ワクチンの過剰摂取不安
ワクチンの過剰摂取不安
上海の犬規制の続報ですが、上海にお住いのTさんから悲痛なご相談がありました。
このご相談を通してワクチンの過剰摂取について考えてみましょう。(LIVING WITH DOGS)
M.Tさん:
上海のM.Tです。また困ったことが起こり、教えて頂ければと存じます。昨日、毎年1回の登録の更新をしに行った所、上海市が指定する畜牧獣医所で予防注射をしなければ、注射したことと認めないと言われてしまいました。
しかし、うちの犬は昨年10月8日に正規な動物病院でアメリカからの輸入製ワクチン(狂犬病と6種混合)を打ったばかりです。動物病院に事情を説明したところ、絶対にもう一度打つなといわれました。しかし、畜牧獣医所では、もう一度打っても問題ないと言い、もし打たないならば、予防接種証明書を出さないと言ってきました。しかし、もう一度打った場合、100%問題が無いことを保証するとも言わなかった為、万が一、問題が出た場合、動物病院と畜牧獣医所で責任のなすり合いで、どちらも責任を持たない事を心配して、現在躊躇しています。
ワクチンのHPも調べましたが、1年に1回という記事はあっても、1年に2回打って良いかどうか、また、中国製のワクチンとアメリカ製のワクチンを混ぜてしまって良いのか、素人には、判断できないことがあり、もし、ご存知の方がいらっしゃれば、教えて頂きたく思います。 (2/27)
LIVING WITH DOGS:
今、米国ではワクチンは毎年打つ必要はないのでは? と言う風潮にあります。また日本もワクチンの過剰摂取の問題を考慮する獣医師も出てきました。3年に1回で良いのでは? と言うものです。狂犬病ワクチンは法定伝染病なので毎年接種しなければならないのですが。
コーネル大学の Dr. Shoultz は、3種混合ワクチンは、子犬の頃に2〜3回、生後1歳でワクチン接種をすれば、あとは3年おきでよい、といっています。 どうぶつのお医者さん事件簿
M.Tさん:
ありがとうございます。
最後の接種から4ヶ月しかたっておらず、私があまりにも心配していたため、獣医の方は1、2ヶ月後、接種しに来なさいということで、昨日は帰ってきました。4月まで時間がありますので、もう少し調べて勉強してみます。
LIVING WITH DOGS:
この獣医とは畜牧獣医所ですか?
M.Tさん:
はい、公安から指定された国家機関にあたるところなので医師に属すると思います。
中国に獣医になるための大学があることを聞いたことがありませんが。少なくとも、上海市、および近郊の蘇州、杭州、南京などにも畜産大学のような所は無いはずです。昨晩Web上で日本の動物病院にメールで問い合わせた所、次のような回答が来ました。かつて日本でも狂犬病の注射が年に2回されていたらしいのですが…
一般的に問題ないと思われます。 |
ただ、6種ワクチンも2度打っていいものか? 上記の回答からは分かりません。私の場合、初年度ではなく、2年目になりますので、回答が少し違う気がしました。
また調べていたところ、混合ワクチンと狂犬病注射は期間を開けて打つようなことが書かれていましたが、上海の場合、同日に混合ワクチンと狂犬病ワクチンを1度に打ちます。
日本では混合ワクチンは任意のようですが、こちらでは必然になっています。
上海にある外国人医師のいる病院にメールを出しましたが、まだ返事はきていません。
LIVING WITH DOGS:
メールでの○○先生の文章では混合ワクチンを初年度と言ってますね。これは当然なのですが、どうでしょうか?前回のメールでもお話ししましたように、この初年度のワクチンでアレルギーが出たりと、ひどい例では寝たきりになった犬もいます。
どうぶつのお医者さん事件簿
こちらの獣医さん達はかなり若い先生、それも勉強熱心な先生が数人で運営されています。こちらにご相談されてみたらどうでしょうか?
「どうぶつのお医者さん事件簿」の先生はワクチンは3年に1回で良いとおしゃっている先生達です。
日本では、狂犬病と混合ワクチンを同時に行うのはリスクが高いとして、時期をずらして接種させます。日本では、狂犬病接種は必須とされていますが、実際に半世紀発症していません。で、畜犬登録もしない、狂犬病接種もしないという飼い主さんもいることは確かです。しかし、公園などでレプトスピラが流行したり、パルボが地域的に発症したりと危険ですので、飼い主さんにはワクチン接種を呼びかけています。どうにか、Tさんの愛犬の過剰摂取を回避できる策がないでしょうかね。
もしも回避できないとしたら、せめても混合ワクチンと、狂犬病ワクチンを2週間くらいは、ずらして貰うようお願いは出来ないでしょうか?
