犬のテーマパークって何?

海外に犬のテーマパークはあるか?

北米でのドッグパークとは

北米ではいわゆるドッグパークというものは、公共の健全なドッグランとして認定されている公園や土地を指します。犬自体を見せ物にしたり、ショーとしてスポーツを見せたり、さわるための犬を置いているパークはありません。
“さわる”というのではPetting Zooというのはあります。バンクーバーやトロントでは夏祭”fair”と呼ばれるものが2ヶ月ぐらい開かれるのですが、この時、やぎ、うさぎ、羊、牛など、”田舎の動物”にさわる機会の少ない都会っ子が干し草を与えて、頭なでなでできるようなのがあります。Petting Zooは大体小学生低学年ぐらいの子が両親と行くようなところですね。大抵、年長の生徒が各動物の特性なんかの説明をしています。

これらの動物は、農村の子女が参加する4Hクラブという組織あるいは農家が提供しているものだと思います。4Hクラブはカナダの農業の未来を背負う農家小・中・高校生が、動物飼育について学ぶクラブで、丹精こめて動物を各自の農場で 1年世話をし、その成果を競い合う品評会で締めくくられます。会場ではヘアースプレーを牛のしっぽに吹きかけて必死にブラッシングしている高校生とか見かけられます。品評会のあとはブタ、牛などは食肉として業者に購入されていって、彼らは涙のお別れをするわけですが、やはり農村の子供たちですから食肉ビジネスについては理解しています。
(カナダ・バンクーバー、Mさん)

 ヨーロッパでは

ヨーロッパでは犬や猫を見せ物にしている施設はありません。動物を見せ物にしているのは動物園がありますが、それはどこの国にもあります。ショーとして見せ物にしていると言えるのは、唯一、鷹や鳶のショーです。
しかし、猛禽類ですから、プロが鳥たちを扱い、決して観客にさわらせるようなことはありません。
犬や猫は個人で飼うものですから、犬猫をショーにすることなぞ絶対にあり得ません。
(東京都、マルコ・ブルーノさん)

(2001/04/17)

犬のテーマパーク体験報告

ケース1: 世田谷区

2月11日(日曜日)三連休の中日、風も穏やかな、お天気の良い昼下がりに思いきって行ってみました。普段近所までは行っていながら、入ろうという気がしなかっただけでした。

午後2:00頃に正面玄関に到着、なんとすごい人です。入り口には入場券を購入する列が出来ていました。入場料は大人1000円でした。
中は狭い敷地に人がうようよ。入り口の近くにフレンドリーパークというの屋根のあるコーナーのベンチには人がぎっしり座り、その後ろには立ってみている人たちで一杯です。
****卒園式とか幕に書いてありました。ここで生まれたブルドッグが母親と別れるセレモニーらしいのですが、人だかりで何をしているのかも判りません。

両側小型犬犬舎の飾り窓の狭い道を歩いて行くと、ダルメシアンの子犬が何頭か固まって寝ているガラス窓がありました。たくさんの人たちは「可愛い〜!」ガラス窓に張り付いて言ってます。
その横にはブルドッグの子犬のガラス窓です。キャバリアはガラス窓の小部屋から出たいとドアをかじっていました。その隣はバセンジの子犬が2頭隅っこで固まっていました。今日は比較的暖かですが、今年は寒い日が多いです。アフリカ産のバセンジにとってはかなり寒いでしょう。



ちょっと行くとショップがありました。その前にはテーブルと椅子が何組かあります。親子連れはポップコーンや飲み物、お父さんは一服という場所です。その横に階段があり二階の休憩場のデッキがありました。そこからこのパーク全体が見れます。ほんとに狭い場所に良くこれだけの人が入っているとびっくりしました。子供連れや若いカップルです。









さて、一回りして最後にフレンドリーパークと言うところにコース順に戻りました。3時からお散歩コーナーというのがあるそうです。その前に、ダルメシアンの子犬を職員数人が抱き、中央にいるコメンテーターがダルメシアンについて語っています。このパークで生まれたダルメシアンについての説明です。ダルメシアンの性格とか、可愛い犬で、飼いやすく、手ざわりは最高! もしこの子を買いたいと思ったら側にいる係りの人に言って下さい。と…。

