第二回 LWDセミナー「老犬介護セミナー」 レビュー

第二回 LWDセミナー「老犬介護セミナー」 レビュー

第2回セミナーは2月11日に終了いたしました。
講師のみなさま、ありがとうございました。
また、ペリカン石鹸様、愛犬厨房様、福岡べっぱら様、当セミナーにて商品をご提供いただだき、ありがとうございました。
さて、今回は会場の都合で会費が高くなってしまったにも関わらずたくさんの方にご参加いただき、誠にありがとうございます。
いただいた感想から、時間が足りなくなり、もっと聞きたかったというご指摘がありました。より良いセミナー企画を行いたいと考え、事前にタイムスケジュールを考慮して時間配分を行なっていますが、毎回、実に時間配分は難しいと実感しています。
今後はより多くの方に満足いただけるようなスケジュール、内容、そして十分な会場環境の準備をさせていただきたいと思います。恐縮ですが、以上にてお詫びに代えさせていただきたいと思います。

講義? : ごしま先生の「老犬との暮らし方ガイド」
講義? : 植松獣医師「老犬の医療と非常事態」
質疑応答


公開可能な部分をレビューとして以下に順次ご紹介して参ります。

(2005/02/13)(LIVING WITH DOGS)


講義?: ごしま先生のお話から

手短に家にあるものを使って、介護する人の負担にならないように道具を考えました。それを教えてくれたのは犬たちです。
大事なこと、つらい介護を今している方に申し上げたいことは、「介護は、自分の出来る範囲、そのコの為にも、無理は禁物です。必ず訪れる最後、それを迎えるのに無理をしないこと、愛犬は、飼い主さんが髪を振り乱してまでしてくれる介護を望んでいません。愛犬の幸せな最後のために、飼い主さんが今まで通りの生活の中でたまには気分転換をしながら、楽しく介護して欲しいと思います。」

介護の為の具体的なアイデア

1. お尻の周りの毛のカット

2. 細部のケア、お尻の周辺、オシッコ焼け、パッドのひび割れ、耳の後ろ、皺犬のただれ、鼻つまり系の皺の間の垢 等を清潔に保つ

3. 足腰の衰え、足を引きづったり、後ろ足の返しが出来なくなったりする。爪を痛めたりする。そのような時の対処は、あるものを利用して、例えば赤ちゃん用のソックス等を利用。古着をいただいておきましょう。

4. 下半身の保護、人用のTシャツ等を利用する。

5. 犬用の靴、現在は売られているものもあるが、合成皮革で作ることも出来る。頭に浮かんだら即実行して下さい。

6. 後ろ足の衰えた犬の腰を支える為の道具のアイデア半巾帯を利用して、腰の部分を肩から斜め掛けで吊るようにすると無理なく立った状態で吊ることができる。

7. 簡易車椅子を作ってあげる。中型犬・大型犬は、ホームセンターでパイプ類、キャスター等様々な道具が売られている。創意工夫をして欲しい。
小型犬には、ペットボトルを半分に切りおもちゃのタイヤを紐で縛り付ける。前足が大丈夫な犬は歩かせてあげて欲しい。使える機能は出来るだけ使うようにしていく。

8. 寝たきり犬の床ずれ対策
ベッドをビーチマットを利用すると良い。マットにボコボコ穴が空いている物、パンパンに空気を入れるのではなく70〜80%の空気を入れる。

9. 寝たきり犬のシーツの替え方
後ろ両足の間にクッションを入れてあげることで楽になる。

10. オシッコ・うんちのさせ方

11. 紙オムツ、人用の紙おむつを利用

12. お水のあげ方、ケチャップのチューブ

13. 大型犬の車椅子、台車

14. 気道確保。抱き上げてはいけない、首をまげた状態では呼吸が出来なくなる為。


(2005/02/14)(LIVING WITH DOGS)


講義?: 植松獣医師のお話から

犬の高齢医学について、94年のギネスブックから犬の最高齢記録は29歳です。英国のデータから10歳を過ぎて12歳くらいが色々な病気が出て来ると言えます。8歳以降は毎年健康診断をするようにして下さい。(以下、要約)







[1] 犬の高齢医学について


●明らかに犬の寿命を短くする因子として

歯周病(歯をきれいにする)、出来たら肥満にさせない、タバコを吸う飼い主さんの愛犬にリンパ腫の発生率が高いと言うデータがある。人は女性の方が長生き、犬は大型犬は短命、20歳を超える小型犬もたくさん見られます。

●英国のデータから、 病院に来る率は7歳以上が多くなる。

●日本のデータでは、10歳以降から12歳、高齢で来院する率が高くなっている、犬の生活環境が良くなっていることで長生きする犬が多くなっていることを示すものです。

●老齢病とは、WHOによる人の老齢は75歳以上と定義しています。

犬では、高齢にマッチングした医療が必要、生活の質を奪うような老齢とは15歳以上とも言えるでしょう。

●犬の老齢病

・定義 : 老齢に特有の疾患である、老齢期の持続性の疾患、老齢で発生率が変化する疾患
・特徴 : 潜行性(飼い主が気がつかないうちに進行)、慢性(長期管理が必要)

