グッバイマイファミリー「トレーシー」

グッバイマイファミリー「トレーシー」

わが家の愛犬、GR女の子トレーシーは2006年4月14日虹の橋を渡りました。

リンパ性白血病と診断されたのが昨年の8月、その時にお尻に腫瘍が出来ましたが、13才と高齢の為、手術を選択せず、サプリメントだけで自然に無理なく最後を迎えさせてあげようと考えました。
10月には、貧血状態で立てない、目が見えない状況に陥り、もうダメではないかと思われました。
ところが、トレーシーの生きようとする力は復活しました。
12月には、お尻の腫瘍は夏みかん大になっていました。治療はサプリメントだけで、その内容は、メシマコブ、DNA核酸、鮫の肝油、オメガ、でした。

12月16日、腫瘍の上部が破裂、腫瘍がむき出し状態になりました。近くの獣医さんの処方でホリスティック治療のみ、カレンデュラクリーム、ティーツリーPA?を塗り込みます。

12月22日深夜、今日の最後のお散歩で、腫瘍の上部が剥がれ落ちはじめました。トレーシーがブルブルをするとズルズルと剥がれて来ます。獣医さんに緊急の連絡を入れ、1時半に病院に。剥がれ落ちた腫瘍は450gありました。そのときの白血球の数は120000以上でした。トレーシーは自らの力で腫瘍を振り落としたのです。
残った腫瘍にティーツリーPA?とカレンデュラクリームで更に腫瘍を壊死させようと継続しました。

2006年を無事に迎えることが出来ました。
しかし、1月9日、残った腫瘍はムクムクと増殖していきます。獣医さんにメシマコブについて効いているのか?疑問を投げてみました。
獣医さんは、「メシマコブに耐性?が出来てしまっているかも」という不安な答えが返ってきました。違う免疫力を高めるサプリメントを使用してみようとトランスファー・ファクターを試してみます。
1月20日腫瘍はどんどん増殖し、もう肛門の際まで襲ってきています。獣医さんに「もしも直腸に穴が空いたらどうなりますか?」と質問しました。
そのお返事は「垂れ流しにするしかないでしょう」という答えしか得られませんでした。

私たち夫婦の心は決まりました。トレーシーは元気にご飯も食べお散歩もしています。今なら腫瘍を手術で取れないものかと。垂れ流しでは、感染症のおそれもありそれこそ苦痛の日々となってしまいそうです。

思い切ってある獣医さんの門をたたきました。
1月22日、10:00に先生に面会、運良くその日に、先生の執刀による手術で腫瘍を摘出しました。腫瘍は500gありました。

術後、ティーツリーメディカル?を患部に塗布、更に壊死をすすめるクリームを塗布します。

腫瘍はそれでも増殖し続けます。先生のアドバイスで放射線治療をしてみようと言うことになりました。

放射線治療の計画を立てるためにCTスキャンを実施します。

合計CTスキャン2回、放射線2回実施しました。その度に全身麻酔です。しかしトレーシーの心臓は丈夫で耐えてくれました。

ところが、リンパ性白血病をもともと持っておりますので、貧血状態になりました。赤血球が20%を切ると放射線治療は行えません。獣医師から輸血の用意をして下さいと言われました。

1週間以内にトレーシーの血液にマッチした2頭の大型犬を探さなければなりません。
病院から帰宅途中、携帯電話で、若い犬の飼い主さんに連絡、2頭の協力者を得ることが出来ました。そして帰宅後、友人にどうにかもう2頭探してもらえないか?とお願いし、その日のうちに3頭の協力犬を見つけることが出来たのです。そして血液マッチングテストです。なんと5頭のうち3頭がトレーシーの血液にマッチしました。

しかし、トレーシーの腫瘍の状態は、増殖と同時にクリームによって壊死が進んでいます。また、お尻の腫瘍の増殖と共に、まだ小さかった喉の腫瘍が徐々に大きくなってきていました。
獣医師に喉の放射線治療は可能かどうか伺いましたが、危険部位なので不可能とのこと。3回目の放射線をせずに、放射線治療を終了したのです。結局輸血は実施しないですみました。

トレーシーは2月の放射線治療開始時から、自宅に戻っていました。自宅から車で1時間ほどかかる病院への移動です。毎週通い続けました。

喉の腫瘍はどんどん大きくなっていきます。この腫瘍がトレーシーの呼吸を妨げてくることは時間の問題でした。徐々にごほごほは増えていき、声は今までの吠える声が出ません。かすれたような声になりました。

4月に入り、桜の花をトレーシーと共に見れることに感謝しつつ、毎日の2回のお尻の洗浄と薬剤の塗布。点滴、抗生剤、ステロイド等の投薬を、続けていました。

私たちの期待するトレーシーのクオリティー・オブ・ライフは、「ご飯をおいしく食べて、オシッコ、うんちは自分の力で出来る」ことです。この暮らしがいつまで続けられるか半信半疑でした。