ダルメシアンの難聴や尿酸結石という遺伝性疾患、荷車をひく犬で引きが強い犬である事など一切ふれていません。また子犬は両脇の下を両手でつかみ後ろ足は宙ぶらりんの抱き方でした。子犬のこの抱き方は股関節に良くないことはちょっと知っている人であれば当たり前のことですが…。思わず足を支えて下さいと余計な事を言いそうになってしまいました。

そのあと、お散歩コーナーです。小型犬、中型犬、大型犬、超大型犬と順次登場です。
お散歩体験希望者は何重もの列が出来待っています。その片隅に取材でしょうか? 記者とカメラマンがいます。


 



お散歩をさせるときの注意事項があります。犬同士仲の悪い子達もいますからその近くには寄らないようにと、特に柴犬はみんなから嫌われているので良く吠えられますから近づけないように。また珍しいベルギーの犬シッパーキーがいました。この子も相性の悪い犬ボルゾイがいます。その説明が、この子はシッパーキーを食べちゃいます。と…? (犬は気に入らない相手を威嚇するだけです。)

アイリッシュセターもミニチュアダックスと相性が悪いとか。この犬達の個性もざっと話してくれます。「超大型犬や、大型犬をお家で飼っている方はいらっしやいませんか?特にアイリッシュセターとフラットコーテッドリトリバーはまだ充分にしつけが入っていないので子供だけのお散歩はお控え下さい」と。


また「散歩中にウンチをした場合は、近くにいる従業員に声をかけて下さい。すぐに紙をもって片付けますので。」ここでお散歩を体験する方々にウンチの世話もして貰った方がもっと良いと思いましたが。散歩希望者は各々のお好みの犬と一緒にお散歩を開始します。私達はそのコーナーの出口にいました。そこで3人組の若い人たちが通る犬達すべてをさわりまくっていました。くる子くる子みんなをさわるんです。犬達は慣れっこになっているんでしょうか。。。。無関心です。「この場所最高だね。全部の犬にさわれる場所じゃん!!!」と3人ははしゃいで喜んでいます。

私達は、その有様をみて、犬達はさわられることを仕事にしているんだ。と割り切るしかありませんでした。残念ながら犬達は一様に表情がありませんでした。目の輝きがありません。ペットショップにいる犬達とまったく同じです。
超大型犬のグレートピレニーズは真冬ですから被毛はしばらく洗われていないと言う感じでしたが、おしなべて、ケアはされているいう感じです。たくさんの従業員がいますからブラッシングはマメにされているようです。
子犬の飾り窓のウンチは気がつくと片付けられています。またこのパーク内は、ひどいペットショップに良くありがちの犬の匂いや糞尿の匂いはしません。(LIVING WITH DOGS)


ケース2: 千葉県

我が家から7キロほどのところに「****ランド」というペットパークができました。以前からチラシや看板などで名前だけは知っていましたが友人を誘い、思い切って見学してみました。日曜日の10時に現地に到着しました。
入口にキャバリアの雌が鎖に繋がれたままお出迎えです。彼女のお乳はパンパンに張っています。子供を産んだばかりなのでしょう。
入場料を1人500円支払い入場しました。なんともいえない悪臭がします。目の前には生まれてからたぶん1度も洗われていない犬達が柵の中からわたし達を見上げています。






小型犬から超大型犬まで40頭ほどの数がいました。比較的おとなしい犬が2ヶ所の広場に放たれています。小型犬グループはミニピン・キャバリア・ダックスフンド・コッカーなどでもう一つの広場にはグレートデーン、ニューファンなどがいました。
2月のせいかミニピンなどは他の犬にピッタリ寄り添って震えています。大型犬たちはゆったりとくつろいでいるように見えますが、わたし達の姿を見たとたん「さわって」というようにそばに寄ってきます。

係員の話しによると犬達は1歳前後、活発なGRやGSD、サモエドは広場の周囲にある檻の中で右往左往しています。そしてその檻の中にはバリケンが入れてあります。夜はここで休むのでしょう。


