心あたたまるニュース
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大自然を犬と走る素晴らしさを感じて (毎日新聞02年1月15日朝刊から)
(ひと) 捨て犬を訓練し、犬ぞり教室を始めた 黒田 覚さん 紹介
30才の94年春、カナダ国内約2000キロを犬ぞりで縦断した。そりを引いたのは、現地の新聞広告で集めた犬たちだ。80〜100キロの荷物を引かせる地道な訓練に明け暮れた。犬たちは「人間不信」に陥っていたが、徐々に心が通じ合えた。氷点下20度の猛吹雪の中、犬たちは氷結した湖面を突き進んだ。
「犬と人間はこんなにも深いきずなを築くことが出来るのか」その経験を生かして会社員を辞め、国内で数少ない犬ぞり体験教室を昨年12月から始めた。場所は山形県最上町の前森高原。
北極と南極の単独徒歩横断に成功した冒険家、大場満郎さん(49)が昨年6月開設した冒険学校の企画担当スタッフとして精を出す。一面が雪に埋もれる冬に子供達と何かできないか。ペットブームの陰で「家庭で手に負えなくなった大型犬が、いとも簡単に捨てられている」。公園などに置き去りにされたシベリアンハスキーなど8頭を引き取り、訓練を重ねてきた。
体験教室の狙いは、そりに乗って楽しむためだけではなく、犬と触れ合い、信頼関係を築くことだ。時速10キロで銀世界を駆ける犬ぞり。犬が指示通りに進まなかったり、そりから振り落とされながらも、子供の顔には笑みがこぼれる。「大自然を犬と走る素晴らしさを、子供達に是非感じて欲しい」。
連絡先: 0233-43-4563 (文 毎日新聞記者 江畑佳明氏)
(2002/01/18)