Noahがやってきた!

Noahがやってきた!!!

Roxyを失い、切ない心情を切々と語ってくれたママ、そしてHollyと運命的な出会い、Hollyの為に通ったしつけ教室。
そのMaxとHollyのママから素晴らしい近況が届きました。
なんとHollyの相棒になるべくボーダーコリーMIXの男の子を迎えました。
アメリカではボーダーコリーを飼いきれずに手放す飼い主がいます。反面しっかりしたレスキューの体制も整っており、このように一旦は手放された犬でも、また優しい飼い主に出会えるチャンスがあるのです。
日本もこのようなレスキューの体制があると良いのですが、まだまだ捨てられる犬が多すぎてほんの一部の犬達しかチャンスがありません。
(2006/12/8)(LIVING WITH DOGS)


2006年11月27日(月)私の誕生日に、また一人(一匹?)家族が増えました。その日、霙交じりの雨の中、私は会社を早退して、Sherwoodに住むボーダーコリーのフォスターファミリーの家から、一歳になるオスのボーダーコリーMixを自宅に連れ帰りました。2ヶ月前に捨て犬として安楽死寸前だったこの仔はこのフォスターファミリーのおかげで命拾いをし、Rockyという名前をもらって、犬、猫、馬たちと一緒にこの農家で暮らしていました。全身泥だらけのRockyは、初対面の私の車に乗せられた緊張からか、約一時間のドライブ中に我慢できなくなりウンチを漏らし、可哀想に食べ物ももどしてしまい、後部座席の下で小さくなっていました。

このRocky(今ではNoahと名前を変えましたが)が私たちの家族に迎えられるまでのいきさつをお話しします。

2004年8月29日(これもまたどういうわけか主人の誕生日の翌日でしたが)1歳半のメスのボーダーコリーMixのHollyを迎えた経緯は“天国からの贈り物”に書きましたが、その後Hollyと私は一緒に躾教室でトレーニングを受け、彼女はすっかり家族の一員として、かなり言いたいことを言って(ボーダーコリーですから)暮らしていました。もうじき15歳になる先住犬のMaxともそれなりに仲良く、でもMaxの歳が歳ですから、一緒に遊ぶということはありませんでした。ポートランドは晩秋から春まで雨が多く、今年の10月は雨が降らなかった日はわずかに1日だけ。お天気の日にはドッグランに連れていけますが、雨の日はMaxを同行しての1マイルの散歩だけで、私が帰宅するまでは寝たすごすことが多くなりました。退屈なボーダーコリーほど困ったものはないとよく言われますが、HollyはそんなMax中心の生活にもよく我慢していました。Hollyはまだ4歳ぐらいの若い仔ですから、一緒に遊べる相手を探してあげたいと思っていました。そしてある日ボーダーコリーのレスキューサイトでLanaという8ヶ月のとてもかわいい女の仔を見つけました。

11月25日(土)は久々に太陽が見えた素晴らしいお天気で、私と主人はHollyを連れて35マイルほど離れたMolallaというところに住むJillの家を訪ねました。彼女とそのご主人は5エーカーもある庭で自分達の4匹の犬のほかに現在7匹のボーダーコリーの里子候補と暮らしており、Lanaはその中の一匹でした。Lanaの初めの飼い主はボーダーコリーの習性を全く知らない家族だったらしく、退屈のあまりいろいろないたずらをしでかしたLanaのことを、こんな馬鹿な犬はいらないと言って放棄したのだそうです。インターネットの写真ではとてもおっとりとして可愛く見えましたが、Jillの話では彼女のところに来るまでほとんど他の犬との接触がなかったらしく、初対面のHollyを威嚇したので(それは時間をかければ直るとは思いましたが)Hollyはすっかり興味を失くしてしまいました。Lanaはとても活発な仔でボールを追いかけて水溜りだらけの芝生を走り回るのが大好きなようでした。郊外の住宅地に住む私たちのライフスタイルを聞いたJillは、もしLanaがふさわしい仔でないと思うなら、Sherwoodというところにオスのとてもやさしい仔がいるので後で写真をメールしてくれると約束してくれました。わざわざMolallaまでドライブしましたが、実際にLanaに会って諦めがつきました。Jillのうちと似たような環境で可愛がってくれる飼い主のところにもらわれていったほうがLanaにとってはきっと幸せだろうと思いました。Jillは12年もボーダーコリーのレスキューをしており、同じ犬種でも性格は様々だから、きっといい仔がみつかるわよと勇気付けてくれました。