しばらくするとチベタンマスチフが登場しました。たぶんここの看板犬なのでしょう。中央にある台の上に乗って鎖に繋がれフセをしました。

広場に出ている犬達用の檻が1列に並んでいる所に狼犬がいました。その狼犬は太い鎖で繋がれていてこれもまた右往左往しています。そして彼のそばには「狼犬の飼い方」という説明書がありました。それには「繋ぎ飼いはせず、自由にできる環境を与えましょう」と書いてあります。

さらに驚いたのは6ヶ月のアフガンの存在です。やっと伸び始めた被毛はすでに毛玉と汚れでボロボロです。暗い気持ちになりながらそろそろ帰ろうと思ったとき、小型犬広場に3歳くらいの子供を連れた母親がいました。子供がミニピンのシッポをつかんだので「キャンッ!(やめて)」と声を上げています。係員がすぐにかけつけていました。広場に入る前に犬への接し方を教えなかったのでしょうか?このときは何事もなかったようにおさまりましたが。



生体展示販売もありました。ガラスケースに小型犬のパピーが入っています。以前はドッグランもあったようですがトラブルがあったので現在は閉鎖したという説明でした。田舎の山の中にもかかわらず、次々に人が入ってきます。みんな楽しそうな表情です。(千葉県、Yさん、Sさん)









ケース3: 多摩市

お花見真っ盛りの4月6日、最高のお天気でしたが、多摩にある、犬猫のテーマパークに行ってみました。入場料1600円を払い最初の屋内です。そこにはいくつかの部屋がありました。小型犬が数頭一つの部屋に入っています。

窓から中が覗けます。家族連れが中に入り、犬たちと遊んでいます。中は糞や、おしっこ、吐いた物までありました。完全に室内飼いではないので、仮の部屋にいても我慢をする事を教えられていない犬たちなのでしょう。

猫の部屋も一つありました。金曜日と言うことで平日でしたが、学校は春休みで子供達もいました。その屋内を出て、右側に動物園のような檻があり、そこに大型犬の犬たちがいました。グレートデーンやドーベルマン、ローデシアンリッジバック、ワイマラナー、等です。この子達は、やはりこの檻内で排泄をします。係員が気づくと片づけているようです。暖かい午後の日差しの中で、犬たちはのんびり寝たり、見物の人達が来ても目を合わせようとはしませんでした。



その並びにゴールデンリトリバーが1頭いました。この子は人が来ると嬉しくて自分に注目して欲しいという感じでした。もっと奥に行くと、やはり小部屋に犬たちがいます。その中に家族が入り、犬たちとふれ合う部屋となっているようです。その辺りにいましたら、これから犬のオリンピックがありますので会場にお集まり下さいという案内がありました。

入り口の建物の横にアジリティーの設備があります。その正面が階段式の観覧席になっています。およそ30名ほどのお客だったでしょうか。



前にマイクを持って話している女性は、水族館のシャチのショーと全く同じように、テンションをあげて「さあ楽しいぞ!」と言う感じで元気良くアナウンスしています。その女性が犬についての質問をします。○×で会場のお客が答えるという物です。そんな質問形式を取りながら、実際の犬が登場するのは、最初はGRの3頭のレースです。3色のゼッケンをつけた犬が競争しますが、問題は赤のゼッケンのG.R.が一位になるかならないか、と言うものでした。犬たちは、お立ち台に1頭づつ呼ばれ、座って待っています。そして一斉にスタート、狭いアジリティーを囲むコースをこの子達は走ります。



次に小型犬のレースです。そして次は、ウィペットの6頭が2週廻る競争です。走ることの好きな犬たちは一時楽しんでいるように見えました。

次は、ボーダーコリーです。アジリティーコースを走っています。そして最後はラブラドールリトリバーのフライイングディスクです。犬たちは、毎日何回かこのショーをするためにこのドッグスポーツをやっています。

会場の家族連れはシャチがジャンプして歓声を上げるのと同じように手をたたいて喜んでいました。このショーが終わり、まだ行ってない中央のエリアに行ってみました。そこは、片側は小型犬のエリア、一方は大型犬のエリアです。外の仕切られた柵内に客が入れるようになっています。


