犬に襲われて顔面移植
犬に襲われて顔面移植
このニュース、最初に犬に襲われてと言う部分がどのような状況だったかまったく判りませんが、襲われた結果、顔の損傷がひどかった女性が、生きる自信を取り戻せたというニュースです。まずは回復したことへ拍手を贈りたいですね。(2006/2/7)(LIVING WITH DOGS)
真相について調べて報告して下さいました。感謝です。また偏った見方としないために、総合的にご紹介させていただきます。
私も今日のニュースで「ペットのラブラドールに寝ている間に襲われた」と言っていたので(DWというドイツの放送局の英語ニュース)、なぜそんなことが?と驚いて、いくつか英語サイトを回ってみました。
情報を総合すると、こんな感じです。
・このフランス人女性が飼っていたのはシェルターから引き取ったラブラドールミックス・去年の5月か6月、彼女は睡眠薬を飲み過ぎて意識不明になり、その犬が起こそうとしたらしい(ティーンエイジャーの娘の話)
・その犬に会ったことはない現地のドッグトレーナーの話によると、「パニックを起こした犬が飼い主を起こそうと、傷つけていることに気づかずに何度もひっかくのはありうること」(彼女の傷がかまれたものかひっかかれたものかはよくわかっていないらしい)
・結局、その犬は安楽死処分された
・女性は犬好きなので、その後、小型の犬を買った
このとおりの事実関係なら、不幸な偶然が重なったとしかいえない感じがします。
(2006/2/7)(アメリカ NARUMIさん)
私もこのニュースをここで始めて見たのですが、どうも合点がいかず英語のサイトをいろいろ調べてみました。ところがどこも顔面移植手術のほうがクローズアップされていますから、犬がイザベルさんの顔を傷つけたいきさつは、娘さん(17歳)は家族で言い争いがあった後、イザベルさんが自殺未遂をしてその異変に気付いて起こそうとしたと言っているのに対し、手術の執刀医はイザベルさんは家族とのもめごとの後で眠れなくて睡眠薬を一錠飲んで寝ただけで、事前に行ったイザベルさんの検査で精神異常は見られなかったと言っているのですよね。でも顔面の移植手術が臓器移植と同様に認められてよいのかどうかの論点に上がっていることを考えると、精神状態が異常だった患者の合意(手術への)ではますます状況が悪くなることは歴然としています。その記事の中でイザベルさんは自分の犬を責めるつもりはなかったと言っています。でも結果的には彼女の意に反して殺処分されたのです。
真相は分かりませんが、睡眠薬一錠で犬に顔面がめちゃくちゃになるほど襲われても気付かないほど熟睡しますか?私は個人的には娘さんの言い分のほうが現実味があると思うのですが。
でもここで私が一番恐れるのは、この事件のせいで“シェルターから迎えた犬は獰猛だ”と誤解されることです。確かに犬はパニックに陥るとふだんでは考えられない行動をとることがあるでしょう。でもそれはシェルターから迎えた犬だからではないということを皆さんに分かっていただきたいと思います。
本当に不幸な偶然が重なってしまったとしかいいようがない事件でしたね。
(2006/2/7)(アメリカ MaxHollyママ)
お2人の情報を読ませていただいて私なりに感じたことがあります。
その女性の生活が向上するよう最善をはかられたことは何よりのことだと思います。
ただ、私もMaxHollyのママさん同様に“シェルターから迎えた犬は獰猛だ”という印象で終わってしまうことが怖いです。その仔が人間によって与えられるべきを与えられずして、不幸の連鎖を断ち切れない運命にあったことが非常に残念です。
その仔には、そもそもシェルターに入らねばならない程、好ましくない生活が以前にあったということは間違いなく、シェルターでも衣食住の保証はあっても、不安な生活を一定期間強いられるわけですから、精神的に不安定な仔が多いことでしょうし、迎える側も相応の覚悟は確かに必要です。
また、お2人からの情報を考えると、迎えいれた家庭内環境もナーバスな事情を抱えていた様子が伺えます。
飼い主を助けようとしたのか、攻撃をしたのかはわかりませんが、そこまで犬を追い込んだのは人間ではないでしょうか?
