動物孤児院 (32)実験ビーグル犬たちの幸せな未来
実験ビーグル犬たちの幸せな未来
鏡の前に並んだ化粧品、病気をして飲む薬、やけどに軟膏をつける…。気分が落ち込んで精神安定剤を飲む。重病で入院して手術を受ける…。ファッション雑誌に紹介されたステキな化粧品や、病気を治そうと飲むさまざまな薬の背後に、まさか、あの愛らしい瞳をしたビーグル犬がいるなんて、想像もつきませんよね。
たくさんのビーグルたちが、人間や他の動物たちの病気治癒と美容(!)のために、製薬会社や化粧品会社の専属研究所で短い一生を終えています。薬を飲むとき、化粧品を使うとき、どうか彼らのことを想ってあげてください。ビーグルたちに、「ありがとう」と心の中で言ってあげてください。
ここに紹介するドイツのグループは、化粧品や薬の実験台となったビーグルを引き取りたいというファミリーのもとに届けています。彼らのことはホームページで見ることもできます。
www.versuchstiere.de <http://www.versuchstiere.de/>
ドイツ語がわからなくても、幸せになったビーグルたちの写真を見ることができます。(Geschichten をクリックすると、写真とそれぞれのストーリーが現れます。)プリントアウトしてドイツ語のお勉強のテキストにするという手も。口語体で、わかりやすいドイツ語です。
製薬会社、化粧品会社の専属研究所10ヶ所が、実験として使えない年齢に達したビーグル(4歳から7歳)をリリースしてくれます。このビーグルたちは、たとえば、癌細胞を移殖された後、化学療法と放射線治療の実験台として使われたり、新しい薬を市場に出す前に副作用を調べるための実験台、新製品の化粧品の
アレルギー実験台となったのです。(もちろん、研究所を出ることを許された犬は超ラッキーといえるでしょう。多くは、研究所を出ることなく短い一生を終えるのですから。)
とは言っても、このグループは決して、研究所を非難するために活動しているのではなく、あくまでもリリースしてくれたビーグルに幸せな余生を送ってほしいという願いだけで行動しているのです。だからこそ、研究所の人たちも協力して不要になったビーグルの将来を考えてくれるのです。
研究所から出ることのできたビーグルたちは、新しいファミリーに出会い、初めて「名前」をもらいます。それまで、「ABGKD29477088DF」などと、番号と記号で「呼ばれて」いた犬は、生まれて初めて、「ラッキー」とか、「マックス」などと呼ばれるのです。
このビーグルたちは、階段の昇り降りをしたことがありません。
外の世界には野原というものがあり、森があって木が生えていることも、池の存在も知りません。
車を見たこともないし、散歩も知りません。土の上を歩くのも初めてです。
トイレのしつけもされていませんから、新しいパパやママは最初ちょっと(いや、かなり)大変だそうです…。しかも、階段がある家だと、犬が慣れるまで階段を抱っこして昇ったり降りたり(苦笑)!
こうして、実験ビーグルたちはそれまでの研究所での数年間を取り戻すべく、愛をふりまき、愛をうけとり、幸せになります。《続く》
☆ところで、化粧品は「動物実験をしていません」と書かれたメーカーを選ぶことができます。自然化粧品を作っているメーカーの多くは、動物実験をしていないことを誇りにしています。この次は、動物実験をしていないメーカーを使ってみませんか?(私の経験では、動物実験していないメーカーのものは一般に品質がすぐれているように思います。ドイツの「エコテスト」という超厳しい品質テストで最高の点数をもらうメーカーは決まって動物実験していない会社ばかり!!!)