私は、ラブラドール、フラットコーテッド、シェパードがいる柵に入ってみました。ここの犬たちは人が入ってくるとおとなしく近寄ってきます。そして身体を押しつけて来ます。
出産した事のある犬たちのようでした。二人の女性客は1頭のジャーマンシェパードの側にすわり、優しく声をかけてなぜていました。
係員は巡回しながら尿を始末し、糞を取っていました。犬たちはマメにシャンプーされているとは思えませんでした。かなり犬臭く、糞尿の匂いも混じっています。




そのエリアを出て、最初の入り口に向かいそろそろ帰ろうとしたところ係員が1頭のモップ犬プーリーを連れてお散歩していました。珍しい犬ですのでプーリーですね。と声をかけました。一瞬、鼻を突く悪臭に参りました。あのようなモップ状の犬ですからそれこそシャンプーをマメにしないと臭くてどうしようもありません。

入り口に戻り、早々に出ようとしました。出た横のスペースは生態販売の飾り窓がずらっと並んでいます。かなり高価な子犬が並んでいました。(LIVING WITH DOGS)(2001/04/18)
 










犬のテーマパークを考える

犬のテーマパークに何故人は集まるのだろうか?

犬のテーマパークに、いくつかのケースを通してなぜ人が集まるかを考えてみました。

犬を飼いたいけど飼えない環境なので

1.犬にさわってみたいから。
2.子供が行きたいと言うから。

これから犬を飼おうと思って

3.どんな犬種にしようか勉強するため。
4.ドッグスポーツを見てみたいから。
5.いろんな犬種を見たいから。

動物が好きだから何気なく

6.動物園に行く気分で来た。
7.なんとなく犬が見たいから。
8.暇つぶしでちょうどテーマパークがあったから。 

一番多いと思われるのは、おそらく「犬にさわりたい」でしょうか。確かに犬や猫は、近ごろ「動物とのふれあい」を強調した、イベントやTV番組、TV報道、新聞雑誌記事が目立ちます。「動物にさわれば癒される」と「ふれあい」という言葉を勘違いをしていると思われます。
本来は、あくまでも飼い主とペットとのふれあい、動物愛護の精神から来る内容のふれあいです。ペットの癒し効果とは、一緒に暮らし愛情深くペットを育てる中で、ペットと心の交流を基に、そのペットとスキンシップを経て人は癒され、ペットも穏やかに安心すると言うことなのです。人とペットの相互に癒しの効果があるということでしょう。

(注)Animal Assisted Activity
老人ホームや施設への訪問活動の犬たちは、その犬の適正を見、無理のない時間だけ対応しています。それも飼い主が愛犬を愛しお互いに信頼しているからこそ、犬もその場を最高のひとときとしてくれます。また訪問を受けた人達はペットとのひとときを通し、かつてのペットを思い出したり、今まで眠っていた感情を掘り起こしたり、心を開くきっかけを作ったり、と素晴らしい効果があります。


特に、印象的だったのはケース1の若い3人の男女です。通る犬にすべてにさわりまくっています。犬に思い切りさわってみたいと言うのが彼等の最大の目的だったように思います。

そしてこれらの考察を通して内に秘めている人の生活習慣を感じました。それは、お金で何でも解決するというコンビニエンスな方法論です。テーマパークに行き入場料を払いさえすれば必ず犬にさわれる。この安易さです。誰の犬でも良い。喜びに満ちた犬でなくても良いのです。これは人だけが満足するものです。
また人同士の人間関係の作り方が希薄になっている事の一つの例かも知れません。近所の人とのおつきあいが希薄になり、以前だったら近所の犬を借りてお散歩をしたり、預かったり出来ました。人付き合いが下手になった人は、お願いして犬にさわらせてもらう事が出来なくなってしまったのでしょう。
また、パートナーとしての犬種選びをするにも、このようなテーマパークに行けばあらゆる犬種がいます。かつては本や雑誌で、また犬の集まる公園で飼い主さんに犬種の特性を聞いたりして情報を集めパートナーを決めたものでした。その場合お散歩デビューも犬と出会う以前から公園の飼い主さん達とのコミュニケーションがあるので容易に仲間に入れました。
誰かに頭をさげてお願いしたりして犬にさわるよりは、お金で犬にさわれる場所を選ぶ….。近所の飼い主さんに犬の扱い方を教えて貰ったり、人とのコミュニケーションを取れない人がここにはたくさんいるのかと案じられます。

