ある老犬との暮らし [10]老犬と二人の少女

[10] 老犬と二人の少女 (1999年7月)

今朝、タロが散歩の催促をしました。ほんの数百メートルでしたが、よろめく足取りで、何回かのマーキングと歩道の植え込みへ崩れ込んでのウンチをしました。出勤途中の人が心配して声を掛けて下さるほどにそれは異常な散歩風景でした。飼い主は、恥かしさを忘れて、御輿の若衆のように「ヨイショ! ヨイショ!」と声を掛け続けていました。

こんなに元気になれたのも、皆さんの声援のお陰です。お陰で先ず飼い主が気を持ち直し、獣医さんの許可を得て、昨日までの数日間涼しい荘川へ行って、前からの予定通り、遠方からの客を迎えました。客は、ある女性と娘と孫二人(麻奈ちゃん、小6。亜美ちゃん、小4)の計4人でした。

亜美ちゃんは小犬にも触れないほどの犬嫌いでした。が、予想通り、母親と姉とが、老犬タロの「可愛さ」の虜になり、タロはそれを分かってか、丸くなったままの動かぬ体から、細い柔らかい視線だけは客達からそらさない、とそんな内に、ついに背中を撫で、首を撫でることが出来るようになりました。

麻奈ちゃんは元より動物好きのようで、帰ったらさっそくパパに秋田犬を飼うことをどう頼もうか悩んでいて、ママに叱られていました。

そして、お別れの朝二人は、タロとのヨロヨロ散歩に同行して、久し振りの、これもヨロヨロの排便を見て、そのお尻を私が谷水で拭くのを見て、動物を飼うことの一つの本質に気がついたようでした。

やがて、二人がどんな風なお手紙をくれるのだろうか。とても楽しみです。 

(愛知県・Iさん Ext_linkTaro’s Home Page )

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