犬と新生児

犬と赤ちゃんのいる暮らし – 犬と新生児



私、妻とともアパートにすんでおりますが、この度娘が生まれ、これを機に実家で私の両親と同居をすることにしました。実家にはポメラニアンが一匹います。5年ほどまえに、右後ろ足に怪我をしてどこからか、迷い込んできた犬で、かわいそうになり、病院につれて治療してもらったりするうちに、自然と飼うことになった犬で、いまでは完全に実家家族の一員になっています。
この犬は、その怪我がもとで足は切断され、3本足ですがとても元気に朝夕の散歩にも出掛けます。ただ、フィラリアにも罹っていて(実家に来る前からすでに感染していたようです。)ときどき、激しい咳を立て続けにして苦しそうです。
今回、この実家に私たち親子3人が入ることになり、そこで心配なのが新生児(現在まだ生後3週間強)の衛生についてです。新生児は生後少し経過すると、免疫力が低下する時期があり、特にそういう時期には、犬にさわった手で子供にさわるべきではない、必ず手を洗ってからにするべきだ、と家内は言います。家内の友人のなかには、子供がうまれたので、それまで飼っていた犬を処分した、という人までいると言うのです。
父親としてはずかしながらそうしたことにこれまであまりに無頓着で、どのように対処したらいいのか、わかりません。もしこうしたことに関して何か教えて下さる方いらっしゃいませんでしょうか。



犬はポメラニアンで小型であるので、ベビーベッドを利用すればお子さんが直に犬に触ることはありません。赤ちゃんはミルクの匂いがしますから犬はその匂いに魅力を感じるでしょう。犬はいつも清潔を保つことです。清潔な犬でしたら、少しくらいは大丈夫です。
お子さんの成長過程に、犬が側にいることは、人畜共通感染病に勝るものがあります。あまりにも病原菌に敏感になりすぎてかえってひ弱になってしまうこともありますから。大げさに気にしすぎるのも問題かと思います。
実際に小さなお子さんが二人いらっしゃるご家庭では、ミニチュアダックス3頭と一緒に暮らしていますが、子供にとっては情操教育の面で素晴らしいとおっしゃってます。
以下は、人畜共通感染症の関連資料抜粋です。(LIVING-WITH-DOGSでかつてメーリングリストを開催していたときの資料から)

● 獣医師
一般的には、口対口ではほとんど問題になるような病気はありません。犬の口にいるバイキンは、舐めたりキスしたりする事で人間に移るのですが、その接触が長い人はすでに体に犬の菌が入り、共存している事が多く、大丈夫な事が多いです。ただ、ほとんど犬に接触した事の無い人が いきなりディープキスをすると、未知との遭遇で、問題が出てくるか もしれません。
でも、ウンチを舐めたり、何かばっちい物を舐めたりしている事はよくありますので、ちょっとお腹を壊したりする可能性はありますが。また、犬の回虫は人間に感染する事がありますので、子供、お年寄り、抵抗力の低い人は要注意です。その他に犬から人へ移る病気としてきをつけなければいけないのは、ノミ・ カイセンダニ・ 真菌感染症(水虫の一種)、レプトス ピラ(細菌・伝染病)、狂犬病(人間で発病すると死亡率ほぼ100%) などがメジャーなものです。狂犬病は半世紀近く発症していません。

林 良博氏(東京大学農学部獣医科)
人畜共通感染症については、恐らく研究者によって答えが異なると思います。寄生虫や病原微生物の研究者の方々は恐らく、口をなめさせるのはやめなさい。と言うでしょう。しかし、私は、あなたの犬をいつも清潔な状態に管理しておくのであれば、時々口をなめるのに付き合ってもかまいませんとお答えします。例え、百万回に一回の危険性があったとしても、それを止めなさいというのが日本の常識になっています。
しかし、それでは人生はすごくつまらないものになってしまいます。例え、交通事故の可能性があっても、人間は外へでかけます。注意さえ怠らなければ、それでいいのです。
ましてや、犬のように人間との共通伝染病が少ない動物は安全性が高いといえます。一番危険が高いのは、相手が人間の場合です。次は、サルの仲間です。犬が寄生虫等に感染しないように、また、感染した場合にはすぐ治療するように、さらに散歩の時に、腐った物を食べないように管理するのは、犬とあなたの為に必要な事です。