そして2日後の私の誕生日、Jillからのメールが会社にいる私のもとに届き、私はそのRockyというオスのボーダーコリーに早速会いにいったのです。私は一目で、Rockyが一歳のオスとは思えないほど、おっとりとして人懐こいことが分かりました。Lanaとは性格がまるで180度違うかのようです。この仔なら老犬Maxを威嚇したりしないだろう、そしてもし運がよければHollyとも仲良く遊んでくれるかもしれない。そこでフォスターファミリーにRockyを2-3日預からせてもらえるよう頼みました。Dianeというフォスターマザーは、あなたがたのことはJillから聞いているから大歓迎よと言ってRockyを私の車に乗せてくれたのでした。後部座席に乗ったRockyは私の車が発車すると不安げに後ろを見ていました。暗い雨の中に2ヶ月暮らした家が小さくなっていくのをどんな思いで見ていたのでしょう。さぞかし心細かったことでしょう。

さて、家に着くと、HollyとMaxが出迎えました。私はRockyのリードを主人の手に渡すと、まずは車の中の糞と吐しゃ物を簡単に掃除して、HollyとMaxの反応を見ました。Rockyはとてもやさしい、どちらかというと繊細でちょっと臆病な仔なので、まず初対面は問題なし。雨の庭と家の中を行き来して暮らしていたらしくRockyは身体中泥だらけです。とにかくシャンプーをと思いましたが、Rockyは後ずさりしてどうしてもバスタブに入ってくれません。そこでお風呂は明日に延ばすことにし、ブラッシングをしました。これがまた大変でした。泥で固まったダブルコートにはブラシがなかなか入りません。やさしく声をかけながら少しずつほぐしました。Hollyは興味津々でRockyのそばから離れません。私が試しに、Let’s play, let’s play!とけしかけると、どうでしょう!二匹で絡みあって遊び始めました。Hollyはドッグパークでもめったに他の犬と絡み合って遊ぶことはなく、うちに貰われてきてからのこの二年間グランマの家のShellyと妹の家のKiyoぐらいとしかこんな風に遊ぶ犬はいなかったのです。上になったり下になったりして、二匹は飽きることなく夕ご飯まで遊びました。第一条件、見事にパス!

Rockyを連れ帰るときにDianeに餌の種類と量のことを聞くと、それぞれの犬が(Rockyを入れて3匹いましたが)好きなときに好きなだけ食べられるようにいつも餌を出しっぱなしという答えが返ってきました。案の定、Rockyが私の車の中で吐いた量も多量でした。うちでは朝晩決まった時間にMaxとHollyのご飯はそれぞれの容器で食べさせているので、Rockyもこの方法に慣れてもらわねばなりません。最初のご飯は、競争心が全くないためのんびり食べて残したりもしましたが、4日たった今では、さっさと残さずに食べてくれるようになりました。

Rockyには、今のところ苦手なものが3つあります。まずはお風呂。それから車に乗ること。そしてフローリングの床です。この3つは今までの彼の人生の中にほとんど登場しなかったものではないかと思います。お風呂は2日目に主人がバスタブに抱いて入れてくれたので私が洗うことができ、どうにかクリアー。フローリングの床はすべるので恐がり歩けず、最初の晩は娘が抱いて寝場所まで連れていく始末。最初に吐いてしまった車は尻込みして乗らないので後部座席の片方のドアからまず私が乗り、それに釣られて乗ってきたらリードを縛って(そうしないと運転中に前の座席に移ってきて私の膝の上に乗ろうとして大変なことになった経験から)私が反対側のドアから出て、運転席に乗るというとてつもなく面倒なことを今のところやっています。そして車に乗っている間中、ヨダレをダラダラとたらし続けます。でも3つともそのうち慣れて、きっと後で笑い話になることでしょう。