●犬の老齢医学の目標 (単純な延命だけではない)

・疾病初期に回避、または発症を遅らせる
・正確な診断を目指し、早く問題を特定して、適切に対処
・体重とコンディションの維持:治療をしたことで体重が減ってしまったり、コンディションが悪くなっては残念です。
・QOL(生活の質)の維持:若干太っていても生き甲斐があれば、寿命が短くなっても生活の質を維持してあげることも必要です。

[2] 獣医師が統計学的に施した方が発症を防げると思う病気

飼い主さんの価値観がありますから、去勢・避妊を決定するのは飼い主さんです、納得した上で行って下さい。

●去勢で回避できる疾患

(1) 肛門周囲腺腫 : 肛門腺癌は去勢しても確立は減るが、高齢で発症したら手術しかない。
(2) 前立腺疾患 : 排便障害が起きてくる、手術しか方法がない。
(3) 会陰ヘルニア : 10歳以上の雄犬に出る、筋肉を薄くするホルモンが働き、直腸が肛門の脇から飛び出してしまう、排便障害となる。手術しか方法がない。
(4) 睾丸の腫瘍 : 去勢していれば睾丸の腫瘍は当然起こりえない。停留睾丸のある場合、開腹手術が必要だが、若い内に手術をしておいた方が安心できる。睾丸が腫瘍化すると女性化してくる。

●  避妊で回避できる疾患

避妊手術の方法として卵巣だけ取る、卵巣・子宮を共に取る、獣医師によって異なる。どちらが正しいと言うわけではない。

(1) 子宮蓄膿症
(2) 乳腺腫瘍 : 最初から3回目の発情前に卵巣を手術していたら、発症率はかなり防げる。
(3) 糖尿病 : 8割がメス犬、黄体ホルモンによる病気、卵巣がない場合起こらない。まれに卵巣を取っているメス犬に尿失禁が起きる。雄犬は去勢すると肥満になりやすいが犬の食事は飼い主がコントロール出来る。

[3] 高齢で起こる病気

最近医学が進んだことで判ってきた、高齢で起こる突然の病気、血液検査で判るので、たまには検査をした方が良いでしょう。

●突然死する可能性のある疾患(小型犬8歳前後に多い)

(1) クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症) : ステロイドホルモン投与すると同じような症状が出る。多飲多尿。

(2) アジソン病(副腎皮質機能低下症) : 体調が悪いが見落としがちな病気、血液検査をするほどでもないかな、でもおかしいなと血液検査をすると、高カリュウム血症になっている。飼い主さんの方からも血液検査を進んで依頼して下さい。

●早期発見が救命に結びつく疾患

(1) 胃捻転 : 大型犬に多く、即手術すれば助かる、12時間以内に手術をする。

(2) 口腔内腫瘍 : 口が臭っていて、何か出来ていたら即手術、顎をとれば生存率は高まる。4種類の腫瘍のうち3つが悪性。

(3) 骨肉腫 : レントゲンで判る。大型犬でびっこひいたらまず疑う。断脚するしかない、見付けたときにすぐ手術すれば転移は防げる。ゴールデンレトリバー、バーニーズ、ラブラドールレトリバーに見られる。

(4) シンタンポナーゼ : 急性で心臓が大きくなった場合。エコーで判る。心臓と心臓の膜の間に血液が貯まる。ゴールデンレトリバーが多い。治らないが血液を抜けばどうにかなる。

(5) 爪床部の扁平上皮癌 : 黒いワンちゃんに多い、転移率が高く、見付けたときに指を切っていれば転移しない。シュナウツァー等の黒色犬に多く見られる。

[4] 早期治療がQOLを左右する疾患

血液検査で判る病気、投薬で生活の質を保っていける。

僧帽弁閉鎖不全症、甲状腺機能低下症、馬尾症候群、胆嚢炎・胆道炎、慢性腎不全、耳道腺癌、椎間板障害

●椎間板ヘルニアと椎間板脊椎炎

高齢医学のテーマとなる病気だと思います。

診断は、レントゲンで判る。ヘルニアは早期の大量ステロイドで治療することで回復する可能性が高い。脊椎炎は、細菌感染でヘルニアと同じような症状がでるが、抗生物質を使えば回復する。ステロイドを使用すると逆効果で後遺症が残る。

●高齢医学は延命だけではない

苦痛をともなう延命の可否として、勇気を持って獣医師に相談して下さい。決断はなかなか出来ないが、苦痛を示す犬には安楽死と言う選択もあります。

愛犬、飼い主さんとホームドクターの三者の共同作業で愛犬を長生きさせて29歳を目指して下さい。


(2005/02/17)(LIVING WITH DOGS)


 

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