山梨県「犬捨て山」レポート(続報3)

山梨県「犬捨て山」レポート(続報3)

2001年8月に行政から依頼が来てからの顛末はこれまでの掲載内容をご覧下さい。


以下は、「天使の心を守る会」での現状報告です。

9月末より、これ以上現地の頭数を増加させないための策として、繁殖制限手術を行い、譲渡可能の仔犬については随時保護し、続けて譲渡しておりますが、一向に頭数は減らず、増加していることが何度も立ち入り調査をしている行政により明らかになりました。
飼い主いわく、「俺が引き取らなければ保健所で殺されてしまうから」と命の大切さを訴えますが、最低限の食事と水の供給さえされていれば良いというあの劣悪な飼育環境が動物にとって幸せとはとうてい思えません。
犬舎の中の動物たちは糞尿にまみれ、雨が降った後は数日間以上泥と便にまみれている場所もあります。オス・メスを別々に犬舎に入れておいても、本能で行動するオス犬は天井部分を破壊し犬舎の中に入り、家族となり仔犬も生まれております。(11月にオスを出して措置済み)
しかし、老朽化している檻など環境を整備しなければ、今後も同じ事が起きる事も懸念されます。係留されている動物については、野犬化した犬に襲われ、鼻をもがれたり喧嘩も日常茶飯事です。生まれた仔犬についても全頭が育つわけでもなく、死亡する仔犬や成犬もいます。

この環境を改善するには、協力者と費用が必要ですが、残念ながら当会には繁殖制限手術を行い、保護できる頭数を連れて帰り、譲渡していくのが今出来る精一杯の措置であり、環境を改善するための費用を出す余裕はありません。誰がどう考えても、個人で飼養管理できる頭数はとうに超え、食事がなくなってしまうと当会や他の団体にも「食事がない」と懇願し、第三者の協力によって維持できているのが現状です。野犬も自分の犬だと、すべての動物の所有者であると公言するならば、人に頼らず給仕を行うのも飼養者の義務であり常識であります。それが出来ないのであれば、頭数を増やさないことは通常の考えであります。

しかしながら、この飼い主にしては後先のことをまったく考えず、次々と引き取っているのです。そして仔犬がいるから貰い手を見つけてほしいと当方にも毎日のように電話をかけてくることもあります。引き取ってしまった以上どのような経緯の子であれ、当会が保護できる子の譲渡はいたしますが・・。

このままでは頭数の減少、そして終わりはありえません。仔犬に関しては、他県から譲渡希望の問い合わせも多く、約6ヶ月間で33頭の譲渡が、終了しています。そのうちの半分は現地で産まれた子ですが、残りは飼い主がどこからか引き取ってきた仔犬だと言ってます。成犬に関してはほとんどが雑種と呼ばれる年齢不詳の犬であり、中にはさわれない野犬同様の犬もいますので、譲渡希望者は残念ながらいないに等しいのが現状です。となると、現地の環境を少しづつでも、改善して貰い、これ以上頭数を増やさないことが大前提であり、あの場所で終世飼養するしかありません。

行政および当会も所有者には、「第三者から引き取らないよう」に再三言い続け、行政は誓約書を交わしておりますが、一向に飼い主の考え方は変わらず、環境整備もされてはおりません。近隣住民からの匂いや騒音などの苦情も多く、野犬化した犬については捕獲することも困難な状況です。

そのため、今回山梨県は、動物愛護法第15条に基づき、全国で始めて改善勧告を行い、勧告に従わず、改善がされない場合には、改善命令を出すこととなり、命令に従わなかった場合には、20万円以下の罰金刑となります。この措置は、飼い主が考え方を改め、新たな犬を持ち込まず、今いる動物に適正な飼養が施され、近隣に迷惑がかからないように環境を改善させることが目的です。

(2002/4/15)(天使の心を守る会発行会報より)

【継続して募集中の必要物資及び寄付金】
犬・猫用ドライフード、頑丈な首輪、動物医薬品(外部内部駆虫薬)ケージ、サークル


【一時預かりボランティアの募集】
Ext_link 動物愛護支援の会(東京都) : マルコ・ブルーノさんは都内で、山梨から連れてきた子犬達の健康診断終了後、里親さんが見つかるまで一時的に預かって下さる方を募集しています。

【読者からの近況報告】
2002年3月21日に犬捨て山に行ってきました。だいぶ暖かくなって、犬たちも過ごしやすい季節になったようです。私はフードをもって、そこにいる最後の仔犬を拾ってきました。生後2ヶ月半でかわいいさかりだったので、すぐにいい里親さんがついて一件落着です。しかし、先に保護されていった兄弟犬が立て続けに2匹、パルボウィルスかコクシジウムにやられて急死したそうです。わたしが連れてきた仔犬2匹たちには、兄弟の分まで幸せになって欲しいと思っています。
2度目の行政勧告があった後、犬捨て山もだいぶ整備されはじめました。腐った廃車は撤去され、プロの大工さんの手で、立派な犬小屋が立てられつつあります。次に私がいくころには、すっかりシェルターらしくなっているはずです。ただ、犬捨て山の飼い主はあいかわらずワンマンで、わがままを言ってお世話係りに雇った人を次々解雇しているようです。3〜4人いたのが今ではたった一人です。(2002/04/17)(東京、T.Sさん)

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