介助犬トレーニングセミナーを聴講して

介助犬トレーニングセミナーを聴講して (11月7日、日本聴導犬協会主催)

英国在住のドッグ・トレーナー、ニナ・ボンダレンコさんによる犬のトレーニング方法。ニナさんは、オーストラリアの方ですが、現在は英国に在住だそうです。20数年間ロットワイラーの訓練を通して、家庭犬、警察犬の訓練士として、欧州を中心に活動してきました。現在は、英国のCP(Canine Partners)協会で、介助犬や聴導犬などの補助犬の訓練指導者として、活動しています。
クリッカー・トレーニングと同様に、一定のシグナルを利用するものですが、ニナさんはクリッカーの響きを優しくしたような声、エックス(X)で動作の経過から成果にはエクセレントという声とモチベーターであるおやつで誉めて一つづつ作り上げていきます。
犬にうまくタイミング合わせてXXXXXX、のささやきながら到達したときにエクセレントとご褒美のおやつです。犬に自分で考えて行動するようにし向けていきます。
クリッカーの音は、まれにダメな犬もおりますが、このXという声は、ハンドラーが発するものですから、一定のリズムで強弱も加減できますし、最後のエクセレントを発声するときのやったね〜! と言う感じが込められて、慣れればクリッカーよりも一体感が感じられるかも知れません。

また子犬がアシスタンスドッグに向くかどうかの性格判断の方法として、

1. 子犬を仰向けにさせた状態での行動
2. クイック・リカバリー(ストレスへの改善力)の状況
3. リトリーブ時の行動
4. 独占欲の強さ
5. 犬のしぐさを観察

等から犬の行動をしっかり観察しアシスタンスドッスとして適正のある犬かどうか判断します。
このような性格判断は、各作業犬(例:警察犬、牧羊犬、補助犬)ごとに判断基準は異なります。
ニナさんが最後に犬の訓練は、犬の立場になって考え、犬が発するカーミングシグナルを的確に理解し、犬が自ら価値を見いだすことで、ヒトの望む行動をしてくれると。
家庭犬のしつけも、この過程はまったく同様であると思いました。
日本聴導犬協会のデモ犬、小型犬のシン君と、中型犬クロちゃんが、モデルとなっていくつかの訓練方法を説明されましたが、とても判りやすくさすがプロのトレーナーだと思いました。

さて会場には、介助犬の黒ラブ、ニッキー、盲導犬のディックが来ていました。2頭ともユーザーさんにぴったり寄り添い素晴らしい補助犬でした。ニッキーは8才とは思えないほど若々しくユーザーさんとも息もぴったりです。
補助犬の仕事中は、周りの人は「犬に触ってはならない」と言うことは当然なのですが、まだまだその周知が徹底されていません。ニナさんから、触らないで欲しいと思っても面と向かってなかなか言えないユーザーさんが多いことを慮って、いくつかの提案がありました。
まず、触ろうとするヒトと犬の間にユーザーが入ってしまう。そして直接「触らないで下さい」と言うこと。でも言えない場合は、犬に向かって話す「**ちゃん、触られたくないよね」と。犬が触られたら、ユーザーが触ったヒトを触り返すとか。(ちょっとこれは出来ませんよね)
我が家の家庭犬の場合も、街で突然しゃがみ込んで触りまくるヒトがいますが、困ったものです。せめて、「触っても良いですか?」と聞かれれば、「どうぞ」とか「ごめんなさい」とお断り出来るのですが。

ニナさんはパワフルで明るく楽しいお人柄です。また犬のしぐさを身をもってやって下さるのですが、その姿は、まさしく犬、犬を十分に観察してこそ犬になりきれるのでしょう。
このような素晴らしいセミナーを開催下さいました日本聴導犬協会に感謝いたします。



(2003/11/07)(LIVING WITH DOGS)

 

     


 

 

 

 

 

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