犬ゾリに燃えた日

犬ゾリに燃えた日


カッコだけは…ね?


(前夜)ノイパパリポート
ほとんど眠らずに蓼科に着き、ソリの基本から、コーナリングのコツまで、ざっとレクチャーを受けた後で、いよいよノイをつないで練習してきました。ノイにとっては生まれてはじめての雪、そして犬ゾリ…。
悪いことに昨晩降った雪がまだ踏み固められておらず、走ると足がズボズボともぐってしまいます。
 


まず、人間がソリに乗る練習



スノーモービルで練習

予想通りはしゃぎまくったノイですが、こんなに長い距離では(といっても数百メートルですが)集中も切れるし、ばててしまって完走が危ぶまれてきました。マッシャーFさんに乗っていただくレディスクラスは距離が短いので、もしかするとちゃんと犬ゾリレースらしい走りを見れるかもしれません。

たっぷり練習し、雪原のドッグランでずーっと遊び、くたくたになって宿にたどり着いたシベリア村(東京・代官山でサモエド、ハスキーを連れてオフィスワークをされているLIVING WITH DOGSメーリングリスト(1997年8月から1999年9月まで続いたメーリングリスト。現在は開催されていません。)メンバーが名づけている)一行は、気持ちの良いお風呂と、食事をして今は部屋で反省会の真っ最中です。犬たちはすでに夢の世界にどっぷり。私達ももうフラフラです。明日も早起きなので、本番の様子はまたゆっくりレポートしますね。

(午前の部)ノイパパリポート


それ行け!ノイ!

さて、シベリア村犬ゾリチームのチョビ太とノイは、本日午前中にそれぞれマッシャーFさんが乗ってレディースクラスのレースを終えました。結果は…上々でした。 出走はまずチョビ太からでしたが、Fさんが強力なトリーツを用意してくれたので、それを持ったチョビ太ママがゴール側から呼びこみみごとに走りぬきました。 雪質がとても良く、ソリが滑りすぎてマッシャーはコントロールに苦労していましたが、それだけに犬ゾリらしい迫力がありました。(ラインがたるむのが一番怖いそうです)
 


マッシャーFさん&ノイ


一方ノイもスタート前からワンワン吠えまくり早く走りたくてうずうずしています。 もう立ちあがってソリを引っ張ろうとしているところでスタート期待を上回るダッシュで私の待つゴールに突進してきます。必死でソリをコントロールするマッシャーFさん…。写真もばっちり撮れて、早起きの苦労をすっ飛ばしてくれました。


(午後の部)チョビ太ママリポート


がんばるチョビ太

上出来だった午前の部が無事に終わり、昼食をはさんですぐ午後の部。男女混合の一般クラス、チョビ太は3番目、ノイはラストの出走順でした。まず、チョビ太。直前まで、自分で乗るかFさんに乗ってもらうか迷いましたが、結局、乗ってもらって、先導することに決めました。もう午前中の激走で足はよろよろ。でも、とにかく走らなきゃ必殺トリーツを握りしめ、「チョビ太、おやつ、バイバイ、お留守番」と、他人が聞いたら意味不明だけどチョビ太にはとっては、とってもうれしい&大嫌いなコトバを絶叫しながら雪上を走りまくりました。
 


チョビ太、GO! GO!

ぼこぼこの雪に足を取られながら、とりあえず前を向いて走るチョビ太、走ってるかな? 来てるかな? 振り返ると、必死にそりを操るFさんと、なんとちゃんとまっすぐ走っている。チョビ太が「うそーきゃー、チョビ太、走ってる〜」と思いながら、(いや、もちろん、走るために行ったんですけどね)

「GO,GO,GOoooooooooo〜」と、いつもより1オクターブ高い声で絶叫そしてカーブがしんどい第一コーナーへ。もう、息が苦しい、足が痛い。また振り返る。 チョビ太がついて来てる コーナーも、曲がれそうでも、苦しいよお〜 と思ったところで、沿道からかけ声が「Iさん、ガンバッテ 追いつかれちゃうよ」。
メンバーが応援してくれてる。その声でもうひとがんばり。もう死ぬ〜、と思ったところで、第2コーナーのノイパパが見えた。なんとか引き継いだところで、私は雪にバッタリ。代わったノイパパが呼び込みをして、懸命にカーブの操作をするFさん。バッタリ倒れながら、「Fさん、蹴って、蹴って〜」と、スタミナ切れでスピードが落ちたチョビ太のフォローをFさんに託す。自分だって疲れているだろうに、必死に雪を蹴ってくれるFさん。


一瞬とまってトイレをしそうなチョビ太にかけより、鼻先にトリーツを持っていってチョビ太を励ますAさん。みんながんばってるんだから、いっしょにゴールしなきゃ、と必死に立ち上がって追いかける。チョビ太はAさんに導かれ、なんとか持ち直して、そのままGOOOOOOL!!!
ちゃんと、完走できました いままでで、いちばんいい走りでした。


がんばるチョビ太
 

そして、次はノイ。マッシャーはノイパパ。第1コーナーチョビ太ママ、第2コーナーFさん。ノイの大好きなピーピーボール、犬笛を鳴らしながら両手を振って呼び込む、名付けて「雪の上のチンドンやさん大作戦」