テーマパークにいる犬は何を考えているか

LIVING-WITH-DOGSでは、犬を種としての生態、行動心理、感情、意識、本能、服従性、自主性、判断力、愛情表現などを考え、人と犬の幸福は何かを追い求めてきました。犬は人を信頼し、人を愛そうと一生懸命です。この人を飼い主と決め、その人に愛情を注ぐことに犬は安心感を得ます。この群にいれば安心できる、この人をリーダーとして認めれば、食いっぱぐれもないぞ、と本能的に判断します。

犬はありのままを受け入れます。犬は他の環境をうらやんだり、我が身の不幸を卑下したりすることは有りません。信頼する人と共に暮らすことで犬の個性は磨かれ、より犬としての素晴らしい素質が発揮されるのです。犬たちは住む環境を選ぶことは出来ません。飼い主も自分で選べないのです。犬は自分に与えられた場を受け入れるだけでしょう。素晴らしい素質は檻の中での暮らしではとうてい磨かれるものではないのです。

そのような犬の性格を利用し、おとなしく文句も言わないから良いと人間の勝手な思い込みで犬に対することは、人として、してはならないことなのです。

仕事をする犬は素晴らしいです。しかしさわられることだけが仕事の犬は幸せだとは思えません。
人のための人によるテーマパークであり、犬は物としてそこに存在しています。ひとときの時間を過ごす訓練士や世話係は唯一の信頼する人です。不特定多数の客に対する友好的な行動は、犬としての本来持ちうる許容量の大きさから受け入れています。

またスポーツをショーにしているケース3では、犬たちはアジリティーやディスクをやっています。このパークの犬達は無心にスポーツをこなしています。
ドッグスポーツは飼主さんと愛犬が一緒に楽しみながら絆を築けるよう、LIVING-WITH-DOGSは絆づくりの方法の一つとしてお勧めしています。
犬達は、訓練士にしたがい忠実に一日に何回かのショーをこなしていました。この健気さには感動さえします。

テーマパークにいる犬たちはどこから来たの?

大型犬の何頭かにふれてみましたが、雌犬の多くは出産経験ありと思われます。繁殖犬であることは確かなようです。同じパーク内で子犬の生体展示販売もありますので、この雌犬たちが産んだ子犬たちも含まれるのでしょう。
悪徳ブリーダーからの不要犬、ないしは、ブリーダーから転売されてきた犬たち、またペットショップの売れ残りの犬でしょうか?実態はわかりません。繁殖のために飼われ、今度はふれあい犬と言う名でここにいます。この子達が真に信頼できる人はいったいいるのでしょうか。

ビジネスとして見たテーマパーク

ケース1の入場料: 大人1000円、小中学生600円、幼児400円。
ケース2の入場料: 大人500円。
ケース3の入場料: 大人中学生以上1600円、4歳以上800円。

ケース1は入場料のみでお散歩タイムも含まれます。また、ケース1にはドッグランが併設されており一般の飼い主さんと愛犬が利用しています。ドッグランの利用料金は3時間1500円です。
ケース2は入場料のみ。
ケース3は入場料以外にお金のかかる参加型イベントとしては、犬とのお散歩レンタルは1回15分1000円。ステージでのショーで犬達のレース馬券を1000円で売り、たくみに子供達にすすめます。
毎回家族で行くとかなりな高額になるのでそうは行けません。まして繰り返し行くとは考えにくいです。しかし高額であれば、そのパーク内の犬や猫達のケアが十分にされるかというとケース3の場合、悪臭のする犬達がいました。高いから十分なケアがされているとは言えません。動物のケアにお金をかけるというよりは利益重視の体質と判断されます。
ケース3の場合併設して、訓練士養成、ペットの美容学校、動物看護科、動物繁殖科、等、現場実習型総合学院とあります。ペット産業のプロフェッショナルを養成するとパンフレットには明記されています。
ペットグッズの販売は3つのケースでありました。生体展示販売も3つのケースであります。ケース3ではメキシカン・ヘアレスが55万円で売られていました。
特にケース3は見事な経営方針。儲けるためには経営とはこうでなければならないという見本のような内容です。ただし日本でのみ成り立つものです。欧米では実現不可能なビジネスでしょう。

テーマパークの犬たちのケアは充分か?

