医療ミスで損害賠償
医療ミスで損害賠償
人の医療ミスは常に大きく取り上げられています。最近は動物医療でもミスがあると訴訟となるケースが増えています。
しかし、動物医療ではミスで死に至らしめても、結局は飼い主さんが泣き寝入りとなるケースが多いのが実情です。
動物病院を相手に勝訴したという話題です。
訴えたのはMダックスの飼い主さん、診断ミスのためか快癒後、障害が残り、入院のストレスから吠えるようになってしまったそうです。
獣医師の責任はもちろんありますが、何か府に落ちません。
どんな犬でも長期に入院させたらストレスがたまります。獣医師も得意分野、不得意な分野があります。この飼い主さん、なぜ、もっと早く別の病院でセカンドオピニオンを受けなかったのかということです。愛犬を守れるのは飼い主さんだけです。
(2006/6/16)(LIVING WITH DOGS)
しかし その後の情報で この記事にいくつかの読み手に誤解を与えてしまいそうな表現があるので、補足説明させてくださいね。
まず、「1週間で回復。しかし、足を引きずるようになり、ストレスからほえ続けるようになった」とありますが 現実は 一命は取り留めたが、重度の副作用(失明、聴覚消失、その他多数)で今現在も苦しんでいる状態です。
このことからも回復とは程遠い状態です。
また、「02年4月」とありますように4年たった今でも通院を余儀なくされていますが 回復しない器官も多くあるでしょう。
「ストレスからほえ続けるようになった」とストレスが原因と書かれている事も 失明、聴覚消失を起因とする不安や恐怖 または、体のどこかに痛みがあると考える方が正しいのかもしれません。
また、飼い主さんも不眠を始め様々な体の不調を訴えている事から考えて見ても この裁判に対する損害額の面から見ても(損害額の多くは 飼い主に対する「慰謝料」と言う事になっており その他は「すでに支払済みの医療費」「弁護士費用の一部」) で「犬の生きる権利」が無視された結果で終っていることが残念です。
「病院側の対応と犬の障害との因果関係は 獣医学的な立証がされなかったと認めなかった」この事に関しても 院長は否認していますが、担当医はミスを認めている事、また 転院先の病院で約1時間ほどの検査で「免疫の病気」と診断された事から 3週間の入院期間中の検査及び治療が 適切ではなかった。ミスがあったと判断されるのは当然ではなかったでしょうか?(この件に関しては 裁判でも「獣医師の過失」として 「診断ができない状況であれば、高次医療機関に転送させるべきであった」としています。)
さらに、この記事には書かれていない重要な事実として この獣医師が「有名な(有能な)獣医師」としてメディアに取り上げられていた事です。
この飼い主さんも往復 約110KMの道のりを「より良い診療」を求めて通院していた事を考えれば そのお気持ちは察しますし その有名獣医師が セカンドオピニオンを快く思っていなかった経緯を考えれば むしろ転院を決意した飼い主さんの見る目を評価してあげたいです。
「ペット犬」医療ミス損賠訴訟:横浜・動物病院に42万円支払い命令 /神奈川
◇動物病院相手取り損賠訴訟
◇生存のペット慰謝料最高額−−地裁判決
「ペットの犬が足を引きずるなどの障害を負ったのは診察で原因を見落としたため」として二宮町の女性(43)が横浜市内の動物病院と担当医を相手取り、約430万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、横浜地裁であった。小林正裁判長は同院と担当医の過失を一部認め、約42万円の支払いを命じた。このうち20万円は慰謝料で、原告代理人らによると、死んでいないペットをめぐる慰謝料としては過去最高額だという。
訴えによると、女性の犬(ミニチュアダックスフント)は02年4月、足の付け根などにできものができた。同院で細菌感染が原因と診断され、入院して抗生物質などを処方されたが回復しなかった。3週間後に別の病院に転院させたところ、免疫異常が原因としてステロイド剤の投与を受け、1週間で回復。しかし、足を引きずるようになり、ストレスからほえ続けるようになった。
判決は「病院と医師の過失で犬の入院期間を長引かせ、一時期生死が危ぶまれる状態にし、女性は精神的損害をこうむった」と指摘。病院側の対応と犬の障害との因果関係は「獣医学的な立証がされなかった」と認めなかった。
(2006/6/16)(毎日新聞記事より)