生まれてから人との関わりの中で常に精神的不安を持たざる得なかったその仔は最後、殺処分という結果で生涯を終えなくてはならなかったことは「犬は獣だ」ということで終わらせるのではなく、「人間の功罪」として受け止める必要もあることだと思います。
私は基本的には家庭犬は人を殺したりはしないと信じていますが、犬を生かすも殺すもできるのは人間なんですよね。(2006/2/7)(東京 青空さん)
MaxとHollyのママさんが書かれている医師の証言は初めて見ました。
ただ、その後見たBBCのニュースでは、「彼女は事件の前に自殺を図った」と言い、彼女自身の言葉として「目が覚めたときにたばこをくわえようとしたらくわえられず、鏡を見て初めてひどいことになったのを知った」というのを紹介していますから、痛みも感じないほど薬を飲んでいたことは本人が認めたも同然だという印象です。英語のニュースサイトも、犬の話に触れたところの多くは overdose という言葉を使っていました(ニュースソースが一つなのかもしれませんが)。
シェルターからの犬が獰猛という印象を与える可能性があるという点は、お二人の指摘で初めて思い当たりました。
ニュースの断片だけが一人歩きすると怖いですから(現に、日本語のニュースは「襲われた」で定着しているようですし。英語の場合は maul が使われているところがほとんどで、これには「攻撃する」ニュアンスはないのではないかと思うのですが)、日本で「シェルターから引き取った犬」という部分が報道されていないなら、かえって幸いかもしれませんね。(2006/2/7)(アメリカ NARUMIさん)
先日来このニュースのことが頭からはなれず、どうしても今回の手術の成功を心から喜べませんでした。そして今日インターネットで(少し恐かったのですが)イザベルさんの手術前の顔を見ました。私が見た限り主な損傷は鼻と口の周りなのです。犬を飼っている方ならご存知でしょうが、犬が人間の鼻や口元を舐めようとするのは愛情の表現なんですよね。MaxもHollyも、そして今は亡きRoxyも皆甘えて私にキスをしてくるのです。
これはあくまでも私の想像ですが、イザベルさんのラブラドールは、家族と激しく言い争った後の彼女にいつもと違う異常な雰囲気を感じていたのではないでしょうか。そして睡眠薬を飲みすぎて(間違ってか故意にかは不明)昏睡状態に陥った彼女を心配してその顔を一晩中舐め、あるいは甘噛みしていたのではないでしょうか。
娘さんのコメントとして、“犬がそこに居てくれて、(母を)どうにか目覚めさせることができたのでその意味では幸いでした。”と書かれています。つまり目覚めなかったら致死量で亡くなっていたかも知れませんし、万が一助かったとしても脳障害とかが残ったかもしれません。イザベルさんご自身も犬を責めてはいないと言っているのです。それなのに、華々しい手術の成功の陰で、彼女の意思に反してこの犬は殺処分されたのです。なんとも切なくてやりきれません。ジャckさんも同じ気持ちだと思います。
それに青空さんが言ってらしたように、愛犬を生かすのも殺すのも飼い主の手の中にあることを私も痛感しました。うちの仔たちも家族がちょっと言い合いをしたり、大声を出すだけでも敏感にその場の異常な空気を察知します。耳を後ろにしてMaxなどは二階まで退散します。犬を飼う私達は、家族が皆仲良く安定した家庭づくりをもう一度考えさせられますね。
そしてNarumiさんのおっしゃるようにニュースというのはその報道のされ方如何で一人歩きしてしまう恐さを思い知らされた事件でした。
処分されたラブラドールちゃん、虹の橋の向こうでは人間の都合に振り回されずに幸せになってくれていること祈っています。(2006/2/9)(アメリカ MaxHollyママ)
ワイドショーは、映像は海外の番組を流しながら日本語で説明するもので、手術説明が主でした。術前や術後の状態の写真。TVですので、あらゆる映像が紹介されてました。時間にして7分間。その女性の記者会見の様子も放送されましたし、名前も紹介されていました。はじめに違和感を感じたのは、手術を行ったジャン・ミッシェル・デュベルナール教授の話ばかりであった事です。この手術が「世界初」であったこと。そして手術がいかに困難で、素晴らしいものであるかってことでした。また、移植するのですから、当然、ドナー側の顔の一部はなくなるわけですが、それも移植する前に石膏で型を取り、復元してからドナーの家族へ遺体を返したと言ってました。実際にはとても素晴らしい手術だったと思います。ただ、日本の専門家の話では概ね「日本も技術はあるが倫理的な問題があるのでやらない」って感じでやや否定的な感じもありましたが。
「犬の事はどう伝えられたか」については、思いの外あっけなく事故の流れとして冒頭にナレーションが1回、記者会見や教授の話等のVTRが終わって、スタジオのコメンテーターが話した際に「犬があんなに噛んでも起きないの?」ってぐらいで殆どありませんでした。とにかく番組は「この教授の手術は患者に生きる勇気を与えた」ってことに終始していましたね。飼い主のご一家は犬の殺処分をやめてほしいと訴えたともありました。
しかし、やはりこんな場合(被害者が懇願しても)、行政は処分しちゃうんですかね。
日本では数年前から「メディア・リテラシー(media literacy)」って事が注目されています。メディアを利用する技術や,伝えられた内容を分析する能力のことですね。
ひと言で言えば「大メディアだからと言って鵜呑みにするな」って感じでしょうか?
(2006/2/11)(兵庫県 ジャckさん)
それからおっしゃるようにこれだけ情報過多の時代になりましたし、個人がHPやブログで社会に情報を流せる状況の中で、受け取る側のMedia Literacyの能力が必要となってくるのでしょうね。でも同じニュースが受け取る側の個性や立場によって、強調される部分が異なって理解されるのって興味深いと思いませんか?
話がそれましたが(ジャckさんの影響かな?)、やはり結論はひとこと、青空さんもおっしゃっていたように“愛犬の命はあなたの手の中に委ねられている”ということではないでしょうか。
(2006/2/11)(アメリカ MaxHollyママ)
顔面移植の仏女性が初の記者会見 術後10週間
パリ(CNN) 昨年11月末に世界初の「顔面移植」手術を受けたフランスの女性、イサベル・ディノワールさん(39)が6日、手術を受けた仏北部のアミアン大学病院で初の記者会見に臨んだ。ディノワールさんは記者団の前で「ほかの人々と同じような顔を取り戻すことができた」と胸を張った。
会見でのディノワールさんは口を動かしたり、閉じたりするのがやや困難な様子で、発音も不明瞭ながら、ドナーの遺族らに感謝を表明。「正常な生活に戻りたい」と抱負を語った。
会見には医師団も出席。執刀を担当した同大教授のジャンミシェル・デュベルナール医師は「経過は良好で、顔面の感覚が多少鈍っていることを除けば、正常な状態だ」と強調した。
ディノワールさんは犬に襲われて顔面を損傷し、脳死と診断された別の女性から摘出された鼻や唇、あごなどの移植を受けた。術後、大学病院と南東部リヨンの自宅との間を往復しながら治療を続けてきた。医師団はこれまでディノワールさんの外出や報道陣などとの接触を制限してきたが、現時点で「医学的立場から制限する必要はなくなった」と判断したという。(2006/2/6)(CNNニュースから)