ケース1の場合は、従業員も多く、園内の清掃は行き届き、犬達は糞尿の匂いもなくブラッシング等の身体のケアは充分にされており、その面では問題ありません。
しかしケース2の場合は、ケアも充分ではなく、訪問する人も不快感を持つテーマパークと言えます。ケース3の場合、たくさんの従業員がいる割には、犬たちのケアは充分とは言えませんでした。
清掃や、犬の身体のケアは充分にされていたとしても、犬の心のケアはいかがなものでしょうか?
考えてみましょう。欧米では虐待と非難されることでしょう。日本は虐待の定義がまだはっきりしていません。

犬のテーマパークに望むこと

1. 家庭犬としての飼い方を基礎にして、各犬の担当係員を決め、担当者は自分の犬のようにしつけ、檻で飼うことをせず、担当者の自宅に連れ帰り夜は家庭での暮らしとすること、責任あるケアをして欲しいと思いました。動物園のような檻の中という暮らしは犬には向きません。犬たちは愛情に飢えています。

2. ケース1のように狭い場所でのさわられ状態は犬にストレスを与えるのみであり、お散歩中の犬にふれれてはならないことをアナウンスするべきでしょう。

3. 来園したお客に犬の扱い方を最初に丁寧に説明をするべきでしょう。めちゃくちゃなさわり方をしてはならない。犬を追いかけてはならない。尻尾や毛を引っ張るような事をしてはならない。寝ている犬を無理矢理起こしてはならない。

4. ケース3のショーステージは日陰のない場所でした。真夏の昼間の炎天下でのショーはそれこそ虐待となりかねません。早朝、夕方のみのショーとしていただきたいです。また、ふれあいコートとして囲いのあるスペースも屋根はありますが、真夏の炎天下ではさぞや暑いと思われます。

犬のテーマパークに行ってみたいと考える方々へ

これまでご紹介してきた3つのケースから、テーマパークにいる犬たちは決して幸せではないのです。それを知って下さい。犬は人の最大の友人なのです。物ではありません。お金を払っているから何をしても許されるものではないのです。
犬は本来、人と1対1で関係を作る動物なのです。不特定多数の人に毎日さわられ、見せ物になるために生まれてきたのではないのです。それを充分にお考え下さい。もしも犬にふれれたいのであれば、近所の公園を散歩している飼主さんと親しくなって一緒にお散歩をさせていただくことで犬とのふれ合いはできます。勇気をもって声をかけてください。犬と暮らしている飼主さんはきっと喜んで犬の扱い方を教えてくれるでしょう。

日本に犬のテーマパークは必要か?

日本の動物愛護の理念は遅々としてはいますが前進させようと努力しています。
このようなテーマパークが日本に存在すること自体が、世界的に特に欧米では驚異でしょう。犬のテーマパークについて皆さん考えてみましょう。「何故?」と。そして周りの方に、犬と暮らしている人も、暮らしていない人も、犬を好きな人にも、嫌いな人にも、そして行ったことがある人にもない人にも、「ペットのテーマパークって何?」って聞いてみましょう。「そう言われれば、何も考えずに、ただ犬猫がたくさんいて、楽しそうだし、犬にさわれるようだから」と思っている人が大半でしょう。

日本のあちこちにこのようなテーマパークが信じられない勢いで増えています。
今、私達が、人が、日本人が考えなければならない時期ではないでしょうか?

「ペットのテーマパークって何?」と。
「日本にペットのテーマパークは必要か?」を。

(2001/04/21)(LIVING WITH DOGS)

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