狂犬病予防接種の集団接種と注射針
狂犬病予防接種の集団接種と注射針
犬の予防接種として、法定伝染病である狂犬病予防接種は、必ず接種させなければなりません。狂犬病はこの日本では半世紀発症していませんが、エキゾチック・アニマルの入国による危険性が現存しており、国の定めた伝染病予防の為の接種は飼い主の義務です。
皆様のお宅に各自治体から狂犬病予防注射票交付申請書というものが毎年送られてくると思います。裏には、集合会場のお知らせが併記されていることと思います。
我が家にも、もちろん届きました。我が家の場合近所の獣医さんに行って接種しますので、このような会場で接種をしていません。
集合予防接種の必要性と利用する注射器の針について、読者の方から質問がありましたので、ある獣医師に質問してみました。
Q: 注射器の針を使いまわしているということはありませんか?
A: 一般常識のある病院では注射針も注射器も一回限りの使い捨てのものを使用します。
「経費削減」に情熱を燃やす病院では、使用した針や注射器を洗浄してからもう一度滅菌処理して使用したりします。何故危険か? よく洗浄しても、微量な薬物、特に危険なのはワクチンがそこに残留しているおそれがあり、副反応が出ることがあります。
また、針の場合、切れが悪くなるので、注射で皮膚にさす時にとても痛いそうです。
というような話は何も動物病院だけではなく、人間の病院でもあるようです。
なので、心配ならば注射の時、針や注射器はどこからどんなものを出して使用してるのか、さりげなく見ていたほうが安心かもしれません。今はどちらも一本づつメーカーの名前入りの袋に包装されてますから、全く無印の袋入りは怪しいです。
Q: 自治体で公園などで集合接種の場合、針を交換しているでしょうか?
A: 公園の集合注射ほど「???」なものは無いかもしれません。体重はおろか、体温も測らず問診や聴診も殆どフリーパスです。十分な時間が無い上、扱う犬の頭数は多いです。
(一日何箇所か移動する)その場所で1時間半から2時間ほど実施します。90〜120分ですね。来る犬は100頭以上です。1頭あたりの所要時間はさて、どのくらいでしょうか。書類の発行・受け取りやお会計の時間もかかります。注射器や針こそ1頭づつ新しいものに変えますが、針の太さは犬の大小が違っても同じ。チワワでもマスチフでも!犬も人も興奮状態なので普段大人しくてもパニックになる犬も珍しくありません。
獣医師として私は「健康診断も兼ねてかかり付けの病院で受けたら」とお薦めします。私は狂犬病の予防注射はいらない、とは言いません。(いや、むしろ必要でしょう!)
でも、集合注射にこだわる理由がわからないし、集合注射制度はもう考え直したほうが良いと思います。
(2004/04/18)(LIVING WITH DOGS & 獣医師)