セミナー資料から
犬からのものと断定するとそんなになかったように思います。サルモネラ症、レストスビラ症、皮膚真菌症、 狂犬病,エキ  ノコックス、疥癬、クリプトスポリジウム症でした。人畜共通というと鳥とか牛、豚、馬、ネズミ等他のいろいろな動物も  対象になってきます。
手を洗うとか、口移しで食べ物をやったりしないとか自分でできることをすることかと思います。

Q熱に関して
Q熱はワンちゃんの場合、軽い微熱程度で発見も難易ですが、人間の場合、発病後に死亡例も報告されています。大別すると急性期と慢性期があるそうです。

Q熱原因菌(リケッチアの一種コクシエラ菌) Coxiella burnetii
急性期:典型的なインフルエンザ様症状。(これが誤診の原因)
14日〜26日の潜伏期間の後、急激に発熱(39〜40度)、激しい頭痛・眼球後
部痛・全身倦怠感・食欲不振・筋痛等から気管支炎・肺炎・肝炎・髄膜炎等の
症状を示す。予後は一般に良く、10日前後で回復する。
慢性期:慢性期への移行率は2%〜20%、心内膜炎・慢性肝炎・心筋炎・心外
膜炎等の症状を示し、死亡することもある。

感染症新法の4類感染症に認定されており、毎週のように国立感染病研究所により追跡調査が行われています。ちなみに最新の6/28〜7/4の週間報告でも、静岡で1例あったそうです。
人畜共通感染病原菌の一番の保菌者は獣医師です。人畜共通感染病以外でも、パルボやコクシジウムなども、この類だったはずですので、人を媒介とした感染病にもご注意ください。
また犬を媒介とした感染病も、幾つかあると思います。共に、人または犬で発病しないだけですので。

1. 動物、飼育ケージ、排泄物などに触ったあとは手洗いを必ず行う
手を石鹸や洗浄剤などで洗うことにより、付着している細菌そのものや、細菌の栄養源になる有機物を効果的に除去することができます。水だけで洗ってもある程度の汚れは落ちますが、石鹸を使用してきちんと洗った場合よりも除菌効果は落ちます。洗った手は清潔なタオルで拭かないと意味がありません。

2. 飼育ケージ、動物が使用する食器、給水器、巣箱、トイレなどの洗浄・消毒を定期的に行う
古い餌や排泄物をこまめに捨て、掃除するのは当然のことですが、月に一度はケージやその他のグッズを洗剤で丁寧に洗い、できれば消毒も行うと良いでしょう。家庭で出来る消毒法としては、熱湯消毒や日光消毒というのが一般的です。通常の細菌は熱や乾燥にに弱いので、これらの方法でも十分に効果はあります。その他に家庭で入手可能な消毒剤として消毒用エタノールや塩素系消毒剤(いわゆる漂白剤)があります。エタノールは濃度が適正でないと効果は半減しますので、水分を良く拭いてから使用しましょう。塩素系消毒剤については、市販の塩素系漂白剤をだいたい30〜40倍に希釈して使用してみて下さい。
ただし、金属腐食性や刺激臭、使用部位の変色、有機物(糞や尿など)による効力の低下、ガス発生などがあるので注意して下さい。

3. 部屋はこまめに掃除をする
動物を飼われていない場合に比較して動物を飼われている御家庭では、粗相されたり、被毛が抜けたり、散らかされたりと掃除がかなり根気のいる作業になることがありますが、がんばりましょう。ノミなどが発生したときは特に入念に行いましょう。部屋全体の消毒は広範囲ですし、消毒出来る部位がかぎられてきますので、現実的には無理かもしれません。出来るだけ清潔にするということを心がけて下さい。

4. 口移しで餌を与えたり、キスをしたり、食器を共有しない
当たり前のようなことですが、以外とやっている方が多いようです。かわいいと思ってもやはりけじめは必要ですね。

5. 動物は必ず定期的に獣医師の診察を受けさせ、予防できる病気は確実に予防する
飼われた時点からかかりつけの獣医さんを見つけられて、早めにそして定期的に健康診断などをしていただきましょう。寄生虫や伝染病に関する予防(駆除)は徹底しましょう。

6. 飼い主の方が動物にかまれたり、ひっかかれたりして傷が出来た場合早めに病院に行きましょう
飼い主の方が動物にかまれたり、ひっかかれたりして傷が出来た場合は必ず水洗・消毒後、医者の診察を受ける。傷は思ったよりも深いことがありますし、人によってかなり腫れたりすることがありますので、気になるようでしたら早めに病院に行きましょう。
 

以上のことは、動物を飼う上でとても大事なことです。
動物と快適に共存するためにも是非守って下さい。(2001/03/10)(LIVING WITH DOGS)

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