ドッグエッセイ「モラルの問題」を読んで
ドッグエッセイ「モラルの問題」を読んで |
日本には公的には保険所又は動物管理事務所は殺処分するための檻があるだけです。いわゆる保護シェルターはありません。しかし年々殺処分数は減ってきています。動物愛護運動が進んでいるからとも言えますが、保健所の人だって、連れてこられた犬や猫を殺したくないんですね。だから裏口から心ある方に遺棄された犬や猫の里親探しを内緒でお願いする職員の方もいらっしゃるんですね。これは行政としては本当は違法行為なんですけど。いくつかの県や市では実際に殺処分を最小限に止めている事実があります。 もしも、現状で、日本に保護という名の公的シェルターが出来たなら、どうでしょうか?それこそすぐに満杯になってしまうでしょう。そして不足して次から次ぎとシェルターを増やさなければならなくなります。このような状況は目に見えています。飼い主の一人一人が捨てない飼い主になっていかないと捨てられる犬や猫達は減っていきません。ある方から貴重なご意見をいただきました。日本で本当の意味での動物孤児院を機能させるには一体どうしたら良いのでしょうか。皆様も是非ご一緒に考えて下さい。(2005/3/3)(LIVING WITH DOGS) 小野さんのエッセーで、日本に「動物孤児院を」とありますが、現状からすると非常に厳しいと思います。始めにお断りしますが、「欧米はペットを捨てる人なんていないよ〜。そんなことするのは日本人だけだよ〜。」と言うことではありません。 余り知られてないだけで、欧米(特に合衆国)は日本より規模は少ないですが相当数が殺処分になってます。小野さんも闇雲に欧米礼賛を薦めている訳ではないと思います。実際の所、日本は残念だけど様々な面で立ち遅れているからです。 そして日本にはシェルターが少ない。数少ないシェルターは公的ではなく、個人やその集まりの団体が運営しています。だから、大抵は個人の善意で限界まで保護しています。 では、公的にシェルターを運営できるか、というと難しい問題があると思うんですね。 1. 財政上の問題 (各自治体、懐具合が厳しいので、新しい事業には慎重) 2. モラルの問題 「犬や猫を引き取ってくれる、しかも殺さないようだ。」となると、遠慮無く持ち込まれるのは確実。下手すると素人繁殖をしている飼い主が「そうか、売れ残ったり、失敗したらあそこに持っていけば良い。自分で見つけなくても、むこうで飼い主を見つけてくれる。便利だ。」となる恐れがあります。素人繁殖を助長する結果になるようで怖いです。 「有料にしたら?それは良い考え」と思いきや、そうなるとその辺の公園や河川敷などにこっそり捨てられる。まるで、家電製品の不法廃棄のように。動物指導センターの開門時間前に犬小屋ごと親子犬を置いていった飼い主もいる始末ですから。 3. 行政の問題 ペットを飼うのは個人の自由です、だからその問題に行政が首を突っ込むのはどうかと考える自治体もまだ多い。そんなのは税金の無駄遣いと一般市民から苦情も来るためです。 かくのごとく、あまり明るい展開にはならないのですが、せめて「次のペットはシェルターから譲ってもらう」と考える人が現在の2倍になれば、事態は変わると思います。「いつになるのやら。確かに10年前に比べれば事態は改善されているんですけど」 (2005/3/4)(東京都、A.Hさん) |