喉の腫瘍の治療は何も出来ないのですが、せめてもと太陽光線治療器で毎日首と胸のあたりに何度か照射しました。

4月7日(金)、トレーシーはごほごほと同時に血痰?を出しました。その時にちょっとつらそうな状態でしたが、血は鮮血で少量です。

山梨の家に連れていきました。八ヶ岳、駒ヶ岳の見える家で最後のお散歩をさせてあげたいと言うのが私たち夫婦の希望でした。

そしてお天気の良い日曜日、朝、食後、喉を詰まらせ、一瞬倒れ込みました。もうこのまま逝ってしまうのかと思いましたが、ちょっとしたら回復しました。
これまで一度も失禁したことがありませんでしたが、この時はじめてオシッコを漏らしたのです。

4月10日、山梨から東京に戻る途中、病院に寄り、吐血と倒れ込んだ状況を話し、今後のことを相談しました。
先生が、「トレーシーが最後の時を教えてくれます。飼い主さんだったらそれが判りますから、その時に決断すれば良いんです。」と言って下さいました。

4月14日、朝からごほごほ、昨日の最後のおやつのチーズをちょっと吐きました。朝ご飯をしっかり食べ、お尻の洗浄と点滴を行い、太陽光線を照射し、5時にオシッコに庭のジャリに出て、自分の足で部屋に戻りました。
「おなか空いた?」という私の声にしっぽを振り見つめています。ご飯にお薬を混ぜたものをあっというまに平らげ、BARFの小さくちぎった固まりを約1枚分食べました。一気に食べて喉に詰まらせたら大変ですから、少しづつあげます。もうおしまいと片付けて、トレーシーは自分のベッドに行き、ゆったりとふせをしています。
しばらく様子を見て、大丈夫そうと判断して、夫婦して近くに食事に出ました。ラーメン屋さんですからほんの30分ほどでした。

帰宅すると、なんと目の前に吐血の後、ちょっと目を離した時間にトレーシーは今度はかなりな量の吐血をしたのです。

2度目の吐血を見て、トレーシーを「もう痛い目には合わせない、もう絶対に苦しませない」と決心がつきました。そして主人が決断してくれました。

主人は、昨年から、「もしもの時に楽にさせてくれますか?」とお願いしていたA先生に電話をしたのです。

A先生がわが家に到着するまでに、トレーシーは自分の足でリビングに移動し、ベッドのそばに立ってなんだろうという顔をしていました。

「トレちゃん、ここでネンネしても良いんだよ。もう痛いことをしないよ、もう苦しいことはなんにもしないよ」と言ったら、ベッドに伏せをしました。
そこにA先生がいらして、いつもだったら歓迎してしっぽを振るような子でしたが、この時はそのまま寝ていました。すべてを受け入れる状態になっていたのでしょう。
内心、ここで抵抗されたらどうしよう、まだ早いのでは?A先生に出直してもらおうかとも思いましたが、そんな心配も必要もありませんでした。

麻酔の注射を打って、「今は寝ている状態です。」とA先生。「僕もたくさんの犬を看取ってはいるんだけど、自分の犬の最後はたまらなくつらいんですよ」と。
そして筋弛緩剤を使いました。
トレーシーを撫でながら、「ゆっくり寝てね」「B先生がトレちゃんに痛いことばかりしてしてゴメンねって言ってたよ」「おかあさんとお父さんが必ずトレちゃんのところに行くから、その時まで待っててね。」「楽しかったよ」「トレちゃんありがとね」

息を引き取ったその晩は、トレーシーにハウスだよと言って、毎日のおなじこと、ベッドルームで一緒に寝ました。

そして翌日朝、いつも通りに起きあがらないトレーシーをリビングに運んで大好きなたくさんのぬいぐるみを廻りに飾ってあげました。

お友達がお昼頃、わが家に来てくれて、霊園のお迎えの車が来るまで一緒にいてくれました。

霊園ではCママさんが一緒に焼き場でお別れをしてくれました。

霊園でちゃんとお葬式も行いました。戒名こそないけど、手厚い葬儀でした。今は、お骨になってリビングにいます。

寝るときはハウスと言ってお骨をベッドルームに連れていきます。

先生が言われたように、ほんとうにトレーシーは自分で最後の時を教えてくれた。
出来るだけのことはした。これ以上のことはもう出来ない。早すぎても、遅すぎてもない。それだけが今の私たち夫婦の救いでしょう。

できるだけの対応をしていただいた獣医師さん達と、生きようとするトレーシーの力、そして夫婦がめげそうになったときにたくさんの方々からの励ましがあったからこそ、今、おだやかにいられるんだと思います。

私たちは大丈夫です。トレーシーがいなくて家の中ががらんどうになりましたけど。時間が解決するでしょう。

無事にトレーシーに苦痛なく虹の橋を渡らせてあげられたのは皆様のおかげだと思います。深く御礼申し上げます。
ほんとにほんとにありがとうございました。

(2006/4/16)(LIVING WITH DOGS)

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