犬は骨が好きってホント?

犬は骨が好きってホント?

犬は骨が好きってホントでしょうか?

犬に骨をおもちゃとしておやつとしてあげることを習慣的にしていませんか?
野生の肉食動物の食生活について考えてみましょう。草食動物をとらえ、まず最初に食べるのは獲物の内蔵です。そこには、草や木の実などの繊維質・そしてビタミンがたくさん含まれています。そして、タンパク質、骨についている部分、そして生の骨を割り砕き骨の髄を食べます。犬や野生の肉食動物は火の通った骨を食べることはないのです。

犬と人の歯の機能の違い

人は食物を良く噛むことが消化のプロセスに欠かせず、唾液と混和させて胃に送られます。犬は前歯(切歯)で食物を切り裂き適度な大きさに切りきざみ飲み込みます。犬の歯にとって良く噛む(咀嚼)という機能は持ち合わせていないのです。歯科専門の獣医さんで、犬の歯の模型を見ながら丁寧な説明を受けました。
切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯、合計42本の歯があります。その配置は、人の臼歯が上下合わさるのに、犬は上下すれ違う歯で、まるではさみのような構造です。そして前臼歯は窪んだ位置にあり上下噛み合わさることはありません。この前臼歯は犬がものをくわえるときに使われる機能です。

歯は歯冠と歯根で、歯を支えている歯周組織は歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨です。犬は虫歯にはなりません。犬の歯の病気は歯周病が原因なのです。その歯周病の原因はプラーク(歯垢)です。歯の表面に薄くついた細菌のかたまりです。このプラークが歯周病や歯肉炎を起こしています。(参考資料: O獣医師、イラストでみる犬学(講談社刊)、犬のココロを読む事典(TBSブリタニカ)より)

我が家の犬のケース

さて、ここからは我が家の犬(8歳)の実際の歯の状況です。
上前臼歯2本は、歯周病におかされ、歯根部分は溶けてしまいもうダメでしょう、この歯を生かして痛みに耐えさせるよりは、他の歯を大事にする事を選びましょうと言うことで抜きました。そしてすべての歯をチェックしていただいたのですが、上後臼歯の1本に歯随炎が見られました。歯の内部に出血があるのです。
その歯の裏側から歯周ポケットがかなり大きく、その歯は今後経過観察です。

そして何故こうなるか? についてO獣医師とたくさん話をしました。「骨をあげてない?」と聞かれました。堅い骨を噛むことで歯に異常な圧力がかかりこのようになったのであろうと。

犬と骨? 本来野生動物は火の通った骨は食べないのです。食べるのは死んですぐの骨の随のみであること。犬に骨のおやつは単なる人の勘違いであることに、はじめて気づかされました。犬は骨を喜ぶ、これも人が嬉しいでしょ?という気持ちを持ってあげているから、犬は嬉しいと表現するだけであったことをね。愕然でした。

硬い骨をおやつにあげれば歯が強くなるなんて事は全くなくて、悪い結果ばかりであることをはじめて気がつかされたと言うのが本音です。いくら顎を強くするために堅いものを食べようって言っても実際にあれほど堅いものを食べる必要は全くなくて、咀嚼回数を増やすことで顎はしっかりするのだと。なるほどです。

O獣医師は、「ディズニーがこの迷信を作ったのね、犬は骨が好きって」うーんそう言えば、わんわん物語りでの犬の側には骨が。フードグッズメーカーもこぞって堅い骨を犬におやつとして作り売っています。消費者は何も不思議に思わず愛犬に買い与え、そして大事な歯が欠けたりしている。

もっと早くこのような事を知っていれば良かったと言うのが正直なところです!

愛犬の歯の健康を保つには

堅い骨はあげない: 食べても大丈夫なナイロン製の骨の形をしたガム等は問題ありません。
プラークコントロール: 毎日の愛犬専用の歯ブラシで歯磨きを行いましょう。使用する歯ブラシは小さめの普通の堅さのものでごしごしせず優しく磨きましょう。歯茎のマッサージは、指にガーゼを巻き歯茎をマッサージしてあげましょう。

これから愛犬の歯磨きを実施する方へ

O獣医師からの歯磨き術
・口の中を触らせないワンには、お口を触らせた後に楽しいご褒美を用意することも慣れさせる方法です。歯磨きをしたら楽しいお散歩があるという動機付けです。
・犬は口に歯ブラシを入れると歯ブラシで遊ぼうとして、なかなか歯磨きが出来ません。そんなとき、布の手袋(バスガイドさんのつかっているあの白い手袋です)でお口の中を拭いてあげることからはじめてみたらどうでしょう。
・素人のスケーラーでの歯石取りは、かえってプラーク(歯垢)をつけやすくしてしまうので絶対につかってはいけません。
・犬の寿命は長くなりましたが、歯で死ぬことはないと軽く見られがちです。人も同じですが歯は健康の源であることを忘れずに。
・年に1回は歯の健康診断を受けましょう。

[ロンドン下町での諺]

Dog & Bone: ぴったりはまっていると言うような意味。犬は骨をしっかりくわえるからというような意味。昔の電話の本体と受話器のような関係を言っているそうな。その昔から、狩りを一緒にした犬に、人は獲物の残り物の骨をあげていたのでしょうか?
昔から犬は骨が好きと勝手に人間は思いこんでいるようです。

(2000/09/16)(LIVING WITH DOGS)

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