動物孤児院 (31)殺処分ゼロの日をめざして

殺処分ゼロの日をめざして

前回、私は、犬猫を捕獲して(または、連れてこられた犬猫を収容して)6日目が7日目に「殺処分」するシステムについて書きました。
「クレア」という雑誌は毎年、犬特集をしていますね。何年か前の犬特集では、犬の種類をことごとく間違えて書いてあって、「犬のことなんか、なあんにも知らない人たちが書いているのね」と思いました。私がそのとき理解できなかったのは、「間違っていないかどうか、犬のことを知っている人に聞いて確かめてみよう」と編集部で思った人がいなかったという、そっちのほうでしたけど。

でも、もういいでしょう。それはすぎたこと。「シェットランドシープドッグ」を「チワワ」と書いても、だれかが苦しむわけでもないし、笑っておしまいです。
今年も犬特集やっていて、犬好き人間をほとんど「ハイ」にしてくれるほど、かわいい写真がいっぱいありましたね。

そして、今年の「クレア」がこれまでとおおいに違っていたのは、「動物管理センター」で、犬たちが灰になるまでの話が写真つきであったことです。

あの犬たちの写真。
取材した人の手をなめる犬。
カメラのレンズに向いているいくつもの目。
あの犬たちの目、あの顔が私を苦しめ続けています。

朝の8時。
突然、鉄の壁が四方から押し寄せてきて、2メートル四方の空間に全員が閉じ込められる。真っ暗になる。息がだんだんできなくなる。息をしようと、ハアハアとあえぐ。一頭、また一頭と、立っていられない。横たわる。そして、・・・。

毎晩私は時計を見る。
ドイツの午前12時。私は祈る。日本は午前7時。
あと1時間。
地上での最後の時間を恐怖ですごすことになる犬たちのために。毎日毎日。
日本の至るところで、何百頭もの犬たちがこうして、殺される。

神様、私たち人間をおゆるしください、と私は祈る。
あの犬たちが、次に目をさますところは、虹の国で、恐怖のない、愛にあふれたところでありますように。
こんど地上に生まれてくるときは、一生愛してくれる人間とめぐりあいますように。



来週、私は2週間ほど帰国します。そのとき、実家の近所で、「里親の会」をしていらっしゃる男性のかたに会いにいきます。このかたは、捨てられた犬猫の里親を探すほか、野良猫の避妊手術のために飛び回っていらっしゃいます。退職後、ライフワークとして、すべての時間をそういう動物のために費やしていらっ
しゃるとのことです。お話をうかがい、私にできることを知りたいと思います。

どんな小さなことでもいい。
小さなことでも、たくさんの人が集まれば、大きなことができます。
私もその中の一人になりたい。

これをお読みになったかたは、犬が大好きなかたです。
だから、日本国中の、不幸な犬を救うために、何ができるか、いっしょに考えませんか。
「殺処分」のない国にするには、どうすればいいか、今日、明日、犬の散歩のときに出会ったあのひとと、話してみませんか。

意識することから、物事が始まるのです。
私たちにはきっと、できる・・・。
「昔は、殺処分ってあったのよ。ひどい話よね。引き取り手のない犬は殺されていたんだって!」と話せる日本になりますように・・・。

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