コロとの暮らし(3) – コロが残してくれたもの

コロとの暮らし(3) – コロが残してくれたもの

プリンの出産、子育ての時も、寝ずにがんばって見守ってくれたコロ、子供達はコロパパが大好きでした。いつも、子供達はコロにくっついていて、コロとは血のつながりもない子達でしたがコロは立派にパパをしてくれました。この頃のコロの幸せそうな顔は今も忘れられません。
家には、あずきを残す事にし、他の子達はそれぞれの里親さんの所へと旅立ち始めました。そんなある日、プリンが家出をしたのです。コロと一緒に工場にいたはずのプリンが戸を開けて出て行ってしまいました。コロは、意外に平気そうな顔をして「いなくなった子を探しに行ったんだから安心してよ、ボクは、この足だし、まだ子供達がいるから残ったのさ」「なんで止めないのっ」てコロを叱りました。３日４日と帰ってこないプリンに、コロもだんだん落ち込み始めていました。無事プリンは見つかりましたが人騒がせな事件でした。
この年は、事件ばかりの年でした。この他に、コロの結石が見つかったり、コロ釣れちゃった事件などでした。
毎年、私の息子が検査入院を二泊三日します。いつも母にコロ達のことを頼み、私は息子の付き添いで一緒に病院に行きますが、今年は、なぜかコロだけでも病院に預けようか、と迷いました。ここ2〜３日、暑さのせいか食欲がなく、元気がなかったからです。食欲がないといっても、食べてはいましたし、食べ方に勢いがないというだけでしたが。夏バテかな？病院もつい先日行ったばかりだし、二泊三日、今までだって大丈夫だったじゃない。母もいるし大丈夫！と自分自身に言い聞かせていました。
入院の朝、コロが「ねぇ、追いかけっこしようよ〜！ほら、ボクを捕まえて！」と家中を走り回って誘ってきました。「コロ、早く病院に行かなきゃならないから今は遊んでいられないの、帰ってきたらね。いい子で、お留守番頼むね」
コロは、つまらなそうな顔をしていましたが、笑顔で見送ってくれました。まさかその笑顔が最後になろうとは、もちろん、思いもしませんでした。
荷物もあるし、駐車に時間が掛かるので母も一緒にきました。日中、新潟では珍しく35度を超える暑さでした。コロ達の事が心配で母には昼過ぎには帰ってもらいました。母は「明日は来ないから」と言い残して帰って行きました。
夜、コロ達の様子を聞く為電話してみました。受話器の向こう側で、プリン達が吠えています。「なんで吠えているの？コロは大丈夫？事件なんて起こしてないでしょうね？」なんて笑って話していました。母は「大丈夫、明日やっぱり病院に行く」とだけ言って電話を切りました。
翌日、早くに母が来ました。「どうしたの、こんなに早く、来ないと言っていたのに。なにかあったの？」重い口調で母が「コロが亡くなった…」冗談言ってるの？ウソでしょう？ウソだって言ってよ。私は病室で泣き出してしまいました。息子は、検査の為、手術室へと運ばれてます。
母から「検査が終わって先生の話をきいたら、コロは先生のところいるから顔を見てあげて」と。そして、昨日帰ったときには、もう息もしていなかったけど、体がまだ温かかったのでまだどうにかなるかと先生の所へ連れて行きましたが、もう手の施しようはなかったと。私が、付き添いで居ない事を告げると、先生は「あれだけ可愛がっていたのだから、顔を見せてやったほうがいい」とおっしゃって下さったそうです。
やっぱり、預けていればこんな事にならなかったのに、また「Ｊ」のように看取ることなく死なせてしまった。私が悪いんだ、私のせいでコロは、暑く、苦しんだ末、亡くなってしまったのではないか。
プリン達が吠えていたのは、コロが亡くなった悲しさからか・・・目の前で苦しむコロを見てきっとプリンやあずきも何もしてあげられない苦しみを味わったに違いない、なんと残酷な思いをさせてしまったのだろうと。
ＣＡＰＰの訪問活動もさせてあげられなかった、どうしてあの時すぐクラブに入らなかったのだろう、あんなに人と接する事が大好きなコロに、私は、何も体験させてあげられなかった。そんな事を考えながら、一時間の道のりを泣きながら車を走らせました。どこをどうやって帰ってきたのかもわかりません。
獣医さんに到着、すぐに診察室に通され、コロの亡骸と対面しました。気が狂いそうになりました。どうして？昨日まで、笑顔で見送ってくれていたのに。もう、あのコロには会えないの？先生は私達二人きりにしてくれました。
「最後に大好きな先生方にお別れが出来て良かったね」　「でも、私はどうすればいいの？」
コロと私を見送りながら先生は「コロちゃんは幸せだったと思うよ、あなたの所に来たから歩けるようになったんだよ、一生懸命愛情を掛けてあげたから」と言って下さいました。コロは本当に幸せだったのだろうか？
コロの事を可愛がってくれた方々にコロの死を連絡しました。一緒に皆さん泣いてくれました。こんなにも皆に好かれていたコロ。お別れに行きたいと言ってくれる人もいましたた。
翌日、退院した息子と、コロのお骨を迎えに行きました。家に着いてみると沢山のお花が届いていました。コロのお骨はいただいたお花と一緒に飾りました。
落ち込んで、ただボーっと、コロの骨壷を見ているしかない私達の前で、そのお花がまるで誰かがじゃれている様に花びらがピンピンッと動いたのです。コロがお別れをいいに来てくれたのだろうと思いました。お花に囲まれたコロは嬉しかったのでしょう。
沢山の事を私達に残していってくれたコロ、コロは幸せだったかもしれない、でも、コロの事を忘れない為にも、また同じように看取ることなく死なせてしまわぬ様、我が身の非を認め悔い続けていかなければと思います。
コロのような障害のある犬だって大切な命があることをコロが身をもって教えてくれました。コロは、私の家族、プリン、あずきの中に生き続けています。コロと出逢えた事を神様に感謝して。

(2001/06/30)(新潟県・M.Yさん おしゃべりパークウ)