テリー・ライアン先生のしつけ教室体験記


テリー・ライアン先生のしつけ教室体験記

テリー・ライアン先生のしつけ教室体験記1999

1999年1月15日、千葉でテリー・ライアンさんのしつけ教室に参加しました。
テリーさんのしつけ教室は、AFCに行けばもちろん受けられるのでしょうが、会員でもないので中々受講するチャンスはありませんでした。今回は、千葉のドッグクラブの主催で実現しました。

広々とした空き地で十分な間隔を置いてクレートと人の場所の配置など、素晴らしく整備されたしつけ教室でした。

お隣の人とのコミュニケーションも休憩時間以外取れないくらい余裕を持った配置でした。実に全体が素晴らしい構成になっていたと思います。朝9:00〜16:00のスケジュールで、ビギナークラス、アドバンスクラスと2部構成で、およそ50頭位集まりました。

ビギナークラスのテーマ

  • アテンション・エクササイズ
  • リコール・エクササイズ

アドバンスクラスのテーマ

  • シェーピング


 

テリーさんのしつけ教室は、ビデオやLIVING WITH DOGSメーリングリスト(1997年8月から1999年9月まで続いたメーリングリスト。現在は開催されていません。)で前知識はあったものの、やはりモチベーションの使い方は発見でした。JKCのしつけ教室とそれほど大きな違いはないと思いましたがあえて違いといえば、チョークチェーンを使わないこと、言葉(コマンド)が優しいことでしょうか。

そしてチョークで気づかせる分をアイコンタクトによって注目させる。もちろんJKCの訓練士さんもアイコンタクトを重要視していますが、そのプロセスがチョークで気づかせるのではなく、犬が注目させるようにコントロールし、気づいたらご褒美という感じでしょうか。普段おやつをモチベーションにはしていないので、こんなにおやつをたくさん貰ったのはトレーシーにしてみれば初めてのことだったでしょう。

犬に気づかせる、犬が飼い主の顔を見ること(アイコンタクト)から始まっていきます。これは時間が掛かるけど、リードに依存せずひたすら犬に気づかせること、考えてみれば、普段の生活の中で犬が学習して良い子になれる基礎なのではと感じました。

アドバンスクラスの「マットの上に行きなさい。」目的の行動をいくつかのステップに分解して、順に行動を形成し、目的を達成させる。ドアホンが「ピンポン!」、おやつで場所に行く「go to mat!」というように繋げていくということだそうです。

レート・トレーニング

我が家は、訓練所の経験から、クレート嫌いになっていましたが、今日は不思議クレートで良い子にしてくれました。確かに寒かったので、クレートの中に毛布を敷き、上から覆ってあるので温かかくて居心地が良かったのかもしれません。ホカロンを入れてあげようかななんて思ったのですが、ホカロンをおもちゃにして噛んだり、食べちゃったら大変だと思って止めましたが….。^^;
またクレート・トレーニングを再開できそうです。災害時や、ちょっと出かける時、人に預かってもらう時、やはりクレート・トレーニングが出来ていれば安心ですね。

トレーシーは今年7才となりますので、長時間のしつけ教室はもうイヤという状況でしたが、久しぶりの体験でかなり疲れた感じです。トレちゃん!お疲れ様! (99/01/30)(LIVING WITH DOGS)

テリー・ライアン先生のしつけ教室体験記2000


昨年に続きテリー・ライアン先生のしつけ教室が千葉のドッグクラブ(Happy Dogs Family)主催で行われました。 今年はことのほか暖かく、昨年の寒さを予想してかなり 重装備で参加しましたが持っていったカイロも使わずにすみました。

オリエンテーション
テリー先生の自己紹介から始まり、家庭犬のしつけは何? からトレーニングの方法は一つだけではなく良い方法も たった一つではない。その犬に合った方法を選ぶことである。(LIVING-WITH-DOGSがかねてから思っていた事をそのままテリー先生の言葉から改めて実感させられました。)

テリー先生の「インディアンの話」
昔、インディアン達はたくさんの動物と混在して暮らしていた。ある時、人と動物の間に境界線が出来た。多くの動物たちは向こうに行ってしまい、人と動物の各々のファミリーが誕生した。人と動物が別離した状態の中、犬はその境界線を勇気を持って飛び越えて来た。犬は自分の意志で人と暮らそうと選択したのである。だから犬は人間の生活のルールを覚えなければならなくなった。そして人は犬に泣かないように教えなくてはならないと。