「ノイ おいで こっちだよお」とピーピー鳴らしながら叫ぶ。かなり距離があったけど、ノイはこっちを見てる。

3-2-1-GO! 出だし順調


マッシャーAさん&ノイ 


ぼろぼろの私は、第1コーナー手前でノイに追いつかれ、再び雪上バッタリ。ノイが一瞬止まりそうに。「もう死ぬ〜 だめ〜っ」と、倒れる頭の上からノイパパが叫ぶ。「チョビ太ママもうちょっとだけ頑張って〜」その声で、なんとか立ち上がって走る第2コーナーで両手を高く上げてノイの名前を叫ぶFさんが見える。安心して私、三たびバッタリ。Fさんにバトンよろしくピーピーボールを投げたけど、力足りずに届かず、雪の上にボトっと落ちる。でも、なんとかノイは走ったノイパパが力強く雪を蹴る。
Fさんも走る みんなで走る、走る、走る〜。ゴールに向かって遠ざかるその後ろ姿を見つめながら、よろよろぜーぜー、ひとり遅れてコースを歩き、だいぶ遅れて私がゴール。ベテラン用につくった難しいコースでのデビューを、ノイはしっかり走り抜きました。

 


Aさん&ノイ、伴走はFさん

そして、結果報告です。一般クラスでは残念ながらお立ち台はありませんでしたが、なんと、な、なんとレディースクラスではチョビ太が4位、ノイが5位、という、シベリア村にしては奇跡的な結果がでました。

ベスト3の発表のあと、「第4位〜、マッシャーY.F〜」この時点で「おおっ」、「うっそ〜」、「キャーっ」と騒いで犬の名前が聞き取れず。お立ち台に向かうFさん。「ノイだよ、きっと」、「え? チョビ太だろ?」と騒ぐさわぐIさん、Aさん。お立ち台から「チョビ太だよ」と叫ぶFさん。「え〜〜???」と、続けて、「第5位〜、マッシャーY.F〜」、「おおっ ノイだ〜」

4位、5位でこんなに騒いでいたのはシベリア村だけだったことは言うまでもありません…。チョビ太、数字の入った表彰状を、4年目にしてはじめていただきました。もらったことはあっても、いつも「ほにゃららで賞」というやつばっかりだったので…。  満面の笑で賞品のフードを抱えて帰ってくるFさんの姿が、思わずにじんでぼやけてしまった私でした…。

 


夢に見たお立ち台!


そして、奇跡はまだ続きます。「雪上だるまさんがころんだ」でチョビ太が5位で敢闘賞を受賞、初出場「マッシャーFさん」は会長賞を受賞、デビュー戦ノイは「敢闘賞」を受賞、という結果でした。

前の晩から、「いーんだ、チョビ太は写真さえ撮ってもらえば〜」と弱気な発言の私は、Fさんは何度も、「だめ、チョビ太の今の力を出し切ってあげなきゃ」と叱咤激励してくれました。
ノイパパも、一生懸命、土壇場まで作戦を練ってくれました。ほんとにもう、Fさん、Aさん、ありがとうございました。今回の結果は、このチームなくしてはありえないものでした。そして、未来の大器を感じさせてくれるノイの力強い走りに今後は期待が高まります。

会長以下、「まだまだ伸びるよ」とずいぶんノイをほめていました。チョビ太も、もし出られるような大会があれば、もう少しがんばってみようかな、などと思う、今日この頃。

(マッシャー談) Y.Fさん

夜の駒沢公園でちょっと練習、レース前日の少しだけの練習で大丈夫なのかな〜と心配だったのですが、そこはさすがのシベリアイヌゾリチームやっぱり作戦は綿密に練るのです。チョビ太君の弱点(?)をチェックし後ろから声をかける作戦は大成功でした。勝因はチョビ太君の先導をゆくチョビ太ママのオリンピック選手並の脚力が一番なのですが、呪文のように唱えていた、私の「チョビ太お風呂〜〜お風呂〜〜〜」もかなり効いていたはず…。
あと、マッシャーFとしてはレース当日は犬たちと同じ気持ちになるために朝食を抜くとか、イメージトレーニングのために車のなかで待機する。この2点が良かったのかもしれません。

おわってから
あの日、すべての種目が終わって表彰式を残すのみとなり、Iさんが「表彰式って待ってるだけだから寒いのよね〜」なんてぼそっと言いながら、確かにすっかり冷えてきた会場の片隅に歩いて行ったんです。多頭曳きクラスの表彰が始まり、次々に成績が発表されていくのを遠くに聞きながら、一番後ろの方で寒さに震えていたシベリア村チーム。 レディスクラスの発表になっても3位の方が呼ばれているときまで何もすることがなく、冷たくなった足をもじもじさせていました。
ところが4位でFさんが呼ばれたときから、事態は急変。うれしそうに「チョビ太よ」と表彰台から叫ぶFさん。「えっ?」と言ったっきり絶句してうるうるしっぱなしのIさん。私はオリンピックで日本がまさかの金メダルを取った劇的な一瞬を見ているかのようでした…。(オオゲサデショ?)

(ノイパパ、東京 K.Aさん Ext_link Let’s go NEU! – それ行け! ノイ)

 


シベリア村犬ぞりチーム全員集合


今回は犬仲間チームで参加して、そしてLIVING-WITH-DOGSのみなさんに励ましていただき、いい結果が残せて、さらにヨロコビをわかちあえて、とてもシアワセです。LIVING-WITH-DOGSとみなさんに感謝。

(チョビ太ママ、東京 M.Iさん Ext_link Northern Blue )

まぁ何はともあれ、本当に楽しかったです。働いている犬はかっこいいですよ。 みなさんも機会があったらぜひ犬ぞりを見てください。Iさん、Aさん誘ってくださってどうもありがとうございました。

(マッシャー、千葉 Y.Fさん Ext_link Le Chien Jaune )

 


abbyちゃん、犬ゾリには参加できなかった
けど、雪上フリスビー体験、よかったね

 

(99/02/14)

 

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