今年だけは、そのように特例でお願いしたいと、日本の獣医師の意見を貰ったのでと言ってみたらどうでしょう。うまくいくようお祈りしています。
M.Tさん:
その後をご報告いたします。
いろいろな方々からご意見を頂きましたが、問題無いという意見と出来ればやめた方がいいという意見が半分半分でした。上海在住のオーストラリア人獣医から次にようなメールが来ました。
「ワクチンの過剰摂取とその後の病気との因果関係は世界的にはまだ立証されていません」「出来れば過剰摂取は避けたいが、上海の公安の規則に反して、あなたの大切なペットが公安に捕獲されてしまう事と、再度ワクチンを受ける事との間で、どちらを選ぶかとう最悪の選択を考えると、上海に居る以上仕方が無いことかも知れません」
前回の接種から6ヶ月経つのを待って、本日、公安指定の場所へワクチンを打ちに行きました。…がもう二度と行きたくないような環境でした。
まず飼い主が50元を支払いますが、狭い場所に犬と飼い主の列。
吼えている犬もいれば、順番の列を乱す飼い主もいて、無秩序状況でした。
小さい机の上には、接種済みの注射器と、新しい注射器がめちゃくちゃに置かれていました。使用済みの針が使われているのではないかと、心配になりました。
ワクチンはフランス製でした。書類には、健康検査をしてから接種と書いてあるにも関わらず、全く触診することも、観察することなく、いきなり、お尻と首に注射をしました。普段、動物病院で接種している者から見ると、言い表す事のできない無秩序の中で、行われている予防接種でした。駆虫の薬も一緒にもらえると事前に聞いていましたが、こちらから催促しないと渡してくれません。駆虫の薬も4連続服用後、1ヶ月開けてまた服用と書いてあるにも関わらず、薬の有効期限は03年の4月30日とあり、これでは、1ヶ月後の服用の時は有効期限がきれているということになります。
今は何の後遺症もなく元気でいてくれるよう祈るのみです。いろいろと、ご相談に乗って下さり大変有難うございました。(4/09)
LIVING WITH DOGS:
その後はいかがですか?
M.Tさん:
ご心配頂いて有難うござます。接種から3日目の夜、突然お座りの姿勢になり、息が激しくなり、前足だけを震えさせて、鼻水を流し、あくびを何度もする状態が1時間半続きました。
ちょうど、土曜日の夜7時ということもあり、かかり付けとも連絡が取れず、別の日本人獣医(ワクチンの事でも問い合わせをしていた)に連絡を取り状況を説明したところ、ワクチンの副作用ではないだろうということでした。
その後、現在まで同様の発作は出ていません。発作の前日から真菌の薬を飲んでいたため、どちらが原因かはわからないままです。現在も真菌の薬を飲んでいますが、発作は起きていません。これまでとても健康だったので、発作をみて私自身がオロオロする結果になってしまいました。やはり、出来れば過剰接種は避けたほうがいいと思いました。
とりあえずは愛犬の体力があって、副作用が出なくて良かったですね。
[参考資料]
LIVING WITH DOGS:
3年前、動物病院で、我が家の犬も年齢的に老犬となっていますから、過剰摂取は避けたいのでと相談したことがあるんですけど、混合ワクチンしかないと言われました。レプトスピラは地域でたまに発症しているようです。
Dr.田子屋(http://www.55vet.com/):
そういう意味では、8種混合ワクチンのレプトスピラだけを接種する、という方法もあります。
面倒な話ですが、混合ワクチンは乾燥ワクチンと液状ワクチンからなっています。それを混ぜて注射するのです。5(〜6)種類は乾燥され、レプトスピラは液状ワクチンなのです。
ということは、別に新たにレプトスピラワクチンを仕入れなくても、8種混合ワクチンのうち液状ワクチンだけ接種してもらえればいい。ちなみに、レプトスピラは届出伝染病になりまして、診断したら家畜保健所に届けることになっています。一昨年の報告では、日本全国で1000頭未満だったと記憶しています。
ということは、レプトスピラ自体、あまり多くないようです。私の経験では、レプトスピラを診断するより、混合ワクチンの副反応のほうが圧倒的に多い(!)。(ワクチンの副反応の大部分がレプトスピラワクチンによるものではないか、と言われる人もいるくらいですから)
なもので、余程、感染の機会の多い地域に行かない限り、都会生活では心配ないような気がします。(レプトスピラは、湿地帯で多いと聞きますので)
ただし、かかりつけの獣医師と相談の上で、飼い主さんの責任のもとで判断される必要があります。
LIVING WITH DOGS:
貴重なお話、ありがとうございます。
今後は、ワクチン接種は、初年度は確実に実施し、翌年からは「ホームドクターと相談して愛犬の健康状態、住んでいる地域、出かける地域などにより、適正なワクチンを接種されることが望ましいでしょう」と当サイトも変更を行って参りましょう。
(2003/04/29)(LIVING WITH DOGS)
狂犬病・ワクチンについて詳しく説明されているサイトをご紹介しましょう。
どうぶつのお医者さん事件簿
TARO’S CONNECTION
犬のワクチンは毎年必要でしょうか?