接種効果が基準を満たした場合、狂犬病の潜伏期間である6か月間待機させた後、輸入を認めるようにした。

この制度では、発生国からは最短で生後10か月以上の犬しか輸入出来なくなる。一方で、この手続きを踏めば、狂犬病発生国から輸入する場合でも、即日、検疫を通過出来るようにした。現在のシステムでは、潜伏期間中の犬が入り込むのを防ぐため、検疫所に14―180日間、留め置かれている。

また、同省は、輸入犬の皮下にマイクロチップを埋め込むなど、個体識別を徹底する対策についても、輸出国と連携して、年内にも実施することを決定。生年月日や品種、毛色などが記録されたマイクロチップを予防接種前に取り付け、検疫時に読み取って健康証明書と照合する。

(2004/7/21)(読売新聞記事より)

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