テリー先生の「銀行の話」
ある時、お金を貯めようと銀行にほんの僅かな現金を入金し口座を作った。しばらくの間はただ少しづつの現金を積んでいくだけだった。何年も運ぶばかり、そしてだんだん元金が大きくなっていったら、なんと利息が付くようになった。犬のしつけとは、まるで銀行に預けるお金の様なもの。それも少しづつ増えていく貯蓄のようなものである。

トレーニングの方法は様々ある。何通りもある方法はすべて正しくこれが一番だと言うことはない。 しかし、ミスを待つような方法だけは好ましくない。ミスをしたら罰、ハンドラーを怖がるような方法である。

良く出来たらご褒美であるべきであり、ミスをしたら無視することが必要な方法である。

ハンドラーはトレーニングの内容をデザインし、犬が自ら考えてやったかのようなコースを作り上げていく。 時間はかかるかも知れないが、こうやって身に付いたト レーニングは決して忘れない。

アドバンスクラスのワークショップ – Shaping
条件付けた音で、フードを利用し、食べることに注目した方法である。犬は食べることが大好きであり、行動に対してフードがもらえる約束として位置づける。どうしたらフードがもらえるかを犬に考えさせる。バンダナを見せ、見たらクリッカー、おやつ、の組み合わせ。

ビギナークラスのワークショップ – Chaining backward
バンダナの上にフード、バンダナの所に座りフードを見る→長く見る→頭を動かす→足を動かす→口をつける→取る→ハンドラーの所に」戻る。これらの行動を逆から教えていく。
  
午後のセミナー

作業犬のトレーニングと家庭犬のトレーニングの違い
JKCやAKCではフードやおもちゃをモチベーターとして使わず、オフリードで競技を行う。テリー先生のトレーニング方法は、フードやおもちゃを利用し、犬が楽しい状態、ハンドラーも楽しい状態、犬がどう考えているか、思っているかを考えて行うトレーニング方式である。

犬のボディランゲージ
何枚かの犬の表情を撮った写真を提示し、その写真はすべ て犬達が何らかの事情で笑っている状態であった。 笑いの表情の中でも以下の場合がある。

・恐怖感を伴う笑顔の時
・服従心はあるがおどおどしている笑顔
・子供の頃に覚えた表情が笑顔に出てくる

犬同士の行動
目と目で見つめ合う状態は対立しており、目をそらすこ とで身を引くサインとなる。

ストレスのサイン
尻尾を下げる、耳を後ろにする、よだれをだす、口が堅く なる、身体を低くする、パッドに汗、等々。

大きなストレスのサイン
ふるえ。(興奮時、寒さ、はストレスである。)

これらの犬の仕草はカーミングシグナルと言われ、犬が自らを 落ち着こうとするときに起こるものである。

また例えば、

あくびをする
何をして良いか判らなくてとりあえずあくびをし、深呼吸をして口の緊張を和らげようとしている。狼のあくびは、対峙する動物に危害を加えないからこちらにも加えないでねというサインである。

匂いをかぐ
不安に思っているときに出すサイン、何かやらなくてはいけないけど以前問題があって、ちょっと違うことをしてその場を避けようとしている。自分を落ち着かせようとしている。これらはカットオフ、現状を違った行動でその場を避けよう とする行動である。

目を細める
緊張をほぐすシグナル。

等々様々な犬のボディランゲージを組み合わせて読みとって 行く必要がある。

身体を堅くし、ふるえ、緊張を和らげようとしてる事を人は 知らなければならない。

以上カーミングシグナルについての具体的な写真を見ながら お話を伺いました。
また、終盤にテリー先生のおっしゃった言葉では、犬の研究者が様々な事を書物に書き犬の心理を判ったように書いているが、どれもこれも憶測でしかないのであり、真実は犬にし か判らないのである。

最後にテリー先生からのクイズ
テニスコートの中にあるサッカーボールを人は外枠にいて犬にラインの向こうにボールを移動させるには?
1.リトリーブ(くわえられない大きさであり不可能)
2.鼻で押させる(鼻で押すことを教えなければならない)
3.蹴飛ばさせる
4.ロングリードを利用する

どの答えも不可能である。テリー先生は正解を出されませんでした。

飼い主は犬にたくさんの試行錯誤をし、たくさんの体験を通して努力を継続して自ら解決策を探しなさい、と おっしゃりたかったのだと私は思いました。まさしく人と犬とのつき合い方は100頭の犬がいれば100通り の犬、100人の飼い主がいれば100通りの飼い主、皆個性が違うと言うことなのですね。

9時から17時までの中身の濃いしつけ教室でした。我が家の犬は久しぶりのしつけ教室で、疲れ切ってしまい、カーミングシグナルを出しっぱなしでした。 お疲れさま! トレーシーちゃん!!! (2000/01/26)

(LIVING WITH DOGS)

 

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