動物看護師さんの実状
動物看護師さんの実状
2月に朝日新聞の記事をご紹介していますが、動物看護師さんには厳しい現実があるようです。
今日の毎日新聞に詳しい現状の記事がありましたのでご紹介しましょう。
我が家は先代のトレーシーの末期には動物看護師さんに大変お世話になりました。信頼できる看護師さんが愛犬の病状をしっかり把握してくれていたので、安心してお願いできていたんですけど。
これから動物看護師になりたい若者達が、夢を持って働けるような環境が出来ると良いですね。(2009/7/1)(LIVING WITH DOGS)
どうぶつナビ:動物看護師の退職が相次いでいます。
◆動物看護師の退職が相次いでいます。
◇低賃金、統一資格なく 専門家ら協会設立、技術向上・処遇改善目指し
ピンクの作業着に身を包み、体重10キロ近いフレンチブルドッグを何度も抱き上げ、たらいの中で薬をかける。みなみこいわペットクリニック(東京都江戸川区)のNさん(23)は動物看護師だ。声を掛けながら発疹(ほっしん)で赤くなったおなかに優しく触れる。「この子はおとなしいから楽なんですよ」とほほ笑む。前日は急患の犬の帝王切開でスタッフ全員が深夜帰宅だったが、午前8時半には出勤し、いつもと変わらぬ忙しさで院内を飛び回っていた。
動物病院で獣医師の診療や手術の補助、入院中の体調管理を担う看護師たち。彼らの技術と地位の向上を目指して今春、専門家らが集まり「日本動物看護職協会」(会長・森裕司東大教授)を設立した。背景には獣医療界の深刻な事情がある。
協会によると、全国で約2万人が看護師として働くが、統一された認定試験がないために、処遇や仕事の内容、呼び名まで病院によりばらばらだ。急患への対応もあって勤務時間は変則的で、診察や治療のためにペットを押さえつけてかまれたり、レントゲン撮影時に被ばくするなど危険も伴う。だが賃金が安いうえ専門性が認知されていないため、離職が後を絶たない。社会保険が整っていない病院も多く、初任給が15万円以下の所も。離職率のデータはないが「5年持てばいいほう」(専門学校関係者)との声もある。
今年3月に離職し、今は物流会社の契約社員として働く男性(24)は「勤務先では扶養手当などを求めていたが実現せず、院長に誠意を感じられなかった」と話す。午後9時から翌日午前9時までの夜勤を3日連続し、3日休む繰り返し。体力的には持ちこたえられたが、5年上の優秀な先輩と自分の給料が5000円しか違わないと知り、がくぜんとした。専門学校で看護学を修めたので続けたかったが、将来を考え転職せざるを得なかったという。
日本獣医師会の山根義久会長は「動物看護師の処遇の改善を急ぎたい。雇い主である獣医師が必要性をしっかりと認識し、利益と仕事を分かち合わなければ何も変わらない」と訴える。国内で飼育されている犬と猫の数は約2684万匹(08年ペットフード協会調べ)に上り、ペットは家族の一員として大切にされる傾向にあるものの、その命を支える獣医療の足元が危うい。
持病のため月1回の検診が必要なボストンテリアの「くじら」(2歳)を飼う世田谷区の主婦、Hさん(33)にとって、受診のたびに病状を覚えていて声を掛けてくれる看護師は頼もしい存在だ。しつけや食事の悩みも聞いてくれるが「スタッフの入れ替わりが激しく不安になったこともある」と話す。
専門学校などの教育機関も、全体の教育水準を上げようと動き出した。ペットブームの影響で看護職、トリマーなど動物の専門学校は全国に乱立状態、総数すら把握できない。中心的に活動するシモゾノ学園(世田谷区)の下薗恵子理事長は「いい人材を育成することが雇い主への理解につながる」と話す。学校飼育を通して動物が好きになり、同学園国際動物専門学校に在籍する鈴木綾圭さん(20)は「安心して来院できる雰囲気を作れる看護師になりたい」と夢を膨らませる。
日本動物看護職協会は、国家資格を視野に入れた統一資格の創設を目指し、教育支援や動物看護学確立のための調査研究を進める。現職の看護師で副会長を務める西谷孝子さんは「看護師は言葉を話せない動物に寄り添い、飼い主と獣医師をつなぐ存在。確かな知識と誇りを持って長く働き続けることができる環境づくりのため、飼い主さんにも関心を持ってほしい」と話す。問い合わせは協会(電話03・3254・3662)。(2009/7/1)(毎日新聞記事より)