フォスターファミリーがRockyを引き取った時、書類に間違って雌と書かれていたためDiane とその娘さんで初めRoxyと名づけたのですが、後でオスだと分かったのでRockyに変えたと話してくれました。それを聞いたとき、私は何か運命のようなものを感じました。Roxyとは、私達が2004年の3月に亡くした犬と偶然同じ名前だったのです。Rockyという名前は、この仔にあまり合わないと思ったので、うちに来てからNoahという名に変えました。Noahはとってもいい仔で、オスなのにMaxを威嚇したりするどころか、Maxがすぐ横をローハイドをくわえて通っても道を譲るような仔です。先住犬の老犬Maxのほうはというと、だいぶボケているせいもあり、状況をしっかり把握していない様子で、イマイチ距離をおいていて、それだけがすこし心配です。でもこれも日が経つにつれ、きっとNoahの存在を受け入れてくれることでしょう。Noahは予想より身体が大きかったので、ちょっと心配しましたが、動作がゆっくりな仔ですからMaxを急に驚かせるようなことはありません。家の中で、あまりにいい仔なので、しかもHollyと違ってただの一度も吠えないので、本当に健康なのかと主人が心配するほどでしたが、昨日、おとといとドッグパークに連れていったところ、パークでは思いっきり走り回って、吠えまくっていました。やっぱりボーダーコリーでした。よかった!

Noahは本当に聞き分けのいい手のかからない犬です。最初の晩からHollyとMaxと一緒にユーティリティールームで朝まで寝てくれました。どうしてこんなにいい仔が安楽死されなければならなかったのでしょう。今日Faxしてもらった、収容所からDianeが引き取った際の書類を見てその理由が分かりました。
この仔は捨て犬としてワシントン州バンクーバー市にある収容所に持ち込まれ、里子にふさわしいかを見極めるテストを受けましたが、ひどく怯えて萎縮しており、7項目のうちの4項目をパスできませんでした。その結果、里子には出せないという結論が出てしまい、収容所はレスキューグループを探し、Sherwoodに住むDianeが一時間半もかけて引き取りに行ってくれたのでした。フォスターファミリーの影響力は大きく、里子として失格だったNoahのような仔でも、2ヶ月も経たないうちに落ち着きを取り戻し、人間を慕ってお腹を見せて甘えるようになれるのです。Hollyの時もそうでしたが、主人も私もフォスターファミリーが愛情をかけて育ててくれたことに 本当に感謝しています。今も私の足元で遊びつかれたNoahが寝息を立てています。このままずっとうちの仔だよ、もう寂しく不安な思いはさせないからね。

さて今日、獣医さんに行きNoahの足りなかった予防接種を済ませてきました。来週には去勢手術をする予定です。こんなに不幸な犬たちが収容所やレスキューセンターにいる現状で、私達にできることは、これ以上不幸な犬を増やさないために去勢手術をすることと、その不幸な犬達のうちのたとえ一匹でも暖かい家庭に迎えてあげること、また小額でもそのような団体に寄付をして何かの役に立つことぐらいしか今はできません。でもあと3年ほどで私が退職したら、その時はフォスターファミリーとして、収容所のケージの中でストレスのためにテストに落ちてしまったようなHollyやNoahのような仔達を、安心して里子に出せるような仔に育てていきたいと思っています。

Noahを家族として迎えるにあたり、3匹が皆幸せになれるよう日々の生活の中で気をつけていることがあります。

まず一番大切なのはMaxの気持ち
若いオスが入ってきたことで、もう自分の出る幕はないと絶対に感じさせないこと。
次にHollyの気持ち
新しい犬に皆の注目が集まってしまったと嫉妬を感じさせないこと。
そしてNoahの気持ち
このうちにも自分の居場所はないのかと寂しい思いをさせないこと。

1匹が2匹になっても、2匹が3匹になっても、私達の愛情が2分の一や3分の一に減るのではないこと、だからちゃんと3匹で仲良く分かち合えるということを日々の生活の中から確信して欲しいと願っています。

3人の子育てがほぼ完了し、主人も私も今度は3匹の犬育てにおおわらわの我が家です。
(2006/12/2)(Max&Hollyのママ)

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