今の獣医療の状況

今の獣医療の状況

動物の先進医療を求める飼い主さんが多くなってきています。
しかし、これまでの日本の獣医師教育は、産業動物(牛馬豚羊)を対象とし、犬や猫のような小動物のための勉強は、卒業してから、臨床獣医師のもとで実地体験を積みながら学習していくというのが実情でした。
ここ数年、それでは動物医療の先進は図れないと、小動物医療に熱心な獣医師、先進的な犬の飼い主さんは危機感を感じ、独自に海外での研修、研鑽を励み、専門課目を担当する獣医師が誕生して来ました。

先進医療は今や、動物ですが家族としての愛犬にも、当然ながら求められる時代になっています。

農水省が獣医師の能力アップを図るという発表がありました。
やっと日本も小動物(犬や猫)の治療に注目して来たのかと感じました。

かつてもう少し頑張ったら人医にはなれたけど、残念ながら医大に入学できなかったという青年が、でも医療に従事したいと思って獣医大学に入ったケースがたくさんありました。この時代の医療を目指す方々にとっては、人医となるのを最高目標としていた時代だったからです。

現在は、どうでしょうか?
人の為の医師は、過疎地や離島の医師、子供の治療を行う小児科医の減少と、不足の面も有りますが総体的には医師は飽和状態です。
動物好きで医療を目指したい青年達は、今や人医を目指すのではなく、獣医師を目指しています。それは動物医療を高めてほしいという需要があることをしっかり現状分析をしているからでしょう。
現在の獣医大学の受験率はどんどん増し、これまでは滑り止めとして獣医大が候補になっていたのに、現在は獣医大学が第一候補となっています。
獣医大志望の青年達が増えているのはとっても嬉しいことですけど。

そこで、考えていただきたいことは、頭でっかちな獣医師ばかりになって欲しくないと言うことです。

インフォームドコンセント、セカンドオピニオンの必要性は、人医の世界から始まりました。
動物医療も、インフォームドコンセント、セカンドオピニオンは、欠かせない視点となっています。

人に優しく、動物に優しい、そんな獣医師、そして医術もしっかり施せる獣医師がたくさん生まれて欲しいと思います。

動物に対しての先進医療が身近になって、早期癌の治療、遺伝的な疾患の手術や温存方法、対処療法も含めて、専門獣医師を訪ねて行くこともありますが、ホームドクターがしっかり診断し、心からのインフォームドコンセントを施し、治療出来る獣医師が増えて欲しいと思います。

動物医療で心配なことは、動物は痛い、つらい、を飼い主さんに訴えることは出来ません。愛犬と絆の出来ている飼い主さんであれば、通常と違う愛犬の様子をみて、獣医さんの元で愛犬の状況を説明出来ます。

人医では、医師が何気なく発した告知内容が患者の心を侵害し落ち込んでしまい治療に前向きになれなかったという話はたくさんあります。

獣医師も「愛犬の病状を心配する」飼い主さんに向けて、飼い主さんの身になっての現状説明そして治療法を説明しますが、言葉の使い方が重要となってくると思えます。獣医さんが、患犬や飼い主さんに心の通った説明の出来る獣医師として育って欲しいと思いますね。(2005/8/4)LIVING WITH DOGS



ペットブームの中、高まる需要 獣医の能力アップ図る 農水省私的懇報告書

研修増/スペシャリスト育成
ペットのお医者さんの能力向上を図ります−。農林水産省の私的懇談会である「小動物獣医療に関する検討会が、犬や猫などの獣医療における臨床研修の強化や専門医の育成などの必要性を打ち出した報告書の概要が明らかになった。空前のペットブームの中、ぺットは家族の一員と考えている飼い主が多く、人間の医療同様に獣医療の一層の充実を求める声が高まっていることが背景にあるようだ。
ペットをめぐる環境は、室内飼育の影響で寿命は以前より延び、病気も複雑になっていることに加え、犬や猫、小鳥などのほか、爬虫類(はちゅう)類などに対象も拡大している。
しかし、獣医師の現場環境はこうした現状に追いついていない。臨床研修に至っては、受け入れ体制が不十分で約二割しかできていないのが実情だ。
獣医師法によると、平成十四年末現在の獣医師の届け出数は約三万人で、このうち犬や猫など小動物診療に従事する獣医師は約一万人。全国には獣医系大学が十六あり、毎年、卒業生約千人の半数である約五百人が小
動物を診る獣医師になっている。
同法では、獣医師は免許取得後、獣医系大学の診療施設や農水相の指定する診療施設で、半年以上の臨床研修を行うよう規定されている。しかし、これはあくまで努力義務なうえ、民間の診療施設は指定されていな
いことから臨床研修受け入れが可能な施設は獣医系大学だけだ。
このため、卒業生の約四百人は臨床研修を受けることができず、民間の動物病院で勤務しながら診療技術や知識を学んでいるのが実態という。
検討会では重要な役割を担っている臨床研修の受け皿として民間の研修施設の整備が急務と判断、一定の基準を満たす民間の診療施設を臨床研修施設として指定し、「臨床研修を行えるよう体系化させるべきだ」とした。
指定施設の基準案では、大学の診療施設との連携が図れ、常勤の獣医師が三人以上。年間の手術数が二百五十例以上で、年間診療件数が獣医師一人当たり千件以上、臨床経験十年程度の指導獣医師がいること−など
としており、獣医事審議会に諮問し指定する。
また、専門医を育成する取り組みも不十分だ。獣医学教育の臨床分野は現在、外科や内科、繁殖などの専門分野の教育が行われている。しかし、小動物診療では皮膚科や歯科、眼科などの診療もあり、専門分野は多様
化傾向にある。
現在、日本小動物外科専門医協会など複数の学術団体などが専門医などの認定を行っている。ところが、認定基準はまちまちで、臨床経験など実績を求めた上で認定される専門医とはレベルが違う。
高度化、多様化が求められている獣医療でも専門医を充実させ、獣医師がより専門的な診療を行える二次診療施設を紹介できる環境整備が必要。
このため、検討会では「各分野における専門医の育成が必要」としたうえで、「日本獣医師会や日本獣医学学会などの学術団体が中心となって、専門医の必要性や認定基準の妥当性を評価する仕組み作りが必要」と提言している。(2005/8/4)(産経新聞記事より)

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